プラダマリア「オット」は人種差別か?発売中止とドルガバの炎上騒動の共通する問題点とは?マーケティングとポリコレの関係を考える。

プラダマリア「オット」は人種差別か?発売中止とドルガバの炎上騒動の共通する問題点とは?マーケティングとポリコレの関係を考える。

プラダマリアの発売中止

 

image:グッド!モーニングより

 

プラダが新製品の発売を中止するトラブルが起こりました。

プラダが2018年11月に発売した「プラダマリア」の “オット” です。

この人形ですがご存知でしたか?

プラダファンの間では周知だったようですが、すみません、僕はこの問題が起こるまで知りませんでした。

「ポリコレ疲れ」と言われるアメリカですが、この発売中止もポリコレが発端なのでしょうか?

ドルガバの炎上騒動との類似点とは?

客観的なデザインとは?

マーケティングとポリコレの関係を考えたいと思います。

 

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何があった?

 

 

ニューヨークを拠点とするある弁護士が店頭で「プラダマリア」の “オット” をみつけ、

 

黒人に対する差別だ

 

とSNSで批判しました。

その投稿が瞬く間に拡散され、差別だと騒動になりました。

では実際の問題となったプラダマリア “オット” をよくみていきましょう。

 

image:グッド!モーニングより

 

厚い唇。

黒い顔。

髪の毛のようにみえなくもない頭。

 

極めてデフォルメされ、動物の耳が付いているとはいえ、それでも人間を思わせる風貌です。

どうしてこれが人間を思わせるかというのはまた後で話しますね。

 

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この画像を見る限り、残念ながら黒人を想起させるキャラクターと言われても仕方ないような気もしなくもない…。

こういった表現が「黒人差別」という指摘を受け、店頭から撤去。

プラダも発売を中止することになりました。

 

プラダは

 

想像上の生き物であり現実世界を意識したものではない

 

と説明しているようです。

なおこのプラダマリアはシリーズで他にもあるようです。

 

image:グッド!モーニングより

 

また “オット” には緑の唇、黄色い髪(?)のバージョンもあります。

黄色い髪(?)のバージョンも、何故か皮膚が黒なんですよね。

 

image:グッド!モーニングより

 

ところで、こうした指摘を受けて炎上する事案は、つい最近も起こっていましたね。

 

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ドルガバの差別コマーシャル問題

 

 

ドルチェ&ガッバーナ(以降ドルガバ)の差別コマーシャル問題があったばかりなので記憶にある方も多いかと思いますが、この事案も根本は似通っていそうです。

問題となったのは、2018年11月18日にドルガバが公開した「中国伝統の箸でイタリアの伝統料理を食べる」というテーマの広告動画です。

女性が箸をピザに突き立てて不器用に食べるなどの表現と、箸を棒のような器具と紹介していることで、多くの中国人から非難を浴びることになりました。

以下が問題となった動画が確認できる報道です。(出典:ANN)

 

 

 

 

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伝統的な箸文化を馬鹿にしている

こんな箸の使い方はしない

 

こういった非難に対して、21日にドルガバのデザイナーであるステファノ・ガッバーナ氏が中国を罵倒するダイレクトメッセージがリークされさらに炎上。

直後から中国人モデルがショーへの出演を拒否したり、また中国の芸能人も今後のドルガバの仕事をしないと表明する騒ぎになりました。

中国人民は不買運動を展開し、ネット通販大手のアリババがドルガバの商品をサイトから撤去してしまいました。

 

この事件で最も対応を誤ったのは、ドルガバそのものです。

ステファノ・ガッバーナ氏がダイレクトメッセージでやり取りしてた内容が中国を罵倒する内容がリークされてしまいました。

 

 

調べてみたところこんな内容でした。

酷すぎてあえて翻訳を載せませんが、興味があれば翻訳してみてください(^^;;

 

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う●ちのマークを付けて罵倒していたようです。

もう翻訳ができないレベルです。

なんだか超一流のブランドのデザイナーとしては低次元ですね…。

 

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炎上してから、そのダイレクトメッセージは自身で送っておらずハッキングされたためだという、あまりにも嘘っぽい言い訳をしさらに燃料を投下してしまいました。

これで中国人民を誤魔化せると思われたことが、余計に屈辱感を与えると何故気づけないのでしょうね?

 

 

 

創業者の2人が謝罪をしましたがここまでやってしまうと後の祭りです。

以下が謝罪の動画です。

 

 

 

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アリババと言えば世界のEコマース企業のトップシェアを誇る企業です。

そこから商品が全て撤去されることが、どれだけ損失に繋がったかは察するに余りあるでしょう。

いつ復帰できるかは定かではありませんが、ドルガバは中国の市場を失うという大きな痛手を残しました。

 

ステファノ・ガッバーナ氏は以前「日本人デザイナーにデザインして欲しくない」という日本人蔑視と取れるコメントをして報道されたこともあったと記憶しています。

明らかにアジア人などに対する差別感情があるようです。

この事案は、西洋人のアジア人に対する蔑視、差別が問題でしたが、プラダマリアの事案は白人の黒人に対する蔑視、差別ということになろうかと思います。

この蔑視、差別の意識が商品やコマーシャルという形で表現されてしまうという点において、この2つの事案は似通っているように感じます。

 

あれ?プラダはそうではないと否定してなかったっけ?

