カショギ氏殺害の決定的な証拠とは?
image:グッド!モーニングより
サウジアラビア人でアメリカ在住だったジャーナリストのジャマル・カショギ氏が殺害された事件は、大きな局面を迎えています。
これまでマスメディアを利用して証拠を小出しにしてきたトルコ当局ですが、エルドアン大統領自らが議会で演説で語るというのです。
そこでは決定的なある情報について公表されるのではと、世界中のマスメディアが注目していました。
それはサウジアラビアのムハンマド皇太子の関与です。
果たして、その演説の内容とは?
そして背後にみえる、真に恐ろしいものとは?
エルドアン大統領の演説
image:グッド!モーニングより
10月23日、トルコのエルドアン大統領が議会での演説し、カショギ氏の殺害についての捜査内容を明かしました。
これまではマスメディアを使って小出しにしてきましたが、トルコ当局が捜査内容を公に明かすのは今回が初めてです。
犯行は周到に用意されたものと語気を強めたエルドアン大統領。
その内容について以下に整理しました。
・カショギ氏殺害は「残酷で計画的」
・事件当日、総領事館の防犯カメラのハードディスクが外され職員には休暇が与えられていた
・10月1日(事件前日)に総領事館からイスタンブール郊外へ向い森などを下見したグループがいた
・トルコで逮捕された18人はトルコで裁かれるべき
・ムハンマド皇太子の犯行は言及せず
・事件に関係した15人は誰から指示を受けたのか答えが必要だとし、サウジアラビア側へ適切な対応と説明を求める
演説で暗に求めているもの
image:グッド!モーニングより
エルドアン大統領の演説では直接的にムハンマド皇太子に言及はしていません。
しかしそれができる人物とは誰か?ということを暗に突き付けることで、ムハンマド皇太子を追い詰めたい意図が見え隠れしているようでした。
サウジアラビア側は当初は殺害を否定していましたが、
「総領事館内で殺害された」
「総領事館内のけんかによる偶発的な事故」
と説明を変えてきています。
それでも、このトルコ側との主張は大きく食い違っています。
ムハンマド皇太子への責任追及を避けたいサウジアラビアはいよいよ追い詰められてきたのでしょうか。
トルコのしたたかな戦略
image:グッド!モーニングより
事件当初、カショギ氏がアップルウォッチでデータ転送していた音声データが「総領事館内での殺害」の決定打になったと思われていました。
ところが、トルコのマスメディアからは到底それだけでは分かりようもない情報が小出しにされてきたことで、実はトルコ側が総領事館内やカショギ氏の通話内容を盗聴していたのではとみられています。
例えば、事件の前にムハンマド皇太子はカショギ氏と電話で会話をしていたことが明かされていることもその根拠になります。
通話内容として「サウジアラビアへ帰ってきなさい」とカショギ氏に勧めるものだったことも分かっています。
カショギ氏は「サウジアラビアへ帰れば殺される」と拒否していたことも明かされており、そのためにトルコのサウジ総領事館へ向ったことも分かりました。
このようにトルコ側は実は「ムハンマド皇太子の関与の決定的な証拠」を含む事件の全ぼうを全て握っている可能性すら思わせます。
そこまで盗聴していたのであれば、当然ムハンマド皇太子が指示をした音声データも残されているはずです。
しかしあえて小出しにしている理由はなんでしょうか。
トルコの政治的な思惑であることは間違いないはずです。
政治的な思惑とは、水際でムハンマド皇太子の責任を問わずに事件を収束させ、サウジアラビアに対して優位に立つことです。
ムハンマド皇太子の弱みを握りコントロールすることです。
トルコは経済的に苦境が続いています。
油と金を持っているサウジアラビアが、エルドアン大統領の欲するがままに融資を始める光景が、徐々に現実のものになってきたのかもしれません。
まとめ
image:日本経済新聞
ジャーナリストを残酷に暗殺するというサウジアラビアのやり方は確かに恐ろしい。
しかし真に恐ろしいのは、そこまで知っていながら泳がせていたトルコ政府、エルドアン大統領かもしれませんね。
人の生命があっさりと政治に利用されてしまう。
これは「政治的手段としての戦争状態」と言っても言い過ぎではないかもしれません。
カショギ氏が殺害されると分かっていながら泳がせていたとは絶対に認めないでしょうが、サウジアラビア側が何らかの決断をした後に、トルコ側の行為について誰が追及できるのでしょうか。
その時にはトルコは「犯罪者」を追い詰めたヒーローになっているのか、自らも追及される側になっているのか。
それともサウジアラビア国内でも盤石ではないムハンマド皇太子を徹底的に追い詰めることで、サウジアラビア国内の反ムハンマド勢力と繋がろうとするのか。
冷静に状況をみていきたいところですね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
関連記事を紹介させていただきます。
安田純平はジャーナリストの潮時か?彼が抱える自己責任論と自己矛盾とは?ご都合主義に陥っているジャーナリズムを考えてみた。
生きたまま切断され残酷に殺害されたカショギ氏。情熱溢れる最後のコラム全文と翻訳を掲載。ワシントン・ポスト紙の編集者の追悼に泣けた。
ムハンマド皇太子が殺害首謀者という証拠は!?ジャマル・カショギ氏が行方不明になった事件が国際問題化すればガソリン値上りも懸念。
コメントを書く