フェイスブックの「出会い機能」に込められた圧倒的なザッカーバーグの自信。人気SNSの世界シェアを一緒にみるとその意味がよくわかる。

フェイスブックの「出会い機能」に込められた圧倒的なザッカーバーグの自信。人気SNSの世界シェアを一緒にみるとその意味がよくわかる。

フェイスブックが発表した出会い機能

 

出典:www.afpbb.com

 

2018年5月1日、フェイスブックは「出会い機能」を導入すると発表しました。

CEOのマーク・ザッカーバーグは以下のように、サービスの意図について説明をしています。

 

「ユーザーは通常のプロフィールとは別に、出会い機能専用のプロフィールを作ることができ、デート相手の好みや共通点、共通の友人を基に、マッチングの候補がお薦めされる」という。出会い用の非公開プロフィールを作成すると、地元のグループやイベントの情報や、参加予定の人のプロフィールが閲覧可能になる。

 ザッカーバーグ氏はこの新機能の発表に際し、米国で結婚するカップルの3組に1組がインターネット上で出会っており、フェイスブックのユーザー2億人が独身と自己申告していることにも言及した。

 

要約すると、世界で圧倒的なシェアを誇るフェイスブックを利用すれば、多くのカップルを生み出せる、出会いの場をつくれるというものですね。

機能やセキュリティについては、現時点でははっきりしません。

圧倒的なアクティブユーザ数があるフェイスブックがこうした「出会い系」サービスをすると、いったいどんな世界が生まれるのかな。

確かにちょっと見てみたい、興味がじわじわと沸いてきます。

でも、ニュースを読んだ第一印象は、よりによってこのタイミングで、なかなか思い切ったサービスを放り込んでくるな、というものでしたね。

 

 

先日の個人情報流出と不正使用で、CEOのマーク・ザッカーバーグが公聴会にまで呼び出され公式謝罪するほどに、大きな問題となりました。

米国では訴訟も起こされています。

その事件については以下の記事でまとめていますので、よろしければ一緒にお読みくださいね。

フェイスブックの個人情報流出で影響を受ける範囲は?不正に利用されたのは誰の情報?原因は?今後の危険性は?

こんな大きな事件が収まっていない中での、このサービス発表。

もともと事件発覚以前から準備を続けていたのかもしれませんし、事件後に発案したのかもしれません。

いずれにせよ、このタイミングでこのサービス?という疑問がどうしてもあるんですよね。

 

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攻めるタイミングかな?

 

出典:時事ドットコム

 

まず、フェイスブックで提供されたアプリで個人情報流出、不正使用が行われたにも拘わらず、さらに個人情報を活用したサービスを展開しようという点。

攻めるのは間違っていません。

でもそれは今なんだろうか?

そんな印象を受けます。

 

「出会い機能」=「出会い系」にならないかな?

 

 

次に思うことは、「出会い系」サービスに対する世間の印象です。

多くの「出会い系」サービスは、女性には格安で登録してもらい、男性に高い出資で登録を促して「荒稼ぎ」するビジネスモデルが浸透しています。

一部の企業はほぼ対等に扱っているようですが、多かれ少なかれ、かならず男性に負担を強いるビジネスモデルです。

また “さくら” と呼ばれる女性のふりをして男性からチケット代を支払わせるような「詐欺行為」をが横行しているのも事実です。

良質サイトでも女性が優遇されているため、悪質サイトの区別が難しいというのがこの業界の問題点です。

フェイスブックがこうした「荒稼ぎ」「詐欺行為」の手法をとるわけではないと思いますが。

「出会い機能」が「出会い系」と捉われかねないのに、しかもこの時期に放り込むか?

そんな印象もまた受けますね。

 

では、ザッカーバーグのこの強気はいったいどこからくるのでしょうか?

その心持ちをなんとなく理解するには、フェイスブックが世界でいったいどんな位置づけなのかを一度整理してみませんか?

 

 

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人気SNSの日本&世界シェアをまとめてみた

 

 

2018年に総務省から発表されたデータをもとに独自に整理してみました。

数値は各国での使用率(%)の “世代間平均” です。

そのため全部足しても100になるわけではありませんのであしからずです(^^;

20代~60代までの使用率の平均値ですので、数値の大きさはバランスよく支持されていることを意味しており、その国での支持率と捉えても差し支えありません。

ランキングの順位は数値の合計の順番ですので、世界での支持ランキングになり、上から順番に並べてあります。

表は分かりやすくするため、色分けをしています。

ピンク色は支持率50%以上なので、その国で全体的に支持されているとみてください。

紫色は支持率20%以下なので、その国で全体的に支持が低いとみてください。

 

ラン
キング
SNS 開発
運営
日本 米国 英国 ドイツ 韓国 中国 インド オーストラリア
1 フェイスブック 米国 35 77 69 64 69 16 93 75
2 YouTube 米国 39 53 48 48 58 12 78 50
3 ツイッター 米国 28 39 33 12 33 9 50 20
4 WhatsApp 米国 1 22 30 56 2 2 81 18
5 Google+ 米国 9 29 19 18 27 14 62 25
6 Instagram 米国 10 34 19 10 29 4 26 22
7 LinkdIn 米国 2 26 17 5 5 7 46 19
8 WeChat 中国 0 5 2 1 1 88 22 4
9 LINE 韓国
日本
45 8 2 1 20 4 11 3
10 KakaoTalk 韓国 1 2 1 1 75 1 1 1
11 Pinterest 米国 1 24 13 5 3 2 17 16
12 Weibo 中国 0 1 1 0 2 55 1 1
13 その他 0 1 1 2 0 2 2 2

出典:総務省

 

いや~それにしても、わかっていてもSNS業界は米国が席巻してますよね。

それでは、表からわかることを整理してみましょう。

 

