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生きたまま切断され残酷に殺害されたカショギ氏。情熱溢れる最後のコラム全文と翻訳を掲載。ワシントン・ポスト紙の編集者の追悼に泣けた。

生きたまま切断され残酷に殺害されたカショギ氏。情熱溢れる最後のコラム全文と翻訳を掲載。ワシントン・ポスト紙の編集者の追悼に泣けた。

カショギ氏の非業の死と最後のコラム

 

image:グッド!モーニングより

 

カショギ氏は生きたまま切断され残酷に殺害されたことが分かりました。

 

 

2018年11月1日

トルコ検察の調べでは、窒息死後に切断されたとされていますので当初の報道とは変わってきています。

しかし婚約者に送り続けた音声データも加味されたうえで当初「生きたまま殺害」と報道されていたことを鑑みて、この表現をあえて残します。

 

 

殺害される前、カショギ氏は「ワシントン・ポスト紙」最後のコラムを残していたことが分かりました。

この記事ではそのコラムの原文と、翻訳(意訳)を掲載します。

カショギ氏がリスクを顧みず実行し続けていた、アラブ世界を変えたいという情熱と、アラブ世界の現実を感じてもらえたらと思います。

 

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カショギ氏の最期

 

image:グッド!モーニングより

 

ジャマル・カショギ氏は、婚約者であったトルコ人のジェンギズさんとの結婚に必要な書類を受け取るため、イスタンブールのサウジ総領事館を訪れました。

しかしそのわずか一回の訪問が、殺害するチャンスを与えてしまいました。

総領事館で束縛され、テーブルの上で生きたまま切断されたというショッキングな事実が明るみになりました。

絶命するまでの7分間、サウジアラビア人の法医学者がイヤホンで音楽を聴きながらカショギ氏を切断していったそうです。

恐らくこの7分間の間に、カショギ氏の悲鳴、苦痛の絶叫が響いていたはずです。

絶命するその瞬間も。

 

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カショギ氏は婚約者にアップルウォッチを持たせ音声データを転送していたといいます。

何かあったら証拠に提出するよう伝えていたのでしょう。

この殺害の状況は音声データから判明したものですので、恐らくこの婚約者も聴いてしまったのではないでしょうか。

いったいどんな気持ちだったろう。

実に人間の所業とは到底思えない残虐・非道な行為です。

この殺人を指示したひとは確実に特定し、裁きを受けるべきですね。

カショギ氏が批判していたムハマンド皇太子の線が濃厚のようですが、いったい誰が王族を罰することができるのでしょうか。

事態の成り行きを見守りたいと思います。

 

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カショギ氏の最後のコラムを公表

 


image:ワシントン・ポスト紙

 

カショギ氏は所属していた「ワシントン・ポスト紙」に、最後のコラムを残していました。

そのコラムはまだ未公表のものでしたが、2018年10月17日に公表しました。

 

次項はまずカショギ氏のコラムの原文を掲載しています。

その後翻訳した文章を掲載しています。

この翻訳は随所に意訳をしたものですのでその点はご了承ください。

 

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『アラブ世界が最も必要なものは自由な表現』

 

Jamal Khashoggi: What the Arab world needs most is free expression
 
 By Jamal Khashoggi October 17 at 7:52 PM

I was recently online looking at the 2018 “Freedom in the World” report published by Freedom House and came to a grave realization. There is only one country in the Arab world that has been classified as “free.” That nation is Tunisia. Jordan, Morocco and Kuwait come second, with a classification of “partly free.” The rest of the countries in the Arab world are classified as “not free.”

As a result, Arabs living in these countries are either uninformed or misinformed. They are unable to adequately address, much less publicly discuss, matters that affect the region and their day-to-day lives. A state-run narrative dominates the public psyche, and while many do not believe it, a large majority of the population falls victim to this false narrative. Sadly, this situation is unlikely to change.

The Arab world was ripe with hope during the spring of 2011. Journalists, academics and the general population were brimming with expectations of a bright and free Arab society within their respective countries. They expected to be emancipated from the hegemony of their governments and the consistent interventions and censorship of information. These expectations were quickly shattered; these societies either fell back to the old status quo or faced even harsher conditions than before.

