原爆の日に平和記念式典で安倍首相は核兵器禁止条約に触れず?被爆国として廃絶は絶対命題だが、北朝鮮の核と拉致問題解決のためアメリカの核の傘を否定できない立場か。

原爆の日に平和記念式典で安倍首相は核兵器禁止条約に触れず?被爆国として廃絶は絶対命題だが、北朝鮮の核と拉致問題解決のためアメリカの核の傘を否定できない立場か。

鎮魂の黙とう

 

 

2018年8月6日、広島への原爆投下から73回目の原爆の日を迎えました。

広島県の平和記念公園で平和記念式典が行われました。

 

黙とう…

 

その言葉と同時に鐘が鳴らされます。

 

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静かに、黙とうの時間が過ぎていきました。

 

皆それぞれの想いと共に、祈りを捧げました。

 

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平和記念式典での挨拶

 

 

式典には、85か国の代表を含め、約5万人が参列しました。

 

広島市の松井市長は、平和宣言で被爆国の日本が参加しないまま、2017年に国連で核兵器禁止条約が採択されたことについて政府に求めました。

 

NPT、核拡散防止条約に義務付けられた核軍縮を誠実に履行し

さらに核兵器禁止条約を

核兵器のない世界への

一里塚とするための

取り組みを進めていただきたい

 

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安倍総理は以下のように挨拶をしました。

全文を書き起こし掲載させていただきます。

 

1発の原子爆弾が街を一瞬にして破壊し

十数万ともいわれる貴い命を奪いました

あれから73年、一命をとりとめた方々にも

筆舌に尽くし難い苦難の日々をもたらしました

若者の夢や明るい未来が容赦なく奪われました

原子爆弾の犠牲となられた数多くの方々のみたまに対し

謹んで哀悼の誠を捧げます

そして、今なお被爆の後遺症に苦しまれている方々に

心からお見舞いを申し上げます

広島、長崎の悲劇を再び繰り返してはならない

唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」の実現に向けて

粘り強く努力を重ねていくこと

それは我が国の使命です

 

近年、核軍縮の進め方について各国の考え方の違いが顕在化しています

真に「核兵器のない世界」を実現するためには

被爆の悲惨な実情の正確な理解を出発点として

核兵器国と非核兵器国双方の協力を得ることが必要です

我が国は非核三原則を堅持しつつ

粘り強く双方の橋渡しに努め

国際社会の取り組みを主導していく決意です

 

その具体的な取り組みとして昨年、核軍縮に関する「賢人会議」を

ここ広島で開催しました

「賢人会議」を通じて有識者の知見も得ながら、核兵器不拡散条約発効50周年となる

2020年のNPT運用検討会議が意義あるものとなるよう

積極的に貢献してまいります

 

また、その非人道性を後の世に、また世界に伝え続ける務めが我々にあります

若い世代が、被爆者の方々から伝えられた被爆体験を語り継ぐ

政府として、そうした取り組みをしっかりと推し進めてまいります

 

被爆者の方々への援護施策については保健、医療、福祉にわたる

支援の必要性をしっかりと受け止め

被爆者の方々に寄り添いながら

今後とも総合的に推進してまいります

特に原爆症の認定について、引き続き一日も早く結果をお知らせできるよう

できる限り迅速な審査を行ってまいります

 

結びに、永遠の平和が祈られ続けている、ここ広島市において

「核兵器のない世界」と恒久平和の実現に向けて力を尽くすことを

お誓い申し上げます

原子爆弾の犠牲となられた方々のご冥福と

ご遺族、被爆者の皆様、並びに参列者、広島市民の皆様のご平安を祈念いたしまして

私のあいさつといたします。

 

平成30年8月6日 内閣総理大臣 安倍晋三

 

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また広島市の記者会見では、安倍首相は日朝関係についてこのように述べています。

 

最後は私自身が

金正恩委員長と向き合い

対話を行い

核・ミサイル

そして

何より重要な拉致問題を解決し

新しい日朝関係を築いていかなければ

ならないと考えています

 

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日本の核兵器禁止条約への不参加について

 

安倍首相は核兵器禁止条約への批准については言及を控えました。

広島市の松井市長は、被爆国の日本が核兵器禁止条約に参加しないまま採択されたことに懸念を表明しています。

 

この双方の隔たりは、日本の舵取りと、唯一の被爆国としての舵取りの大きな隔たりであると言わざるを得ないでしょう。

本来の日本のあるべき核兵器に対する姿勢は、明確に廃絶を唱え、リーダーシップをとっていくことでしょう。

悲惨な戦争を、核兵器使用を、もう二度としない、させない。

その筋論は絶対に間違いありません。

唯一の被爆国であるという歴史の事実は絶対に揺るがないためです。

 

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しかし歴史をみると、アメリカ合衆国の核の傘の元、冷戦時にはソ連(ロシア)、現在は北朝鮮といった「核の脅威」から守られているという事実もあります。

