KYBに続き大手の改ざんが発覚
image:ニュースウォッチ9より
川金ホールディングスの子会社光陽精機、川金コアテックでも検査データ改ざんが発覚しました。
免震オイルダンパー業界は狭く、選択の余地がありません。
今後の建設業界はどう立ち向かうのでしょうか。
川金ホールディングスでも改ざん
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国土交通省はKYBの検査データ改ざん問題を受け、KYB関連以外のメーカー88社に対して社内調査を求めていました。
2018年10月23日、川金ホールディングスは子会社の光陽精機(茨城県筑西市)が製造し、川金コアテック(埼玉県川口市)が出荷する免震・制振装置で検査データの書き換えがあったことを発表しました。
記者会見した川金ホールディングスの鈴木信吉社長は
多大なご心配ご迷惑をお掛けしていることを深くおわび申し上げます
と頭を垂れ謝罪しました。
また改ざんの理由として以下のように述べました。
体制の不備
目先の納期などに目が行く余り
品質に対する感覚がおろそかになっていたと反省している
調査を求めてから早々に発覚した改ざんです。
しかも免震ダンパーの業界ではKYBに次ぐ第2位のシェアを誇る会社での改ざんとあって、さらなる激震となりそうです。
対象の物件は?
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川金ホールディングスによると、子会社で検査データの改ざんが行われたのは、2005年2月~2018年9月に出荷された装置です。
2005年2月の物件が当社の油圧ダンパー受注第1号の案件のため、製造当初から行われ続けていたことが分かっています。
出荷先は免震装置4件と制振装置89件の計93件です。
同社のダンパーは国内外の193物件に使われており、改ざんが認められたのはその半数にも達する件数ということになります。
以下は大まかな内訳です。
免震装置
東京と大阪の倉庫2件、病院1件、学校1件 /合計4件
制振装置
26都道府県の、教育施設30件、事務所16件、庁舎13件など /合計89件
詳細な物件名は、「所有者の許可が必要」として公表をしていません。
この対応はKYBと同じスタンスのため今後公に公表される可能性があります。
補償交換は?
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鈴木社長は以下のように述べています。
対象物件の所有者、建築会社、設計事務所に丁寧に説明し、顧客の意向を踏まえて交換など適切な処置を行う
免震・制振ダンパーの価格は200万~500万円程度かかります。
その交換には多額の費用がかかります。
鈴木社長は費用について
現時点で業績への影響は言えない
としています。
KYBは圧倒的に業界第1位のシェアを誇っており、改ざんされたダンパーは986件にのぼりました。
その交換には数千億円から1兆円を超える可能性もありえます。
川金ホールディングスはその1/10ほどの件数のため、費用もその程度に収まるように思われますが、交換には物件の壁などに穴をあけるなどの大規模な工事が必要となるため、設置している物件によっては大幅に費用がかさむことも予想されます。
問題点は?
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改ざんが発覚し、今後交換が必要ということももちろん問題ですが、建設業界として大きなインパクトがあります。
KYBという業界第1位の制震・免震オイルダンパーの使用を控え、次にシェアのある川金ホールディングスのダンパーで建設を進めようと考え始めていた事業者は多いはずです。
特に免震オイルダンパーについてはKYBグループ、川金ホールディングス、日立オートモティブシステムズの4社・3グループだけが国内で製造、販売をしているため、90%のシェアを誇る上位2社の信頼性が揺らぐことで、選択肢が無くなることを表しています。
新たな建築時だけではなく、KYBで改ざんのあったオイルダンパーの交換を待たずに、他社で交換をさせる選択肢も無くなってしまいます。
今後長期に渡って、マンションや病院など免震・制震オイルダンパーを必要とする建築物の建設に大きな影響を与える事態になりそうです。
まとめ
東京オリンピックを控えて建築バブルがやってきた矢先に、足元が大きく揺らぐ事態となりました。
社内調査を行っている他社からも同様の改ざんが次々と公表されるようなことにはならなければ良いのですが。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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