My dear friend, the prominent Saudi writer Saleh al-Shehi, wrote one of the most famous columns ever published in the Saudi press. He unfortunately is now serving an unwarranted five-year prison sentence for supposed comments contrary to the Saudi establishment. The Egyptian government’s seizure of the entire print run of a newspaper, al-Masry al Youm, did not enrage or provoke a reaction from colleagues. These actions no longer carry the consequence of a backlash from the international community. Instead, these actions may trigger condemnation quickly followed by silence.

As a result, Arab governments have been given free rein to continue silencing the media at an increasing rate. There was a time when journalists believed the Internet would liberate information from the censorship and control associated with print media. But these governments, whose very existence relies on the control of information, have aggressively blocked the Internet. They have also arrested local reporters and pressured advertisers to harm the revenue of specific publications.

There are a few oases that continue to embody the spirit of the Arab Spring. Qatar’s government continues to support international news coverage, in contrast to its neighbors’ efforts to uphold the control of information to support the “old Arab order.” Even in Tunisia and Kuwait, where the press is considered at least “partly free,” the media focuses on domestic issues but not issues faced by the greater Arab world. They are hesitant to provide a platform for journalists from Saudi Arabia, Egypt and Yemen. Even Lebanon, the Arab world’s crown jewel when it comes to press freedom, has fallen victim to the polarization and influence of pro-Iran Hezbollah.

The Arab world is facing its own version of an Iron Curtain, imposed not by external actors but through domestic forces vying for power. During the Cold War, Radio Free Europe, which grew over the years into a critical institution, played an important role in fostering and sustaining the hope of freedom. Arabs need something similar. In 1967, the New York Times and The Post took joint ownership of the International Herald Tribune newspaper, which went on to become a platform for voices from around the world.

My publication, The Post, has taken the initiative to translate many of my pieces and publish them in Arabic. For that, I am grateful. Arabs need to read in their own language so they can understand and discuss the various aspects and complications of democracy in the United States and the West. If an Egyptian reads an article exposing the actual cost of a construction project in Washington, then he or she would be able to better understand the implications of similar projects in his or her community.

The Arab world needs a modern version of the old transnational media so citizens can be informed about global events. More important, we need to provide a platform for Arab voices. We suffer from poverty, mismanagement and poor education. Through the creation of an independent international forum, isolated from the influence of nationalist governments spreading hate through propaganda, ordinary people in the Arab world would be able to address the structural problems their societies face.

出典:ワシントン・ポスト紙

 

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以降が翻訳した文章です。

 

アラブ世界が最も必要なものは自由な表現

 

 ジャマル・カショギ 10月17日 午後7:52

 

私は最近、Freedom Houseによって出版された2018年の「世界の自由」というレポートを見て重大な現実に直面しました。

アラブ世界には「自由」だと言える国が1つしかありませんでした。

その国はチュニジアです。

ヨルダン、モロッコ、クウェートが2位で「部分的に自由」と分類されています。

アラブ世界の残りの国々は「自由ではない」と分類されていました。

 

これらの国に住むアラブ人は、情報を知らされていないか、誤った情報を受けとっています。

彼らは地域とその日々の生活に影響を及ぼす問題についてあるべき対処をすることができず、また公然と議論することもほとんどありません。

国家により虚偽の事実が流布され、多くはそれを真に受けてはいませんが、大多数の人がこの虚偽の事実の犠牲者になっています。

残念ながら、この状況は変わることはありません。

 

アラブ世界は、2011年のアラブの春(注)のころ希望に満ちていました。

注:アラブの春2010年から2012年にかけてアラブ世界において発生した、前例にない大規模反政府デモを主とした騒乱の総称である。2010年12月18日に始まったチュニジアのジャスミン革命から、アラブ世界に波及した。出典:Wikipedia

ジャーナリスト、学者、普通の人々は、それぞれの国で明るく自由なアラブ社会への期待に満ちていました。

彼らは政府の権力と介入、情報の検閲から解放されることを期待していました。

こうした期待はたやすく砕かれてしまいました。

社会は以前の状態に戻ったか、以前よりも厳しい状況に直面しています。

 

