京都アニメーションの火災
image:ハフポスト
2019年7月18日 午前10時半過ぎに、京都市伏見区桃山町因幡の映像制作会社「京都アニメーション」の第1スタジオで火災が発生。
鉄骨コンクリート3階建ての延べ約690平方メートルが全焼しました。
近隣住民から「建物1階で爆発音がし、煙が出ている」と119番通報で発覚しました。
死傷者は時間を追うごとに増え、36人の重軽傷と、従業員ら男性12人、女性20人、性別不明1人の合計33人の死亡が確認されました。
まずは心からのご冥福をお祈りいたします。
亡くなった33人のうち19人は、屋上に通じる階段で折り重なるように倒れていたそうです。
炎と煙から逃れたくて階段に殺到し、倒れたひとでまた倒れて手遅れになっていったのかもしれません。
落ち着いて階段を上がれればここまで大惨事には至らなかった可能性がありますが、何しろ燃えるものが多いスタジオのことです。
炎と煙の勢いが凄まじく、パニック状態に陥るのも仕方が無かったのかもしれません。
現場近くには血のついた足跡が。近隣に住む女性(54)は「焼けただれ、火だるまになって逃げていく人がいた。近くの人が水をかけてあげていた」と表情を曇らせた。別の女性(79)は「黒い煙がもうもうと出て、赤い炎も見えた。怖かった」と話した。近所の女性(50)は「性別は分からないが、顔にひどいやけどを負った人が救急車に運び込まれていた」と振り返った。
出典:京都新聞
火災による死傷者数としては平成以降で最悪の大惨事です。
京都府警捜査1課と伏見署が、殺人と現住建造物放火等の疑いで捜査しています。
京都アニメーションは『響け!ユーフォニアム』や『けいおん!』『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『たまこまーけっと』など作品を多数制作していることで有名でした。
この惨劇で、ある犯人が逮捕されています。
青葉真司か?犯行とその動機とは?
image:AbemaTV/『AbemaPrime』
画像は犯人が逮捕された瞬間のものです。
出火当時、従業員や出入り業者含め73人が建物内にいたそうです。
そこに犯人(41歳)が正面から侵入。
受付付近でがガソリンのような液体を撒き、ライターで火をつけました。
その際、
死ね!
と叫んだという目撃情報があるそうです。
犯人はガソリンのような液体を入れていたポリ容器の他に、複数の刃物とハンマーが落ちていたということなので、火をつけるまえに誰かを殺傷していた可能性もありそうです。
犯人は事前にガソリンを運ぶ台車を準備していたようで、入念に計画していた可能性が高そうです。
犯行後、なんと現場近くの福祉施設職員の女性(61歳)の自宅にやってきて、インターホンを押しました。
玄関左の路地に大柄な男が倒れていた。あおむけで、ひざを立てていた。白いTシャツに紺色のジーパン姿。両腕はやけどで皮がめくれ、右足から小さな炎と煙が出ていた。Tシャツはめくれ、腹に刺青のようなものがみえた。髪はチリチリに焼けていたという。
出典:朝日新聞DIGITAL
犯行後自分は火傷を負いながらも逃げおおせました。
しかしむしろ火傷を負っていることに疑問があります。
1階玄関付近で火をつけここまで火傷を負ったということは、他にも何かをしていた可能性がありそうです。
女性は倒れていた男が逃げてきた被害者だと思い、ホースで水を掛けたそうです。
救急車がくるのを待っていると、そこに警察がやってきて取り囲んだといいます。
女性の驚きは相当なものだったことでしょう。
助けた男は放火犯だったのですから。
そこで身柄を確保された犯人は、
パクりやがって!
と叫んでいたといいます。
いったい何をパクったというのでしょうか。
小説を盗んだから放火した
チャッカマン(多目的ライター)を使った
との話をしたという報道もあります。
アニメスタジオなので恐らく、何かの作品を指しているのではと思いますが、犯人がいったい何に関わったのかはこれから分かってくるはずです。
関東在住の犯人は重症を負い入院しています。
京都アニメーションでの勤務歴は無いようですが、関連会社の従業員だったという報道もあります。
過去の茨城県でのコンビニ強盗の経歴があるという報道があり「青葉真司」という名前が浮上しています。
もし「青葉真司」であれば、強盗で逮捕された2012年に年齢が34歳、2019年に41歳なら年齢的にはぴったりです。
犯人の免許証から埼玉在住ということが分かっているためその点でも一致しています。
多くのブログを中心に「青葉真司」と断定しているようですが、まだ分かっていないうちに断定はいけませんね。
未確定で断定することは控えましょう。
2019年7月22日追記
その後、青葉真司容疑者と発表がありました。
精神異常をきたしていたかどうかは分かりませんが、それによって量刑が軽くなるのは納得がいかない事件です。
ここまで準備をしていたことを考えると責任能力はあったとみて良いのではないでしょうか。
心に問題を抱えた多くの皆さんにとっても、こうした事件を起こされた風評被害は本当に困るでしょう。
精神異常であろうがなかろうが、亡くなった生命には関係の無い話です。
「罪の重さ」によってきちんと裁かれるようにすべきではないでしょうか。
殺人予告があったか?
