日本ブームと訪日外国人数の激増
以下は観光局の統計数をグラフ化したものです。
2011年ごろから急激の訪日外国人数が増え続けていることがよくわかりますね。
参考:日本政府観光局
外国人による犯罪の件数も増えてはいますが、観光客によるものというよりは、就労ビザでやってきた外国人のほうが多いように思います。
観光で日本へやってくる外国人は、純粋に日本という国をみてみたいと、興味を持ってやってきてくれています。
モノが売れないデフレ不況をいまだ抜け出せない日本にとっては、またとないビジネスチャンスです。
この好況は、少なくとも東京オリンピックまでは続くはずです。
裏を返せば東京オリンピック以降にどうなるかは未知数ですが、それまでに日本の文化を付加価値として世界に売り出すビッグチャンスです。
東京オリンピック以降も日本の文化が「ブランド」として価値をもつかどうかは、今この時に掛かっているのかもしれません。
100円ショップのグッズを沢山売るのもいいでしょう、でもそれよりは、もっと付加価値の高い、日本製品こそ売り出すべきです。
ちゃんとブランド化まで持って行かなければ先細りしてしまうからです。
一過性のブームで終わらせてはいけません!
2018年に訪日外国人が買っていく日本製品ベスト16
ここから紹介するものは、「ニッポン視察団」という番組で、旅行を終えて成田空港で待機していた424人の訪日外国人から聞き取り調査をした結果を参考としています。
かつて外国人が買っていく日本製品といえば「電化製品」「着物」など圧倒的でしたが、いまや時代は変わりました。
2018年のトレンドキーワードは「日本だけの優れた付加価値のある多様な製品」です。
インターネットを通じて日本の文化が広く伝わるようになり、求められるものの種類が多様化しています。
このトレンドをキャッチして、海外への販売戦略に活かすことも可能ではないでしょうか。
この調査結果はそういう意味で非常に興味深いものでしたので、記事にさせていただきました。
公式ページや製品情報など補足していますので、ぜひ読んでみてください。
16位からスタートです。
16位 傘
出典:浅草 – 新仲見世商店街
浅草の「北斎グラフィック」というお店では年間12000人も訪れるようです。
外国には黒、紺のような地味な傘が多いようです。
デザイン性、小型、軽量といった選択肢が様々な傘が多いことで人気があります。
フランスやイタリアにはおしゃれな傘がありそうですが、ブランドものが多そうですね。
低価格でもおしゃれな傘が買えるのは日本の良さかもしれません。
北斎グラフィック
15位 ハンカチ
出典:じゃらん
愛知県有松の有松絞りのハンカチに人気があります。
芸術的な職人技に惚れこむ外国人が増えています。
有松絞りのハンカチは他の絞り染めよりも柄が細かく美しいことが人気の秘密です。
有松・鳴海絞りは、愛知県名古屋市緑区の有松・鳴海地域を中心に生産される絞り染めの名称です。
江戸時代以降日本国内における絞り製品の大半を生産しており、国の伝統工芸品にも指定されています。
14位 革財布
出典:文庫屋「大関」
浅草の「文庫屋 大関」の革財布は文庫革という伝統工芸品で財布を作っています。
繊細で鮮やかなデザインがあって人気があります。
文庫革とは播州姫路で生産されている工芸品で、「姫路革細工」とも呼ばれています。
文庫屋 大関
13位 錦鯉
出典:開天
新潟は錦鯉の発祥の地と言われており、立派に、美しい柄に育成する技術があるため、わざわざ日本にまで買い付けにきます。
錦鯉は高級車1台分の値段をつけると言われていますが、海外では富裕層に売れるため、転売目的での買い付けが多いようです。
錦鯉が海外でどのように愛されているかについては下記を読んでいただくと少し伝わってくると思います。
かつて、人気歌手のレディー・ガガもニシキゴイを日本から取り寄せて、ケガの療養中に眺めて心を癒していたとの噂も。海外でニシキゴイが注目を浴びるのはどうしてなのか、再び西脇さんにお伺いしました。
「ヨーロッパにおいては、ガーデニングにつきものの池で、ニシキゴイを優雅に泳がせるのが楽しみのひとつ。遊泳する愛鯉の美しい容姿を堪能する方が多いようです。ニシキゴイが勇壮に泳ぐ姿態に、多彩の色を載せ、しかも“同じ模様がふたつとない”点にも魅力を感じているようです。またニシキゴイ同士はケンカをしないため、平和の象徴でもあります。アジアでは、幸運を招く魚としても認知されています」
出典:precious.jp
12位 布
日暮里駅付近は布製品を扱う問屋街になっています。
日暮里繊維街と呼んでいます。
90以上の店舗があり、日本人も欲しい材料を求めにプロが通うことで有名です。
外国人には「ミハマクロス」という店が人気で、年間13000人が訪れるそうです。
日本ならではの和柄の生地が豊富に置いてあることが人気の秘密です。
日暮里繊維街についての詳細は下記URLからどうぞ。
日暮里繊維街の公式ホームページ
11位 カー用品
町田の「アップガレージ」という、カー用品専門店が人気です。
日本車に乗っている外国人が、日本車にあったカー用品を購入しにきます。
外国で取り寄せるよりは、日本で買って送る方が安い場合もあるようです。
アップガレージ
10位 絵の具
天王洲の「PIGMENT」(ピグモン)が人気です。
日本画材の天然の顔料は混じりけが無く美しい色合いを出せ、かつ数千種類の色を用意しており人気が高いです。
PIGMENT
9位 箸
「銀座夏野」という日本の箸専門店が人気です。
日本食人気から、自分専用の箸を探しに来る外国人が増えていくそうです。
中国や韓国では共通の箸を使う文化ですが、日本人は家族で専用の箸を使う文化があります。
そうした日本独特の文化が輸出されるようになったということかもしれません。