私の親愛なる友人、著名なサウジのライター、Saleh al-Shehiは、サウジのプレスで今までに出版された最も有名なコラムの1つを書いています。

彼は残念なことにサウジの体制に反対するコラムを書いたことで5年の懲役刑を受けています。

エジプト政府が、新聞社の印刷物「Al-Masry al Youm」を全面的に押収をしても、同僚たちは沈黙しました。

こうした行為が国際社会の抵抗を呼ぶことはもはやありません。

むしろジャーナリストの沈黙に対し非難を浴びることになります。

 

アラブ諸国の政府はメディアへの報道規制を強めています。

ジャーナリストたちは印刷媒体への検閲と管理から、インターネットこそが情報を解放すると信じていた時がありました。

しかし政府による徹底した報道規制で、インターネットもブロックされています。

また地元の記者を逮捕し、特定の出版物で収入が得られないように広告主にも圧力をかけています。

 

アラブの春の精神を具現化し続けているオアシスはあります。

カタールの政府は、「古いアラブ秩序」を守り続ける隣国とは対照的に、国際的な報道を支援しています。

しかし「部分的に自由」と考えられるチュニジアとクウェートは、メディアは国内問題に焦点を絞っており、より大きなアラブ世界が直面している問題には焦点を当てていません。

彼らは、サウジアラビア、エジプト、イエメンのジャーナリストのためのプラットフォームを提供することを躊躇しています。

報道の自由を求めるレバノンも、シーア派イスラム主義の政治組織ヒズボラの偏向報道の被害者です。

 

アラブ世界は権力を争う国内勢力によって自ら鉄のカーテンで閉ざし外部の情報を遮断しています。

冷戦時代、何年もかけて重要な機関に成長したラジオ・フリー・ヨーロッパは、自由への願いを育み、維持する上で大切な役割を果たしました。

アラブ人も同様のものが必要です。

1967年、「ニューヨーク・タイムズ紙」と「ワシントン・ポスト紙」は、世界中の声のためのプラットフォームとなるべく、「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙」(注) を共同で興しました。

注:「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙」
「ワシントン・ポスト紙」が撤退し、現在「インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙」と呼ばれています。

「ワシントン・ポスト紙」は、私の記事の多くを翻訳してアラビア語で出版することに尽力してくれています。

そのことに私は感謝しています。

アラブ人は、自分たちの言葉で読むことで、米国と西欧における民主主義のさまざまな側面や複雑さを理解することができます。

エジプト人がワシントンの建設プロジェクトの実際の費用を明らかにする記事を読むと、自分の地域社会における同様のプロジェクトについてはどうなのだろうと、より理解を深めることができます。

 

アラブ世界に国境を越えて発信できる新しいメディアがあれば、市民は世界の出来事について知ることができます。

重要なことは、アラブの声のためのプラットフォームを提供する必要があるということです。

私たちは貧困、失政、劣悪な教育環境に苦しんでいます。

プロパガンダでヘイトを拡散する国粋主義的な政府の影響を受けない、独立した国際的な言論の場を形成することで、アラブ世界の普通の人々は社会が直面する構造的問題に向き合えるようになるでしょう。

 

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まとめ

 


image:産経ニュース

 

公表されたコラムには編集者による注記がされていました。

編集者のKaren Attiahはこの記事についてこのように賞賛を述べています。

 

このコラムは、アラブ世界の自由に対するカショギ氏の言論と情熱を完全に表現しています。

 

そしてこの注記をこのような謝辞で結んでいます。

 

彼が1年前に最後のジャーナリズムの表現の場として「ワシントン・ポスト紙」を選び、そんな彼と一緒に働くことができたことを永遠に感謝します。

 

 

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カショギ氏は権力と欺瞞に満ちたアラブ世界を変えたかったのでしょう。

その為にジャーナリストができることを、言論の自由が保証されたアメリカ合衆国をベースに実行してきました。

カショギ氏はアラブ世界で起こっている不条理を世界のひとが知るチャンスをくれたのだと思います。

またアラブ世界のひとに世界の中のアラブを知るきっかけを作ったのでしょう。

期せずして、死をもって残した録音データが彼が求めた自由への鍵になるのでしょうか。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

関連記事を紹介させていただきます。

 

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