ヤマトホームコンビニエンスで過大請求問題
クロネコヤマトの宅急便で名の通った「ヤマトホールディングス」の子会社で、引越し業「ヤマトホームコンビニエンス」が長期に渡り過大請求をしていたとして、問題になっています。
2018年7月24日、「ヤマトホールディングス」の山内雅喜社長と、「ヤマトホームコンビニエンス」の和田誠社長が記者会見を開き、謝罪しました。
ヤマトホールディングス(HD)子会社の引越し業「ヤマトホームコンビニエンス」(YHC)の水増し請求問題で、HDの山内雅喜社長とYHCの和田誠社長が7月24日、国土交通省記者会で会見を開き、「心より深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
一部の顧客企業に対し、荷物量を水増しして、料金を過大に請求していたことを認めた。
出典:弁護士ドットコム
過大請求問題とは?
2018年7月25日の当ブログで記事にしていますヤマトホームコンビニエンスの過大請求について四国ブロックで組織的な関与を認める証言がありました。
まずはこの事件について前回記事から概要を説明します。
詳しくは本記事の最後に、前記事のリンクを貼っておきますのでそちらもお読みください。
クロネコヤマトの宅急便で名の通った「ヤマトホールディングス」の子会社で、引越し業「ヤマトホームコンビニエンス」が長期に渡り過大請求をしていたとして、問題になっています。
発覚は内部告発でした。
image:WBSより
2018年7月24日、「ヤマトホールディングス」の山内雅喜社長と、「ヤマトホームコンビニエンス」の和田誠社長が記者会見を開き、謝罪しました。
当初、「ヤマトホームコンビニエンス」の水増し請求は法人引っ越しが対象で、総額17億円にのぼるとされていましたが、調査結果から31億円に膨らんだことが判明しています。
期間は2016年5月~2018年6月の2年間。
(実際は2010年ごろから行われていた可能性あり?)
件数は分かっているだけで4万8000件、対象社数は2640社と膨大です。
「ヤマトホールディングス」の山内雅喜社長は組織ぐるみは否定しています。
参考:2018年7月25日記事 【槙本元氏が内部告発したヤマトホームコンビニエンス(YHC)の水増し請求問題。請求書現物の内容とは?法人だからできた手口とは?山内雅喜社長は組織ぐるみを否定。】
過去5年で31億円となったことは、8月1日の報道で確認できています。
ヤマトホールディングス(HD)は31日、子会社ヤマトホームコンビニエンス(東京都中央区)による法人向け引っ越し代金の過大請求額に関連し、判明済みの約17億円に加え、調査結果を踏まえて新たに約14億円を見積もり、過去5年間の合計で約31億円としたと発表した。
出典:Sankei Biz
誤解の無いよう説明を加えておきますが、17億円の水増しが31億円だった、ということではなく、当初は過去2年間で17億円とし、その後の調査で範囲を広げた結果、過去5年間で31億円まで膨らんだということのようです。
問題の追及する焦点としてこの2点がありました。
- 組織的な関与があったのか
- 悪意で水増ししたのはどの程度あったのか
調査委員会の結果報告
ヤマトホールディングスとして、外部の調査委員会で調べており、8月中に結果を報告するとしていました。
2018年8月31日、ヤマトホールディングスは第三者委員会による調査報告書を国土交通省に提出し、記者会見を行いました。
山内社長も声のトーンは低く、冷や汗を拭いながらの会見だったようです。
この内容なら平然としているよりも冷や汗くらいかいてもらわなければ、過大請求された企業も浮かばれないでしょう。
以下はヤマトホームコンビニエンスで公開したプレスリリースの説明です。
不適切な請求の事象
7 月 24 日に発表のとおり、2016 年 5 月 1 日から 2018 年 6 月 30 日に、全 3,367 社の法人のお客さまからYHCが受注した社員向け引越サービス約 12 万 4,000 件、総額約 165 億円のうち、不適切な請求が 2,640 社、計約 4 万 8,000 件あり、その総額は約 17 億円でした。
その内訳について
- 悪意で上乗せ見積りした事象は、不適切な請求である総額約 17 億円の約 16%と推認されてい
ます。 - その他は、引越における不確定要素を考慮し、積み残しを回避するため見積に余裕を持たせる、