また、日本の箸は先端が細長くなっており、一番力が加わる先端の手前が太く設計されているため、力を加えやすく繊細な日本食をつまみやすいというところも特徴です。
銀座夏野
8位 木版画
出典:じゃらん
京都の「大書堂」という木版画専門店の版画が、絵に躍動感があることから人気です。
葛飾北斎はゴッホ、セザンヌ、ドガなどの著名な西洋画家に影響を与えたと言われています。
北斎の版画を原版から作る職人がおり、その噂を聞きつけて買い求めに来る外国人は多いようです。
大書堂
7位 古着
出典:原宿シカゴ
原宿の「シカゴ表参道店」が人気があります。
状態が良く、新品同様ということが人気の秘密です。
買い取ったあとちゃんと洗濯し、畳んで販売しているところも日本らしいと評価されています。
原宿シカゴ
6位 七味唐辛子
出典:じゃらん
京都の「七味家本舗」が人気があります。
創業360年という超老舗で、日本三大七味と呼ばれています。
辛すぎず、複雑な味で西洋料理にもあうと人気が高まっています。
海外でも売っていますが、風味が違うようです。
チキン料理に合うという意見が多いです。
唐辛子だけではなく山椒やゴマなどを加えることでふくよかな香りを生んでいます。
七味家本舗
5位 あぶらとり紙
出典:じゃらん
京都の「よーじや清水店」のあぶらとり紙は人気があります。
金箔づくりの工程で、間に挟む和紙のことを「ふるや紙」と言います。
金箔と一緒に何万回も叩かれたふるや紙は、薄く液体をよく吸収するため、あぶらとり紙として転用したのが始まりです。
俳優が化粧のうえから顔のてかりを取れるものを探していたことから、商売になったそうです
化粧がおちなく、あぶらだけを吸い取ることで使い心地が良いようです。
よーじや清水店
4位 焼のり
出典:aumo
上野アメ横の「三香園商店」が人気で、1日150人以上が来店します。
多い時はもっと押し寄せるため、最大で何人来ているかわからないほどだそうです。
日本の食材が注目されている中で、近年は焼のりを求めにくる外国人客が増えています。
海外にも海苔は輸出されていますが、品質がイマイチなものが多いようです。
日本の焼のりはパリパリしていますよね。
海外で販売されているものは、ふやけた食感のものが多いらしく、出来立ての日本製焼のりに人気が集まっているわけです。
寿司から始まった人気は、海苔巻きに広がりをみせ、お店だけではなく家庭でも寿司が手軽に食べられることが広まったのではないでしょうか。
三香園商店
3位 靴下
原宿の「靴下屋 原宿竹下通り店」が人気です。
年間50000人が訪れるそうです。
外国の靴下は地味なデザインなものが多いため、日本の「カワイイ」靴下が大人気のようです。
また外国には売っていない「足袋」、「五本指ソックス」が売れています。
指がが分かれているものは指同士がくっつかないため履き心地が良いと人気が高まっています
靴下屋 原宿竹下通り店
2位 お菓子
出典:じゃらん
上野アメ横の「二木の菓子 第一営業所」では1万種類ものお菓子を扱っており、選ぶ楽しさもあいまって外国人に大人気です。
年間63000人もの外国人が来店するそうです。
おかきやせんべいののカリカリとした食感や、抹茶キットカットなど、日本のバラエティ豊かなお菓子は大人気です。
特にいまは日本のグミキャンデーや、ハイチュウといったソフトキャンデーに人気があります
また、昔からある駄菓子のポン菓子は、シリアルのように食べられると人気が高まってきています。
https://www.nikinokashi.co.jp/shoplist/dai1eigyosho/
1位 ウィスキー
出典:楽天
北海道余市で作られるウィスキーに人気が高まっています。
ロンドンの世界大会で2007年から日本メーカのウィスキーが毎年受賞しているほどに、日本のウィスキー自体の評価が高まっています。
樽を焼き入れし芳醇な香りを引き出す独自の製法で、本場イギリスのスコッチウィスキーよりも美味しいと評価しているそうです。
ニッカ 余市蒸留所
まとめ
出典:久世福商店
いかがだったでしょうか?
サントリーウィスキーは「白州12年」「響17年」の販売を休止する発表をしていますが、これも海外での販売急増にともなって生産が追い付かなくなったことが主な原因のようです。
こういった状況をみると、海外では富裕層が多くいるので、高くても良いものをどんどん欲しており、その熱視線が日本に向けられているわけです。
先にも書きましたが、100円ショップのグッズをいくら売っても、付加価値としては低い。
100円ショップのグッズに対するニーズがあることはわかりますが、ほとんどは中国やアジアで生産しており、日本製品とは言い難い。
それでは収益の多くが日本人のふところに入ってきません。
もっと「これぞ日本」というブランドを売り出して、確固たるものにしていかないといけません。
滅び掛かっている伝統工芸に復活の光を当てることにも繋がります。
何度もいうようですが、日本を安売りしてはいけません。
海外生産した安い商品を大量に売るのではなく、今回紹介している商品のように、日本独自の製品を押し出すべきです。
それが世界からみて「根っこのある国」として再認識されることになるはずです。
もう鉄鋼や自動車を売っていればいいという、重厚長大な時代は終わります。
これからは付加価値を売っていくようにシフトしないと、労働生産性も上がってきません。
先日記事で書きましたが、政府の「クールジャパン戦略」の体たらくにはガッカリしました。
政府は国税を使っているという意識をもって、日本国民のビジネスチャンスに繋げる政策を打ち出してみてはいかがでしょうか。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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