つぼ八といえば
image:つぼ八
『鶴光の噂のゴールデンアワー』(ニッポン放送)の合間に、必ずつぼ八のコマーシャルが流れていたっけ。
居酒屋といえば「つぼ八」か「村さ来」が思い浮かぶ、そんな時代がありました。
創業時の店の坪数が8坪だったことから「つぼ八」と命名されたことは割と有名な話です。
そんなつぼ八が、やまやチムニーグループに買収されました。
居酒屋はまだまだ苦しい時代です。
荒波を泳いでワタミ、モンテローザという圧倒的な2社に戦いを挑み続けています。
つぼ八が買収された
image:ぐるなび
ゆるキャラ「つぼっち」はけっこう鋭角に女子人気を狙ってきていて、2018年初頭に話題になりました。
そんなつぼ八、10月29日に、日鉄住金物産株式会社が所有していた株式を譲渡して「やまや・チムニーグループ」の傘下に入ることを発表しました。
以下が株式の譲渡先及び譲渡株式数です。
なお買収金額は非公表となっています。
① 日鉄住金物産株式会社が保有する当社株式数 |
978,000株(議決権保有割合 97.8%) |
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② 譲渡先及び譲渡株式数 |
878,000株(同 87.8%) |
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株式会社やまや |
538,000株(同 53.8%) |
チムニー株式会社 |
340,000株(同 34.0%) |
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③ 譲渡後の株式保有数 |
株式会社やまや 538.000株 チムニー株式会社 340,000株 日鉄住金物産株式会社 100,000株 その他の株主 22,000株 |
そもそもつぼ八って、どんな居酒屋チェーンだっけ?
つぼ八とは?
image:Amebaニュース
居酒屋業界は苦境が続いています。
つぼ八もかつての姿とはいえず、関東ではほとんど見かけなくなりました。
上の画像が「つぼっち」です。
鋭角に狙ってますよね。
こうした努力が、新しい世代の目を居酒屋に向けさせるためには必要です。
以下がつぼ八の概要です。
名 称 |
株式会社つぼ八 |
所在地 |
東京都中央区豊海町5番1号 |
代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 塩野入 稔 |
事業内容 |
飲食店経営、食品加工販売、フランチャイズ事業 |
資本金 |
5億円 |
設立年月 |
1982年4月 |
つぼ八の凄さは、概要では読み取れません。
なにしろ現在の居酒屋業界を牛耳っている2大企業の前に既に居酒屋フランチャイズの帝王だったということです。
今ではあまり見かけなくなりましたが、その昔は都市部のどの街にもつぼ八か村さ来がある、そんな時代があったんです。
1973年に札幌市で創業、その後イトマンの傘下に入り、イトマンを日鉄住金物産株式会社が吸収合併し、日鉄住金物産株式会社が運営を行っていました。
1975年に、つぼ八五反田東口駅前店の店長をしていた大神輝博氏が独立して、新宿歌舞伎町にパブレストラン「モンテローザ」を開店しました。
それが、現在居酒屋業界第2位の「モンテローザグループ」の創業店となりました。
「モンテローザグループ」といえば、「白木屋」「魚民」「笑笑」「千年の宴」「月の宴」「山内農場」といった都市部ならどこにでも見かける居酒屋を次々と出店しており、誰でもすぐにわかる大手のはずです。
1Fから上階までモンテローザ系の店で固めてお客さんを囲い込む「モンテローザビル」でも有名ですよね。
業界1位の「ワタミ」も、当初はつぼ八とフランチャイズを結んで、つぼ八として始まっています。
後に「和民」として出店しつぼ八ではなくなりましたが、第1号店はつぼ八だったわけです。
つまり「ワタミ」はつぼ八からフランチャイズのノウハウを学んだのです。
今では巨大な2社の影で北海道を中心にこつこつと経営をしているようですが、元は日本の大型居酒屋チェーンの始祖だったと言っても過言ではないのではないでしょうか。
やまや・チムニーグループとは?
image:ふくラボ!
つぼ八を買収した「やまや」とはどういった組織なのでしょうか。
以下が「 株式会社やまや」の概要です。
名 称 |
株式会社やまや |
所在地 |
宮城県仙台市宮城野区榴岡三丁目4番1号 |
代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 山内 英靖 |
事業内容 |
酒類・食品類の輸入及び小売・卸売、通信販売 外食事業 |
資本金 |
32億4,733万円 |
設立年月 |
1970年11月 |
以下が「チムニー株式会社」の概要です。
名 称 |
チムニー株式会社 |
所在地 |
東京都墨田区亀沢一丁目1番15号 |
代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 和泉 學 |
事業内容 |
「はなの舞」「さかなや道場」「魚鮮水産」ほか 直営及びフランチャイズチェーン展開 |
資本金 |
57億7,262万円 |
設立年月 |
2009年9月 |
「やまや」といえば酒類販売大手です。
「チムニー」は居酒屋チェーンとして「はなの舞」「さかなや道場」など有名店のフランチャイズチェーンを運営しています。
「やまや」は2013年に「チムニー」を買収して連結子会社化しています。
つぼ八を傘下にすることで、物流の効率化によるコスト削減やメニュー強化などによるシナジーを生み出すのが狙いです。
つぼ八は現在、北海道などを中心に「つぼ八」「伊藤課長」といった居酒屋、飲食店を241店舗で展開しています。
チムニーは関東圏を中心に747店舗を展開しています。
北海道、関東と住み分けができ、地域的な補完効果が見込めると判断したようです。
この買収で、チムニーとつぼ八のブランドを合わせると千店舗近くになるため、居酒屋チェーンとして国内有数の規模になります。
まとめ
2018年3月期におけるつぼ八の売上高は75億円、チムニーは467億円でした。
客足が減少するいっぽうで両社ともに減収減益になっています。
原因のひとつは人出不足です。
出店したくても店員のなりてが少なく、二の足を踏んでいる状況です。
また圧倒的なシェアを誇るワタミ、モンテローザに押されている現状もあるでしょう。
巨大チェーンの規模に対抗するには、同じように規模の利益を生み出す必要があります。
両社が協調することで調達コストを下げ、かつ不採算店の業態転換を図ることで新たな顧客の開拓を目指していく狙いがあります。
つぼ八は居酒屋業界での生き残りを懸けて業界再編に乗り、戦い続けていくことになりそうです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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