カワウソとはどんな動物?
カワウソは川や湖などに生息するイタチ科の哺乳類です。
漢字では「川獺」と書きます。
南極、オーストラリア、ニュージーランドを除く、世界全域の水辺や海上で生息しています。
東南アジアなどにも多く生息をしています。
日本にも「ニホンカワウソ」が生息していましたが、2012年8月に絶滅種に指定されました。
コツメカワウソブーム
image:ウィキペディア
確かにカワウソは可愛い!
表情が愛らしく、比較的人懐っこい性格です。
日本では2017年ごろから、急速にカワウソブームが到来しています。
特に動物園でもよく見かける「コツメカワウソ」の人気に火が付きました。
テレビで紹介したり、カワウソを愛でることができるカフェが次々と出来ています。
それがまたさらに人気を煽っています。
例えばこんなお店もあるようです。
適正に入手したカワウソであれば問題はありませんので、無理に個人で入手するより、こうしたお店で愛でるというのはひとつの選択肢だろうと思います。
東京・池袋の「うさぎカフェmimi」では、うさぎに加え、コツメカワウソ4匹とも触れ合えるそう。最近話題の、しかし謎の生き物カワウソと触れ合ってみたい! とお店にお邪魔したのでした――。
出典:exiteニュース
コツメカワウソを飼いたい!
image:千葉市動物公園
こんなに可愛いコツメカワウソ。
もちろん個人でも飼いたいという人も増えているようです。
しかしながら、個人で入手は容易ではありません。
カワウソを飼うには国内で繁殖されたもの、輸出許可書を得て輸入されたものに限られています。
コツメカワウソは輸出制限に加え、人工繁殖困難という理由から希少価値が高く、最低でも60万円は必要になります。
爆発的に流通量が増える見込みもないので、当面は価格が下がることもないでしょう。
また、コツメカワウソは国内流通個体数が少なく、ペットショップでも滅多に取り扱われないです。
カワウソを飼いたい場合は最寄りのペットショップや専門店に相談してみるといいかもしれません。
出典:Pet Pedia
このように、高額なうえにほとんど販売もされないため、偶然ペットショップで見つけたら相当ラッキーなはずです。
しかし、そのコツメカワウソ、本当に正式なルートで入手されたものでしょうか?
カワウソブームの陰
image:Oha!4 NEWS LIVE
コツメカワウソは可愛いし、飼ってみたい。
でも、その前にしっかり、カワウソたちの現状を知っておいてください。
日本に多く輸出される「コツメカワウソ」は、国際自然保護連合のレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。
ワシントン条約で商業目的の国際取引をするためには輸出国の政府の許可書が必要です。
頭数や輸出先、取引先などを詳細に調べ、厳格な審査をパスしなければ輸出は認められないはずです。
そのため、密輸が横行しています。
2017年、東南アジアでの密輸摘発で45匹のカワウソを押収しているそうです。
その7割、32匹が日本向けに輸出される計画だったことが分かっています。
2015年、2016年は14匹が押収されましたが、いずれも日本向けはなかったそうです。
明らかに、2017年からの日本のカワウソブームが、影響を与えています。
密猟自体を増やしている要因になっていると言えそうです。
なお32匹はいずれもコツメカワウソの幼獣で、タイの空港で摘発しています。
タイ国内ではカワウソの取引を禁止しています。
以前は市場でカワウソを公然と売っている姿が見られましたが、近年当局が厳しくなり、販売業者は姿を消しました。
上の画像はタイで毎週開かれる動物の市場で取材をした映像の一部ですが、市場の女性もカワウソの販売は法律違反だと話しています。
しかしそうした業者は地下に潜り、当局に発見されにくいSNSで密売をしているという実態があります。
以下はタイの密輸業者と接触し、カワウソについて質問をしたやり取りです。
image:Oha!4 NEWS LIVE
(密輸業者)
珍しい動物を売り買いしています
image:Oha!4 NEWS LIVE
(取材班)
カワウソはありますか?
image:Oha!4 NEWS LIVE
(密輸業者)
あるよ
3200バーツだ(1万円程度)
野生生物の取引を監視する国際NGOトラフィックは、このように見解を示しています。
トラフィック・ジャパンの北出智美代表は「日本のカワウソのペットブームが違法取引を誘発している可能性がある」と指摘する。
出典:朝日新聞デジタル
日本では、1匹で安くて80万円から90万円くらい、高いものでは160万円で売られているものもあるそうです。
日本の業者はタイの密輸業者から1万円で入手したコツメカワウソを80万円から160万円で販売し、暴利をむさぼっている実態もありそうです。
また、国際NGOトラフィックは、劣悪な密輸の方法にも言及しています。
クスリを飲ませて動かないようにする手口がとられることもあります
出典:Oha!4 NEWS LIVE
暴れれば傷ついてしまう恐れもあるので、動物の運搬というのはデリケートさが要求されますが、長時間の輸送のために見張りをつけるようなコストを掛けたくないため、何らかのクスリをエサに混ぜて飲ませ、身動きが取れないようにしてしまうことを指しているのでしょう。
カネのことしか考えていない密輸業者がいったいどんなクスリを投入しているかなんて、知れたものではありません。
到着したら死んでいた、なんてことにもなりかねません。
誰から買ったって、手に入ればいいということでは無いのです。
アライグマの例を忘れないで
image:news24.jp
「輸出するやつが悪い」と思いますか?
もちろんそれも大きな要因ではあります。
しかしもう一つの側面として、高値で買う人がいるから、沢山密猟されているという要因があるでしょう。
可愛いから飼いたいという気持ちはよく分かりますが、かつてそうした一過性のブームで沢山日本に輸入され、捨てられた動物のことを忘れてはいけません。
ピンとくる方はいると思いますが、「アライグマ」です。
今や日本の各地に生息しているアライグマですが、もともとはアメリカが原産の動物です。一昔前に日本にブームが訪れて、ペットとして大量に輸入されました。小さいときはとても愛らしく、人懐っこい性格のアライグマですが、成体になると性格が一変します。とても凶暴になり、人に襲いかかってくるのです。ペットとして購入した方が育てきれなくなり、山や野原に捨てたアライグマが日本で野生化したのです。
可愛いから飼っているうちは良くても、思ったより飼いにくかったり、ブームが去ってしまって飽きてしまったりという理由で捨ててしまえば、動物にとっては悲しい結末が待っています。
アライグマの例では、繁殖して野山から降りてきて田畑を荒らすようになると、駆除される対象になってしまいました。
コツメカワウソも、今現在、密輸された後に保護、行き場を失ってしまい自治体の委託で動物園などで飼うようになるというケースが増えているようです。
これはまだ良いケースですが、今後個人が飽きて捨ててしまえば、野犬などとの生存競争に負けて死んでしまったり、逆に日本の古来からの種類を食ってしまったりすることも考えられることでしょう。
そうなればまた駆除の対象になってしまう可能性もあります。
まとめ
image:個人撮影
人間は動植物を食べ、生命を頂いて生きていますので、いまさら「可愛いから守らなければならない」なんて綺麗ごとは言いません。
しかし、自分の好きなように動物の生命を売り買いして、行き場を失わせて、惨めな最期を遂げさせるというのは、食物として生命を頂くという行為とは何か違うものを感じています。
この違和感は、僕だけではなく、皆さんでも是非、考えていただくことでは無いかなと思っています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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