レオパレス21倒産の危機。界壁無しの建築基準法違反は2600棟が対象、20億円以上の補修費か。ISO9001は妥当だったのか?株価は下落する一方。

レオパレス21倒産の危機。界壁無しの建築基準法違反は2600棟が対象、20億円以上の補修費か。ISO9001は妥当だったのか?株価は下落する一方。

レオパレス21の界壁未設置問題が予想を超える問題化の兆し

 

 

当ブログでも先日記事で書きましたが、レオパレス21の界壁が天井に達していないなどの問題がかなり重大化しそうです。

はじめてニュースで報じられた際の記事は以下になりますのであわせてお読みください。

 

レオパレスが建築基準法違反発覚!遮音・防火の界壁が無い?3万棟超を調査。一括借り上げ(サブリース)の解約強要もあり評判悪いけど株価はどうなる?

 

2018年5月26日時点での界壁の調査状況は、レオパレス21の公式サイトのニュースリリースで公表されており、以下のようになっています。

 


※2シリーズで合計915棟です。

出典:レオパレス21

 

出典:レオパレス21

 

 

ゴールドネイル、ニューゴールドネイルは計915棟あり、調査済みが184棟、168棟が界壁無しでした。

また別途調査を続けている「ゴールドレジデンス」など6シリーズ、計13791棟については、調査済みが290棟、界壁が無かった、もしくは施工不備があった物件が38棟でした。

 

 

ゴールドネイル、ニューゴールドネイルの欠陥棟は単純計算すると全国で835棟になります。

また、他の6シリーズについては全国で計13791棟もありますので、欠陥棟は単純計算すると1807棟になります。

占めて2642棟が欠陥の恐れがあるということになります。

 

当社の業績に与える影響について、現時点においては軽微であると考えております。

 

レオパレス21のレポートではこのように強気の姿勢を示していますが、さも欠陥棟数が少ないように見せているだけではないでしょうか?

単純計算ではありますが、少なく見積もっても全国で2000棟は超えてくるのではないかと予想できそうではないでしょうか?

これが「軽微」と言える根拠は何でしょうか。

対象物件は1996年~2009年に建築されたもので、調査している物件件数が全て含まれるのであれば、その時期に建築された全ての物件に等しく同じ建築基準、検査方法をとっていたことになります。

確率論では2000棟超えも十分ありうると思いますが、それでも「軽微」と言えるのが甚だ疑問です。

 

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東京商工リサーチの取材では、補修費用についてこのように述べられています。

 

界壁の設置・補修は「1棟あたり60万円」

出典:東京商工リサーチ

 

つまり、12億円~16億円が補修予算として必要になります。

東京商工リサーチでも述べていますが、ここに補修期間の転居費用負担なども積みあがるので、20億円以上がかかるかもしれません。

2000棟超えの住民に多大な迷惑をかけ、20億円以上の費用が掛かるのに、これでも「軽微」と言えるのでしょうか。

 

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ISO9001を取得しているって?マジで言ってますか?

 

 

このニュースリリースでは、下記のようにISOを取得していることにも触れています。

 

2008年にはISO 9001の認証を取得致しました。以降、順次体制強化を図り、本部によるチェック体制を整えております。現在では9回の社内検査に加え、第三者による検査を4回行い、品質管理に努めております。

 

ISO9001とは、品質マネジメントシステムのことで、より良い品質を保証する目安のようなものです。

これを取得して営業の名刺に印字しておくだけでステータスになり受注が取りやすくなるため、日本の企業もこぞって取得を目指します。

ISO9001について、詳しい説明が専門会社のサイトにありましたので掲載させていただきます。

 

ISO 9001とは品質マネジメントシステム(Quality Management System)のことです。

『品質』という言葉から、『高品質なものを製造する』というイメージが持たれたり、『品質管理』のことだと思われることもあります。実際、新聞で、『ISO 9001とは優れた製品やサービスなどを提供している企業や工場に与えられるもの』という文章を見かけることもあります。

しかし、品質を管理し、不備や故障のない製品を提供するのは、企業として当然のことです。『うちの製品は不良品ではありません』とわざわざ宣伝する必要はないはずです。

ISO 9001の目的は、単に『良い製品を作ること』だけではなく、『よい製品(サービス)を作る(提供する)ためのシステムを管理すること』です。

『よい製品・サービス』とは、『顧客の要求する製品、サービス』のこと。

よい製品やサービスを提供することで、『お客さんに満足してもらうこと【顧客満足】』を目指します。

出典:アイムス

 

以上の説明からわかるように、「普通に不備のない製品を提供できる体制です」というのは当たり前で、「より良い製品、サービスを提供できる体制です」ということを証明する規格ということになります。

さて、2008年にそのISO9001を取得しているのであれば、本来もっと以前から取得に相応しい「不備などない、より良い製品、サービスを提供できる体制」を整え、ISO取得に必要な情報・資料を収集して提出をしているはずです。