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フェイスブック、Youtube、ツイッターの圧勝

 

世界ではフェイスブックが圧倒的に指示されていることが一目瞭然です。

次にYouTube、ツイッターと続きます。

この順位はなんとなく腑に落ちますよね。

個人利用ももちろん多いですが、ビジネス利用のしやすさがかなり反映されているように思います。

フェイスブックもYouTubeもツイッターも、単体的、複合的に広告で活用され実績を出しています。

使用率が高いから活用されるという見方もできますが、いずれも広告表示を前提として設計になっている点で参入障壁を下げていたとみています。

フェイスブックは特に米国での使用率が圧倒的に高いです。

先般の個人情報不正使用問題はこのことがひとつの理由でしょうね。

そのデータが米国大統領選挙で利用されたということですからね。

 

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Instagramの意外な低さ

 

Instagramは米国ではかなり上がってきています。

フェイスブック社の持っているアプリということでマーケティングされていることが一因だと思います。

日本でもかなり普及してきており、若い世代はフェイスブックからInstagramにシフトしていると言われていますが、このデータをみるかぎりまだまだという印象ですね。

世代間平均で20代が25%を取っているんですが、この統計に10代が含まれていないのが少し影響していそうです。

10代が反映されれば、もう少し変わってきそうな気がします。

若年層と中年層でこれほど使用率に開きのあるアプリも珍しいのではないでしょうか。

 

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中国の特殊性

 

出典:Gigazine

 

フェイスブックは中国で特に支持率が低いですね。

中国は特殊で、WeiboやWeChatといった中国産SNSの支持率が圧倒的に高いため、他のSNSが全体的に支持されていません。

というか、、正常に使用できないことが多いという状況なのだろうと推測します。

Weiboはマスメディアでは頻繁に「中国版ツイッター」のように報道されますが、なぜフェイスブックなどよりも圧倒的に普及しているのでしょうか。

Weiboについて分かりやすく説明されている記事を抜粋させていただきます。

 

2009年7月のウイグル騒乱後、中国共産党によって当時運営されていた中国内のマイクロブログサービスの閉鎖が行われました。それに加えて殆どのTwitterやFacebookに代表されるマイクロブログサービスへのインターネット接続が金盾(グレートファイアーウォール)により遮断されました。この際に「新浪(SINA)」のCEOである曹国輝氏は「これらのアクセス遮断を好機」と考え、独自にマイクロブログサービスを開発して最初の「新浪微博」(Weibo)のテストバージョンを2009年8月に公開したのです。

出典:中国Webマーケティングラボ

 

中国は共産党支配下で国家を通過する通信を監視しています。

そのため共産党の思惑に沿って情報統制しやすいSNSをつくったということでしょう。

WeChatは中国大手IT企業テンセント(中国名:騰訊)が作った無料インスタントメッセンジャーアプリですが、これも2010年から開発されたものなので、出自理由はWeiboと同じだろうと思われます。

 

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フェイスブックの日本での使用率は案外低いが

 

日本の支持率の低さはどういう特徴を表しているのでしょうか。

日本を縦にみてもらうと分かりますが、支持率50%を越えるSNSがありません。

他国は50%を越えるSNSが必ずあるのに。

フェイスブック、YouTube、ツイッター、LINEがTOP4ですが、いずれもダントツになっておらず、まんべんなく利用されっているという印象です。

その中でもLINEの使用率の高さが際立ちます。

LINEは他国では韓国とインドがやや多いものの、他国ではほぼ使用されていません。

ここに日本独特のガラパゴス現象が起こっていると言って良いのかもしれません。

日本でのフェイスブックの使用率の低さは、InstagramとLINEに流れているとみて差し支えないでしょう。

 

 

ここまで表から特徴をまとめてみましたが、総じて言えることは、やっぱり世界でのフェイスブックの圧倒的なシェアを見せつけられたということに尽きますよね。

しかも6位のInstagramはフェイスブックのアプリですしね。

ザッカーバーグがこのタイミングで「出会い機能」を打ち出してきたことは?

普通の企業では考えられないタイミングでの打ち出し方ですよね。

世界での圧倒的なシェアに “絶対の自信” を持っていることの証ではないでしょうか?

 

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まとめ

 

出典:日刊工業新聞

 

この自信が、過信にならなければいい、ただそう思いますよね。

個人情報を守るための改善は徹底的にやって欲しい。

個人情報を提供しているのはユーザなんだから、ユーザの同意なんだからという甘えを言わないで欲しい。

しかしね、、自らにも言い聞かせる想いで言うと、同意しているんだからというのは確かに間違った発言とも言い難いですよ。

「出会い機能」はもしかしたら、とてつもない楽しさを提供するのかもしれないし、今回の事件を忘れさせてしまうような出会い革命をもたらすのかもしれませんよね。

でも、ユーザが同意した範囲の個人情報を用いてマッチングさせるという仕組みになっている。

このことは忘れてはいけません。

もし。もし。

 

暗に、提供する個人情報が多ければ多いほど出逢えるひとが増えるという “あおり” を感じたとしたら、あなたはどうしますか?

 

本気で出会いたいと思っているひとならどうすると思いますか?

 

 

また個人情報を自ら解放して、何かあった際に、フェイスブックからは「あなたが承諾したから」と言われてしまうんです。

そうならないために、ユーザ自身がフェイスブックをきちんと監視して、今後もどう使うべきか否かをきちんと判断することが大事でしょうね。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

辛口に評価をしてきましたが、マーク・ザッカーバーグのコミュニケーション革命をした功績は素晴らしいと思っています。

その手腕について知っておくべきだと思いますので、興味があれば以下のような代表的な書籍をお読みください。

 

関連記事を紹介させていただきます。

 

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