見積後の家財処分等の事情変更などによる不確定見積が修正されなかった結果、不適切な請求
となったと推認されています。
出典:法人のお客さまの社員向け引越サービスにおける不適切な請求に関する調査委員会による調査結果、および再発防止に向けた今後の対処について
この「悪意のある上乗せ」についてこのように述べられています。
過大請求の理由として、いったん了承された見積額は修正しなくてもよいという誤った認識が現場に広がっていたためと指摘した。一方、作業員の収入を上げたり、繁忙期の受注を減らしたりするなどの目的で、悪意をもって見積もりを上乗せした事例が、総額17億円の過大請求のうち、約16%(約3億円)に上るとの推定も示した。
出典:読売新聞
悪意か悪意ではないかは、「作業員の収入を上げたり、繁忙期の受注を減らしたりするなどの目的で意図的に行ったかどうか」のようです。
WBSの取材で、見積額が上がることで給与が上がるような仕組みになっていたようだと、ヤマト子会社の社員が証言していました。
その社員は、上長からの指示で水増しをしていたのではと見解を示していました。
以下は記者会見で記者とヤマトホールディングスの山内社長の質疑の一部です。
記者:
支店長が黙認していた事は組織的か?
山内社長:
直接的な指示
会社主導で行ったわけではない先月会社として指示が無いと言ったが
一部の地域、四国という地域では
上長の指示があった中で上乗せが行われた
記者:
水増し請求のインセンティブが支給されていた?
山内社長:
水増し分が反映された形で
インセンティブも変動しているので
(給与に)含まれています
疑問点
組織ぐるみは否定?
前回記事でもお伝えした通り、四国ブロックでは統括支店長の承認で行われていたことが分かっています。
四国ブロックの統括支店長はヤマトホームコンビニエンス(YHC)の執行役員で、会議上で了承していたということになります。
これはヤマトホームコンビニエンス(YHC)が組織的に関与したと言っても差し支えないはずですが、山内社長は「会社主導」は否定しました。
内部調査委員会でも「会社経営層の組織的な指示はなかった」と報告しています。
やはりそこは会社存続も関わるギリギリのラインなので死守してくるでしょうし、これ以上追及は難しいかもしれません。
過去5年分は?
今回、過去2年間で17億円の水増し分についての報告となっていますが、過去5年間で31億円の水増しがあったことを以前報告しています。
この残りの3年間についてはさらに突っ込んだ調査が行われるのでしょうか。
悪意が無ければいいのか?
不確定見積が修正されなかったものは悪意はない水増しと説明しているが、修正を徹底しなかったことが何故故意ではなかったと言い切れるのでしょうか。
17億円のうち87%が修正し忘れということ自体に異常性を感じます。
修正をしなくても良いもの、と思っていたとすれば倫理的におかしい組織としか言いようがありません。
まとめ
ヤマトホールディングスとして以下の対応を決めています。
- 経営陣は役員報酬の一部を自主返納
- 法人・個人向けの引っ越しサービスの新規受注の休止
しかしヤマトとして失った信頼は大きく、ダメージがあるでしょう。
今回は組織的な行為を否定して終わるのかもしれませんが、内部告発をされてしまうということ一つをとっても、組織内部に黒い噂や良からぬ行為が蔓延し、大企業病に陥っているのではと勘ぐってしまう人も多いはずです。
今後ヤマトホームコンビニエンスを利用しない法人が増え、収益が見込めなくなる前に早急に業務改善を行う必要があります。
報告されている再発防止策がきちんと実施されること、実際されたことをきちんと報告することが求められます。
運送業としてなくてはならない企業というだけではなく、社員の家族の生活も支えているということを改めて認識して、今後の業務に取り組んでいただきたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
内部告発で発覚したヤマトホームコンビニエンス(YHC)の過大請求問題は10倍請求を承認していた!?四国ブロックの統括支店長の承認でいよいよ危険水域か。
槙本元氏が内部告発したヤマトホームコンビニエンス(YHC)の水増し請求問題。請求書現物の内容とは?法人だからできた手口とは?山内雅喜社長は組織ぐるみを否定。
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