 

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以下にISO9001の取得にかかる作業や平均的な期間について専門会社の情報を掲載させていただきます。

 

ISO9001の内容(規格要求事項)を理解して、品質マニュアルや規程を作るのに約4~6ヶ月、実際に仕事をやってみて、作成した品質マニュアルや規程の内容に問題がないかを確認し、改善するのに約3ヶ月、そして2回の審査を受けて認証証書が届くまでに約3ヶ月、トータルすると、10ヶ月~1年といったところでしょう。

これはあくまでも、一般的なコンサルティング会社に依頼したときの、一般的なISO9001取得スケジュールです。

そして、あくまでも、ISO9001を取得するだけのスケジュールです。

コンサルタントを使わずに自力でISO9001を取得する場合は、もう少し期間を長めに見積もっておいた方がよいかもしれません。

出典:岩崎経営

 

 

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最低1年はかかるということは、2007年の時点である程度取得に必要な管理体制が整っていたはずです。

取得準備を開始した時点でもしボロボロだった場合には、これだけの大企業となると大がかりな体制の改善からになるため、恐らく2年近くを要するかもしれませんね。

1996年~2009年に建築されたものが建築基準法違反の対象ですが、2008年にどうやってISO9001を取得したのでしょうか?

界壁工事のチェックをきちんとやらない工程でも取得できるものなのでしょうか?

建築基準法違反が見つかっている物件はISO9001取得後に建築されたのか、取得前に建築されたものなのかをきちんと明示して欲しいところです。

その結果いかんによっては、不正な情報提出の可能性が出てきますから、ISO9001の資格はく奪の対象になるためです。

 

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界壁とは?

 

出典:産経ニュース

 

界壁についてきちんと理解を深めておきましょう。

賃貸マンションなど、共同住宅で部屋を仕切る壁と壁の間に入っている、部屋同士を完全に区切る壁です。

防火性能、遮音性能が求められるため、天井までそうしたボードを張り詰めていく作業が必要となります。

遮音性を保つためにすき間の無いように作り、耐火や防火の構造としてもつくるよう、建築基準法で定められています。

※建築基準法第30条及び建築基準法施行令第114条第1項

 

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以下が界壁の具体的にわかる画像です。

壁の裏側の界壁が、天井まできちんと達していることがよくわかると思います。

これが正しい界壁の構造です。

東建コーポレーションさんのサイトから拝借した画像に少し加工させていただきました。

東建コーポレーションさんはきちんと工事をされているようですね。

 

出典:東建コーポレーション

 

「界壁が無い」とは、そもそもこの界壁全部が張られていなかったという場合と、この画像でいうところの赤枠の部分が無かった場合とあると思います。

レオパレス21のプレスリリースでは以下のように「小屋裏(屋根と天井との間にできる空間)の界壁施工」と限定しているため、赤枠の部分に限定されているものと思われます。

 

今回確認された施工物件は、鉄骨ブレース工法及び木造軸組み工法の物件であり、小屋裏の界壁施工が必要でありながら、界壁を施工していないか、または施工が不十分であるものが発見されました。

出典:レオパレス21

 

ここが無いと、例えば隣の部屋で発火した場合に、屋根裏を伝って炎が隣室に着火してしまいますよね。

 

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また、屋根裏を通して音が筒抜けになってしまうことも表しています。

「レオパレスは壁が薄い」という評判がよくあるようですが、もしかしたらこの小屋裏の界壁が無いために隣室の音が聴こえていた可能性がありますね。

 

 

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まとめ

 

出典:株探

 

この問題は防音も問題ですが、人命に関わる重大な問題です。

2000棟超えの住民に多大な迷惑をかけ、20億円以上の費用が掛かるのに「軽微」という強気姿勢が裏目になり、大きく信用を失うことになりかねません。

恐ろしいのは、この問題を受けてレオパレス21の物件から転居するひとが激増した場合、大家が大変な損害を被ります。

そうなると、続々と訴訟が行われ、そうなれば莫大な損害賠償に発展する可能性もあります。

そうなればレオパレス21の株価が暴落し、大規模なリストラ、下手をすれば倒産もあり得るでしょう。

 

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画像はレオパレス21の株価です。

既に大幅続落で年初来安値を更新しているんです。

これはもう冗談では済まされないところまで来ています。

入居者、社員やその家族、大家など、関わる全ての人にとっての悲劇です。

そうならないためには、まずはレオパレス21は、「軽微」という上っ面の安心感でごまかさず、平身低頭で謝罪しつつ早急に工事を進めていくよう具体的なプランを示して欲しい。

ISO9001についても論理矛盾が起こっているので、ISO取得前後の建築基準法違反の物件件数についてきちんと情報開示をしていただきたい。

また、大家や入居者さんはいったん冷静に受け止め、レオパレス21の工事を粛々とやってもらうしかないでしょう。

 

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