 

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プラダマリアは差別表現?

 

image:グッド!モーニングより

 

いやいや、プラダは「想像上の生き物であり現実世界を意識したものではない」と説明しているではないか!という声もあろうかと思います。

 

確かに極めてデフォルメされており想像上の生き物といえばその通りですが、ひとはそんなに馬鹿ではありません。

「ものの造形が何にみえるか」というのは、作りてだけではなく、受け取りてにも与えられた力だということをプラダは忘れてしまったのでしょうか。

 

厚い唇だけで、訴えたひとたちが黒人だと感じていると思いますか?

そうではありませんね。

様々なパーツと、全体的な印象。

それが「何か」を想起させます。

 

 

ひとつ日本のコマーシャルの例を挙げます。

分かりやすいものにしたいので、ドコモのコマーシャルを挙げさせていただきます。

キャラクターについて説明した動画がドコモ公式にあったので転載させていただきますね。

 

 

 


image:docomo

 

黄色いライオン?のキャラクターは「ドニマル」といいます。

この子も唇が分厚くなっていませんか?

昔の漫画で例えれば「キン肉マン」を想像するような唇です。

 

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それでもこの子のことを「差別だ」と誰も言わないのは何故でしょうか?

このキャラクターの唇が分厚くても、特に黒人を想像しないからです。

皮膚は黒く無いし、タテガミや耳もついていて、ちゃんと動物をモチーフにしていると即座に理解できるようにデザインされているからですね。

またプラダが言うように想像上の生き物というなら、ピンクの「モンジュウロウ」の方が説得力がありますね。

 

 

このようにデザインはパーツや全体的な印象で、別のものに見えてしまうことがあります。

それを避けるために表現で常に求められる能力が「客観視」です。

 

画家などのアーティストはゴリゴリに主観的な作品を発表することがありますが、それはその絵画が商品では無いからです。

商品としてではなく自らの思う通りに描いているからです。

しかし初めから商品を想定している場合は違います。

 

お金で買っていただく以上は消費者の感情を考慮しなければならないため「客観視」が必要になります。

 

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いかに客観的にみられるかを考えて表現をすることは「マーケティング」になります。

消費者に気に入ってもらえるようにモノを作ることこそ製品マーケティングの価値ともいえます。

 

もし発表した商品に蔑視、差別的に受け取られてしまう表現が含まれ、それに嫌悪感を示すひとが多くいるのなら、それはマーケティングの失敗と言えます。

あえて「攻めたデザイン」と取れなくもないですが、傷つくひとがいるのならそれは攻め方を間違えていることになります。

先の例でいう絵画も言わば攻めていることになりますが、結果的に広く受け入れられて商品になることが多々あります。

それは差別表現などの要素が含まれていないだけかもしれませんね。

 

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まとめ

 

image:グッド!モーニングより

 

プラダマリアの一部の表現を変更して出せば、差別していたと認めるようなものなのでお蔵入りになるのではないでしょうか。

プラダマリアのフォローが難しくなってしまったもう一つの問題点は、多色展開している黄色の髪(?)のバージョンも肌を黒くしていることですね。

せめてこちらは人間とは思えない色にしていれば「想像上の生き物でしょ」というフォローがもう少し効いたような気もします。

プラダマリアも結果的にみればマーケティングの失敗例になりそうです。

 

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アメリカではポリティカルコレクトネス(ポリコレ)の意識が高まり、過剰なまでに表現への規制意識が強まることから、ポリコレ疲れの状態にあるとも言われています。

そのくらい世論が敏感になっている=「何か」に見えやすい状態になっているにも関わらず、こうしたモノづくりをしてしまうのは危機意識を超える差別感情が根付いているとそしりを受けてもやむをえません。

多くの企業では世に発表する前に差別などに該当しないかをチェックしていますが、チェック機能自体が世の中の意識とズレてしまっていると時としてこうした商品をぽんと発表してしまい、炎上してしまうようです。

 

ブランドイメージを傷つけないためにも、問題を起こした企業はチェック機能だけは第三者に任せるようにした方が良いのではないでしょうか。

 

付け加えますが、過剰なポリコレは表現狩りに繋がるため反対です。

アンドロメダ瞬の性転換事案については反対の立場をとる記事を書いていますので、併せてご覧ください!

 

アンドロメダ瞬が性転換!?Eugene Sonのツイッターでみえたポリコレ批判への逃げ腰。ポリコレ疲れのアメリカが作るとこうなっちまうのか。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

関連記事を紹介させていただきます。

 

グッチ(GUCCI)がゴリウォーグ(Golliwogg)を意識してセーターを!?人種差別批判で発売中止したプラダマリアとの類似点と企業が心すべきこと。

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