ブロック塀の倒壊で亡くなった女児。優しい三宅璃奈ちゃんを殺めたものは何か?高さ、控え壁、鉄骨全てで建築基準法違反のままにした原因は?

ブロック塀の倒壊で亡くなった女児。優しい三宅璃奈ちゃんを殺めたものは何か?高さ、控え壁、鉄骨全てで建築基準法違反のままにした原因は?

大阪北部の震度6弱の地震

 

出典:Tenki.jp

 

大阪北部の震度6弱の地震で大きな被害が出ていることは多くのメディアでも刻々と報じられている通りです。

以下は妙徳寺の境内の壁が大きく崩壊した様子です。

こうした歴史的建造物も多く残されている地域ですので、古いものから崩壊しているようです。

残したいものから壊れてしまうという状況は心苦しいものがあります。

 

 

高槻市の民家で火災が発生しています。

朝の地震でちょうど料理などをする時間帯だったため、火災も起こりやすいようです。

 

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プール横のブロック塀は違法建築物だった

 

高槻市寿永小学校のプール横のブロック塀が崩壊し、小学生女児が亡くなっています。

 

 

つなぎ目がぽっきりと折れていることが分かります。

 

亡くなった女児は9歳の三宅璃奈ちゃんでした。

挨拶週間で、いつもより早く学校に向かったことで、今回の事故に巻き込まれてしまいました。

同級生の少年が怪我をした際にすぐに助けてくれる優しい子だったようです。

改めてご冥福をお祈り申し上げます。

璃奈ちゃんは通学路が車道沿いのため「グリーンベルト」を歩くよう指導されており、それを守っていただけでしたが、それが裏目になったという側面もあります。

地震の際にはブロック塀からは離れる、という後付けの約束事よりも、日常から先生に言われていた約束をしっかり守っていただけなんです

どうしてそんな優しいしっかりものの彼女が、人生を奪われなければいけなかったのでしょうか?

 

市はこの事件について、「違法建築物」だったことを認めました。

前回このブログで扱った際に、写真を見る限りでも明らかに真ん中でぽっきりとへし折れており、きちんと鉄芯が入っていたかどうかなどのチェックと補強がなされていなかったのでは?と疑義を提起いたしましたが、やはり違法だったようです

前回の記事はこちらになります。

第一報の生々しい状況ですので耐性の無い方はご覧にならないでください。

 

大阪北部、高槻市(有馬ー高槻断層帯付近)で震度6弱の地震。高槻市立寿栄小学校で女の子がプール横の壁崩壊で死亡しています。悲しい地震被害を減らせるよう準備を!

 

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違法性の状況について

 

出典:リショップナビ

 

ブロック一個で10キロ近くあり、縦8段、横100列に重ねられたブロック塀でした。

重量にして8トン

これだけでも倒壊したときの衝撃が想像できますね。

 

違法性を認めているのは主に2点です。

  • 高さが基準値オーバー
  • 控え壁が無い

 

高さについて

ブロック塀は、基礎になる部分が1.9m、その上に崩壊したコンクリートブロック塀が1.6m積み上げられ、合計で3.5mになっていました。

建築基準法では、コンクリートブロックの高さは2.2m以下に定められています。

今回は3.5mということで違法でした。

 

 

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「控え壁」について

基礎の壁が1.2m以上の場合は「控え壁」が必要でした。

今回は1.9mのため、明らかに必要なケースでした。

なお基礎より上は1.6mですが、法律的には道路から測るとのことです。

「控え壁」は建築基準法では『3.4mごとに高さの1/5以上の突出したもの』が必要とされていますが、これが一つも無かったため、「非常にもろい」状態だったと言わざるを得ません。

なお後から気が付いた学校側で「控え壁」に当たるものを追加すれば良かったのかというと、もとのブロック塀との結合部分が弱ければ結局倒壊していまうため、工事は専門業者がやらないと意味が無いようです。

やはり国、自治体が包括的にやらないといけないということになります。

↓「控え壁」はこんなやつです。

 

また、前項の写真でつなぎ目の鉄芯をみてもらうと分かる通り、明らかに短いことが分かります。

ブロック塀自体は倒れても大きく破壊されなかったことから、ブロック塀の強度は強く、つなぎ目がもろいという状況もわかります。

この点も建築物としては欠陥があったと言えそうではないでしょうか?

 

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点検について

 

 

安全性の点検は3年に1度の定期点検で行っていたようです。

直近では2017年1月31日でした。

膨大にあるブロック塀の点検ペースとしては、少なくはないようです。

ただし、目視で点検のみしか行っておらず、鉄芯の状態などを細かくチェックするようにはなっていませんでした。

建築自体はしっかりしていることが前提の点検だったということになります。

 

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何故、建築基準法違反になっていたのか?

 

 

1974年に小学校が建設された際には、基礎部分より上はフェンスだったそうです。

フェンスがいつブロック塀に変わったのかは調査中ですが、理由としてはプールを盗撮などから隠す目的ではないかとみられています。

このブロック塀に変更した理由自体は子供たちを守るためですので良い施策だったはずです。

では、何故違法建築になっていたのでしょうか?