なんと殺人予告があったといいます。
京都アニメーションの八田英明社長は取材にこのように話しています。
死ねなど殺人予告のメールのようなものがあった
日本のアニメーション界を背負って立つ人たちなので、1人でも傷つき、命を落とすことはたまったものじゃない
また直前まで、巨大掲示板に以下のような書き込みが連投されていたことも報告されています。
image:ニコニコニュース
これを読む限り、『響け!ユーフォニアム』で人生が狂ったと被害妄想を書き立てています。
18日朝の別の掲示板で「ニュースにデビューしてもいいかい?」という書き込みもありました。
犯人(青葉真司)がやった予告かどうかは分かりませんが、タイミング的には可能性はあります。
ただしアカウントとリアルの紐づきが公表されない以上、断定はできません。
ひとつ言えることは、多くの殺人犯の行動として、犯行後の現場に戻ることの他に、事前に予告をすることが報告されています。
ただし「パクりやがって!」という犯行後の発言とはいささか噛み合っていないようにも感じます。
そこは殺人犯の考えることなので整合性がとれた理由などないのかもしれません。
犯人は台車にガソリンを積んでスタジオに現れ、正面から入ってきています。
しかも制服などではなく、Tシャツ姿でです。
若い社員が私服で仕事をする職場だからこそ私服で現れたとみるべきでしょうが、予告があったのならもう少し携行品、搬入品を厳重にチェックするなど警備を強化する対策は出来なかったのか、という疑問もこれから噴出してきそうです。
今となっては時すでに遅しなのですが…。
ネットの反応
ネットでは悲しみと怒りが広がっています。
以下は賛同の多かったコメントの一部です。
これはもうテロ。
犯人には、厳しい処罰を。
あまりにもひどい事件。
これだけの凶悪犯でも最高刑が死刑ってのは軽すぎるよ。
火傷ってのは生き残っても一生苦しい思いをするんだよ。
あと、アニメスタジオのような燃えやすいビルにはスプリンクラーの設置が義務化されるかも知れないね。
アニメのような薄利多売の業界には負担が重すぎてアニメの質の低下につながるかもしれないし、そもそもアニメが減るかも知れない。
あまりにも社会的な影響が大きすぎる事件だ。
3階はやっと入れるようになったぐらいで、元々3階にいらっしゃった方々はまだ救助もされてないんですよね。
本当にひどい。
相当な被害者の数になるのかもしれない。
会社には若い方が多かったと聞くし、許せない。
広がる支援と日本アニメの矛盾
海外に日本のアニメなどを配給している米企業「センタイフィルムワークス」は18日、火災で多くの犠牲者を出した京都アニメーションの支援に向け、インターネット上で寄付を募るクラウドファンディングを開始したと公式ツイッターで発表した。目標金額は75万ドル(約8000万円)で、同日午後11時までに50万ドル(約5400万円)が集まった。
出典:JIJI.COM
センタイフィルムワークスはツイッターで、「友達を助けてください」と呼び掛けているそうです。
センタイと聞いてピンとくる方も多いでしょう。
「戦隊」ですよね。
日本の戦隊ものからとったこの名前は、日本のアニメ、特撮へのリスペクトからのもの。
こうして支援をしてもらえるのは心から感謝の意を表したいですね。
記事を書いている時点で1億円を超えています。
重度の火傷を負うと、これからが地獄といいます。
何度も何度も手術を繰り返し、それでも完治できません。
女性は顔がただれ、もう表を歩けなくなるかもしれません。
そうした皆さんのもとへ、お金が届くことを望みます。
少しでも癒しに使っていただけますように。
#prayforkyoani
これが京アニへの祈りを捧げようというSNSのタグです。
このタグをつけて、多くの想いが集まっています。
京アニが好きで第1スタジオを観に行ったとき、社員の方が微笑みながら扉を開けてちらっと建物内を見せてくれて、その優しさに触れてより京アニが好きになったかけがえのない思い出。今私にできることをしたいと思います。
#PrayForKyoani pic.twitter.com/3PGdknlAi1— Fubuki (@ffrbeke) 2019年7月18日
この先
何年でも、何十年でも
ずっとずーーーーっと待っています
#PrayForKyoani pic.twitter.com/eQPf2nB5hq— Koushin (@Sinocitizen) 2019年7月18日
世界で日本のアニメ、特撮はもはや宝になっています。
それなのに労働環境はいまだ改善されず、ビジネスとしても上手にやれているかというと…。
今回も多くの「夢を持った若者」が亡くなっています。
館内にスプリンクラーが設置されていたり、防災対策が施されていたらもう少し被害を食い止められたのでは、という専門家の声もあるようです。
スタジオの中は可燃性のものも多く、火災に弱いことが明るみに出てしまったかたちです。
全館スプリンクラーの設置などを義務付けられるかもしれませんが、こうした維持・管理費が、利益がしっかりとかたちにならない業界をさらに締め付けることになるかもしれません。
日本アニメはここから緩やかに死に向かうことだけは、なんとか避けなければなりません。
この痛ましい事件で亡くなった多くのクリエイターたちの夢のためにも。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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