核兵器は1発で国を亡ぼす悪魔の兵器ゆえに、世界の平和の均衡を保つ役割を果たしてきたという、「矛盾だらけの世界」に僕たちは生きていることからも目を背けてはいけないのではないでしょうか。

 

核兵器禁止条約に日本が批准していなかったことについて、当時政府の判断を岸田外相がこう述べられています。

 

広島選出の岸田外相(当時)が、苦渋に満ちた表情で核兵器禁止条約の交渉への参加を否定した際、「核兵器国と非核兵器国の対立を一層深めるという意味で、逆効果にもなりかねない」と表明した。

 

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採択当時の2017年に核保有していた国(米、露、英、仏、イスラエル、中、印、パキスタン)が全て反対、棄権をしています。

この核兵器禁止条約はNPTでは無しえなかった法的効力を持たせており、核兵器の根絶を目標としているためです。

現実には核兵器で世界を脅かし脅迫している国が存在し、核保有国には自国の安全保障上必要という大義名分が存在します。

 

核兵器保有国であるインドとパキスタン、そしてイスラエル(公式に核兵器保有を表明していない)は、NPT(核兵器不拡散条約)に参加せずに核兵器開発を行い、北朝鮮とイランはNPT(核兵器不拡散条約)内で核兵器の開発を進めた。

出典:現代ビジネス

 

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このように北朝鮮はNPTに批准しながら、それを隠れ蓑にして核開発を続けてきた事実があります。

NPTからさらに推し進めて「廃絶」とする核兵器禁止条約を作っても、結局はその脅威は拭えません。

批准しなかった核保有国はこのように理由を述べています。

 

核保有国である米英仏の国連代表部は7日、共同声明で署名や批准、締結をするつもりがないことを明らかにした。声明は条約について「我々に何の法的義務を負わせることもできない」とし、「核抑止の政策と整合性がない」「北朝鮮による核開発の脅威に対する解答策にはならない」などと批判した。

出典:毎日新聞

 

しかし非核保有国は核兵器を廃絶して安全保障を確保したいと主張します。

このように国際社会が分割され、核兵器禁止条約の批准国が強引に核保有国に批准を要求すればするほど、溝が深まり結果として核廃絶の道は遠のいてしまいます。

日本がこの核兵器禁止条約に批准しなかったのは、この逆効果を恐れたという表上の理由と、アメリカ合衆国の核の傘を否定することでアメリカ合衆国の怒りを買うことを恐れたという裏側の理由があるでしょう。

アメリカ合衆国の核兵器を否定することが今の日本にはできない事情は、次の項でお話します。

 

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北朝鮮の核兵器開発と拉致問題の難しさ

 

 

これまでも北朝鮮には国連主導で核兵器廃棄を約束させ、いったんは廃棄したように見せかけ、長い年月をかけてとうとうアメリカ合衆国まで届くミサイルの開発に成功してしまいました。

北朝鮮の狙いは、アメリカ合衆国によるアジア支配が気に食わないというような体裁をしながら、米軍基地をアジアから無くすことを最終目的としていることは明白です。

その背後には中国の影がチラつきます。

北朝鮮は、2018年2018年6月12日にシンガポールで実施された米朝会談に先んじて、5月7日から8日にかけて中朝首脳会談を実現させています。

その後に、米朝首脳会談でシンガポールの向かうための航空機を中国が貸し出していますが、この裏約束もここでされていたのではとみられています。

こうした一連の「アメリカ合衆国に先んじて中国と話をする」という姿勢は僕らが思っていた以上に、北朝鮮と中国との繋がりを感じさせるものでした。

このまま北朝鮮の核兵器保有を認めざるを得なくなり、その交換条件としてアメリカ合衆国を攻撃しないという約束をして米軍撤退を許してしまえば、アジア、及び極東の平和はどうなっていくのでしょうか。

 

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日本は「核兵器」に加え、北朝鮮に「拉致問題」というカードを握られています。

交渉事はカードが多い方が有利に決まっています。

日本だけで北朝鮮と交渉を進めることは、金一族の言いように経済支援だけ引き出され、何も成果を得られない結果に終わる可能性が非常に高いことが懸念されます。

核兵器問題と拉致問題をセットで対話せざるを得ないというところが日本の弱みです。

こうしたアジア全域の平和を鑑みつつ、拉致問題の解決もはからなければならないのが今の日本の舵取りの難しさと言えるでしょう。

昨今の環太平洋の勢力図は、20年数年前と一変しています。

 

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過去はアメリカ合衆国と日本が世界の経済を握っていました。

  • 経済と軍事ともに強いアメリカ
  • 経済が強く在日米軍と核の傘で守られた日本

双国のメリットを共有し、日米安保の名のもとに手を組んでやってこられました。

その間に、中国や北朝鮮のことは「発展途上国のひとつ」「安価な人件費の工場拠点」としかみていなかったのです。

 