それは建築基準法の改正時期との兼ね合いがありそうです。

1978年に宮城県沖地震があり、28人中18人がこうしたブロック塀の倒壊で亡くなっています。

それを受けて、1981年に建築基準法が改正され、現在の基準になりました。

1974年から1981年までの間にブロック塀に直されていたとしたら、それは違法とはなりません。

これを「既存不適格」の状態と言います。

 

建築時には適法に建てられた建築物であって、その後、法令の改正や都市計画変更等によって現行法に対して不適格な部分が生じた建築物のことをいう。

建築基準法は原則として着工時の法律に適合することを要求しているため、着工後に法令の改正など、新たな規制ができた際に生じるものである。そのまま使用していてもただちに違法というわけではないが、増築や建替え等を行う際には、法令に適合するよう建築しなければならない。

出典:Wikipedia

 

この場合では、道義的には耐震性を高めておく必要がありますが、法的に強制ではありません。

住宅は自治体の補助で補強工事を行えるようにしていましたが、ブロック塀の補強を補助するという制度はありません。

こうした法の抜け穴に落ちていた可能性があるようです

 

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地震災害に対する対策の遅れ

 

出典:ANN

 

福岡大の古賀一八教授(建築防災学)は、熊本地震後に益城町内のブロック塀258カ所を調査。基準を満たさない塀は、230カ所(89・1%)だった。昨年調べた福岡市内の通学路でも、645カ所のうち、95%が基準未満。控え壁は69%で必要だったが、1%しか設けていなかった

出典:朝日新聞DIGITAL

 

大阪府の小学校の「校舎・体育館」の耐震化率は99.7%に達しています。

これは阪神淡路大震災の経験からです。

ところが塀については対象外になっていました。

それは膨大な修繕作業の優先度を決めるうえで、「校舎・体育館」が優先されていたとみられています。

しかしそれは言い訳のような気もします

1995年の大震災から20年以上が経過していて、99.7%の「校舎・体育館」は耐震化できているわけです。

塀を補修いなかったのは、単なる見落とし、お役所仕事のためと言われても申し開きでき無さそうですよね?

 

また何故、建築基準法が改正された際に、小中学校のブロック塀について一斉点検がされなかったのでしょうか?

専門家は「建築基準法の改正のきっかけが宮城県沖地震の被害だったが、発生が夕方で犠牲者の多くが大人だったことから、小学校よりも他の公共施設の塀が優先されてしまった結果だろう」と話しています。

これも「なんだかなあ…」という言い分です。

 

この事故を受け、政府は早急に点検を行うことを決めています。

 

首相官邸で開かれた関係閣僚会議で、安倍首相は「公共交通、ガス、水道などライフラインの復旧に全力で取り組んでいただきたい」と指示。また、「小学校のブロック塀が崩れ、幼い命が失われる事態となった」と語った。

「通学路のブロック塀の安全点検を行うべきだ」と指摘した。ブロック塀などの点検は、文部科学省が主体となって行う予定だ。点検結果を待って、政府としての対応を決定する。

出典:YOMIURI ONLINE

 

この対応の早さは評価できますので、「確実に」実行をしていただきたいと思います。

 

「言われた通り、どこどこまでやったからおしまい」のような仕事ではなく、いい加減そういうお役所仕事のルーチンからはみ出して、ベストを尽くす自治体が現れてくれるといいのですが。

仕組みが無いなら仕組みを整えてください。

 

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まとめ

 

出典:Jコーポレーション

 

千葉県でもこのところ頻繁に地震が起こっていますが関連は無いそうです。

相模トラフへ沈み込んでいるもので、ゆっくり断層がずれる「スロースリップ」と呼ばれる現象によるもののためです。

 

今回の地震の震源は、「有馬ー高槻断層帯」の付近でしたが、1596年の慶長伏見地震以来となります。

前回の記事でお伝えした通り、「マグニチュード7.5程度が30年以内に、0.03%」という予測でした。

付近にある生駒断層帯、上町断層帯との連動ともみられているし、まだ別の断層があるかもしれないとも言われている状況からすると、「どこで何があっても不思議では無い」と言えます

今後、有馬ー高槻断層帯付近で刺激をうけ、大きな地震が起こる可能性はあります。

マグニチュード8~9の南海トラフ地震は「30年以内に70%~80%」と言われてきましたが、今回の地震を受けて、数年以内では?と考えておくべきです。

 

地震を防ぐことよりも、自治体と各家庭で「減災」の意識を持って対策をしておくことの方が重要だと思います。

 

以下の「ゆれやすさマップ」で日本全国のゆれやすさについて、調べることができます。

これはプレートとプレートの “ひずみ” がたまりやすい場所が、強い地震が起こるとみられている研究結果から作成されています。

皆さんが住まわれている地域の「ゆれやすさ」を確認しておき、危機意識と減災の対策を行っておくことをお勧めします。

 

ゆれやすさマップ

出典:Jコーポレーション

 

毎度のことですが、SNSでデマを拡散するやからが現れています。

これもSNSの弊害と言える部分ですので、各自で “見抜く力” を付けて惑わされないことが大切ですね。

なお、熊本地震で「ライオン脱走」というデマをSNSで拡散した男は、威力業務妨害容疑で逮捕されていますので、拡散主もいい加減にやめておきましょう。

モラルが高いと言われている日本人でも、関東大震災の折にデマ情報で多くの虐殺が行われてしまったという、今では考えられないような歴史があります。

とにかく冷静にいられるためにも、事前の備えがいかに大事かということだと思います。

 

あとは。

基礎の上のフェンスがいつブロック塀に直されたのかは、確実に調べ、適切に処分を下して欲しいところです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

関連記事を紹介させていただきます。

 

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その仕組みを説明しています。

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