現在は状況が一変しています。

  • 経済が強く軍拡する中国
  • 核兵器の開発をやめない北朝鮮
  • 世界の警察を降りたアメリカ(米軍基地も本心は撤退したいトランプ)
  • 軍事を操れず経済が弱体化した日本

これが悲しいけど受け入れなければならない勢力図です。

 

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この激変した勢力図の中で、北朝鮮の核と拉致被害者奪還を同時に実現させるためには、核の傘と米軍基地を日本のカードとして残すことはどうしても重要です。

その為、アメリカ合衆国との連携はどうしても避けられません。

トランプ大統領というワイルドカードとはいえ、関係の良さをアピールでも何でもして、アメリカ合衆国には北朝鮮と交渉を継続してもらわなければなりません。

アメリカ合衆国に直接影響のある核兵器の廃棄という本題への追加要素としてでも、とにかく拉致被害者奪還を加えてもらうより無いというのが、悲しいところです。

 

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アメリカ合衆国が北朝鮮の核兵器廃棄を実行させられれば、日本にとっては好都合です。

北朝鮮に握られた2つのカードのうち1つが消滅するからです。

そうなれば圧力の緩和、経済支援をチラつかせ、拉致被害者返還に向け交渉の場に引きずり出すことが出来るでしょう。

(逆にいえば、北朝鮮はそんな大事なカードを容易に手放すはずは無いんですが)

 

トランプ大統領が拉致被害者奪還まではもう手が回らないと匙を投げるまで日本はグッと堪えるべきでしょう。

そしてその時がやってきたら、安倍首相が直に日朝会談で訴えるより他はありません。

日本は謝罪、多額の賠償金と経済支援という対価を支払うことになるのかもしれません。

安倍首相は広島市の記者会見で、

 

最後は私自身が

金正恩委員長と向き合い

対話を行い

 

と述べていますが、この最後は、というところが、トランプが匙を投げるその時なのかもしれません。

 

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北朝鮮は米朝首脳会談の決め事をあっさり裏切って核兵器開発を続けているとみられています。

トランプから「経済支援は韓国と日本がやってくれるだろう」と発言も出てきていることからすると、意外と近い日かもしれません。

既に日朝首脳会談の開催を巡って、河野外務大臣が北朝鮮の李容浩外相と接触しているそうです。

 

しかし安倍総理のこの発言を受け、北朝鮮は即座に表明をしています。

 

敵視を維持して我々と対座できると思うのか

日本が我が国に負った義務は過去の侵略の犯罪に対する反省と謝罪、賠償だ

 

アメリカ合衆国とともに経済圧力をかけ続ける日本は、北朝鮮にとってはアメリカ合衆国と同じ「敵」となっています。

そんな中で中国、アメリカ合衆国、韓国と首脳会談を成功させ、日本の孤立化をはかっているのは、経済圧力をやめ、あわよくば日本から米軍基地を撤退させたら対座してやってもいいよという上から目線の意思表示に他ならないでしょう。

 

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北朝鮮は拉致問題は解決済みと繰り返す中で、安倍首相は何の「手土産」も持たずに日朝会談を行っても成果は得られないでしょう。

このトレードは、例えればテロリストの要求に屈して身代金を払うことと大して変わりが無いことです。

拉致問題を解決させるために、果たして謝罪と賠償をするのでしょうか。

 

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まとめ

 

 

西日本豪雨から1か月、捜索や復旧作業に追われる被災地でも黙とうが行われました。

 

 

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まだまだ被災地は復興に程遠い状況ですが、仮設住宅の建設など、少しずつでも前に進んでいます。

その中でもこの日の黙とうは、特に広島の被災地にとってはとても大切なものでした。

被災地で作業をされている捜索隊やボランティアの皆さんにとって、離れた場所でテレビ越しに眺めている我々よりも戦争状態に近い日常を送っていると言えるでしょう。

きっと、過去の戦争で焼け野原となった広島を、日本を想って黙とうを捧げられていたのではないでしょうか。

 

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核兵器の廃絶と世界の情勢は当事者国にとっては、どうしてもどちらかだけを選ぶことが難しい。

その中で舵取りをすることは非常に困難を極めています。

核廃絶は容易ではありません。

それでも世界に核兵器の恐ろしさを訴え続けてきたことで、核保有国が核兵器の発射ボタンを押すことを躊躇わせた場面が、実は何度もあったかもしれませんよね。

最大で約65000発、いまだ15000発はあるとされる核兵器で、これまで核戦争が起こっていない事実こそ、唯一の各被爆国としての功績なのかもしれません。

これからも地道に訴え続け、世界の人たちのマインドを変えていき、いつかは核兵器を一斉に廃棄する手段を見つけられるよう努力していきましょう。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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