オリィ研究所の吉藤健太朗さん(31歳)が作った分身ロボットが素晴らしいのでご紹介します。
なんとオリィ研究所の社長秘書である村田さんは、分身ロボットで在宅勤務をしているといいます。
いったいどういうこと?
重い障害を持ったひとが秘書という仕事をできてしまう、スーパー分身ロボット「オリヒメ」(OriHime)。
その機能や開発コンセプトをご紹介しますね。
分身ロボット「オリヒメ」(OriHime)
image:モーニングショーより
画像の黒いコートを颯爽と着こなした男性がオリィ研究所の吉藤さん、手に持っているのが開発した「オリヒメ」(OriHime)です。
カメラやマイクが内蔵されており、タブレットで遠隔操作ができます。
分身ロボットを介して会話をしたり、反応をみて感じることが可能になっています。
タブレットにはオリヒメに動作をさせるボタンがついています。
例えば「手を上げる」を押すことで、オリヒメの手を上げることができます。
image:モーニングショーより
片手を上げるだけで、「賛成」とか「おっす!」みたいな感情を伝える効果がありそうですよね。
他にも「ぱちぱち」(拍手)や、「うーん」(悩む)というボタンで感情を表現できるようになっています。
下が「うーん」です。
悩んでますね…。
image:モーニングショーより
面白いのは「なんでやねん」です。
image:モーニングショーより
ロボットに片手ツッコミを入れさせることができます。
お笑い好きとしては、右手でツッこむならちょっと頭も右に傾けた方が良かったかな?なんてことも思いついたりします。
image:モーニングショーより
羽鳥さんが「いつ使うんですか?」と質問したときが一番面白かった!
image:モーニングショーより
ツッコミはコミュニケーションの基本でしょ
ド真顔で説明する吉藤さんですが、隣でナイツの土屋氏似の担当の方がニヤけてるのが分かりますか?
何だか開発秘話を想像してこっちまでニヤけてしまいました。
これ吉藤さんのコダワリ機能だったのかもしれないなぁ。
いま色々なところでロボットを開発しているけど、何か足りないものを感じていたのは、きっとこれなんだよなぁ。
人とのコミュニケーションは面白いジェスチャーが潤滑油になるものです。
親近感が湧いて、一気に距離が縮まったりします。
アイボには近いものがあったけど動物だったし、これからの人型ロボットにはこういう個性的なジェスチャーを備えて欲しいところです。
オリヒメのコンセプトは、用事がないけどそこにいていいコミュニケーションツールです。
カメラとマイクがついていて、相手と会話をするのなら、従来のテレビ電話でも十分でしたが用事が無い時は接続を切っていました。
オリヒメは用事が無くても接続しておき、いつもオリヒメを介してそのひとがそこにいるかのように接することができるロボットです。
だから「分身ロボット」という名前が付けられているわけですね。
在宅勤務を促進
image:モーニングショーより
オリヒメを活用した在宅勤務は徐々に増えていっているといいます。
その中でも特に感心したのは、吉藤さんの秘書の村田さんの存在です。
上の画像がその村田さんです。
おぉ、可愛らしいですね。
…って!
オリヒメの方だから!
なんと村田さんは一度も生身で出社したことが無いそうです。
面接から入社、出社まで全てが在宅のままといいます。
こちらがリアルの村田望さん(33歳)です。
上のオリヒメの奥に、こんな素敵な女性がいらっしゃったんですね。
image:モーニングショーより
村田さんは21歳のときに全身の筋肉が衰えていく「自己貪食空胞性ミオパチー」という世界でも150例くらいしかない難病にかかりました。
今も自宅で家族の介護を受けながら闘病を続けています。
自力で歩くことも、重いものを持ち上げることも困難になっているそうです。
社会で仕事をすることを諦めていたそうですが、オリヒメを介することで秘書として仕事をこなせるようになったそうです。
吉藤さんのスケジュール管理や、企業との打ち合わせの日程調整、SNSで会社の情報を発信したりと、どんどん仕事が増えているみたいです。
障害があると出来ることが少ないと思う場面が減ったと話します。
image:モーニングショーより
この笑顔をみると、きっと充実して仕事できる喜びを感じてくださっているのだろうと感じます。
社員がオリヒメを持ってサッカー観戦に行くことで、一緒にサッカー観戦が来たことが臨場感を味わえて嬉しかったそうです。
image:モーニングショーより
これぞ分身ロボットの真骨頂と言えるのかもしれませんね。
オリヒメはなんで無表情なの?
image:Wikipedia
オリヒメのお顔、一見宇宙人のようにも見えますが…
制作にあたり無表情な能面を取り入れたそうです。
どこを取り入れたのかといえば、この無表情さと、身振り手振りで感情を伝えること全てということになります。
受け手が会話や動きをもとに、相手の顔を当てはめて想像させる効果を狙っているとか。
ロボットで人工的に細かな表情を作り出す技術というのは今も開発が進められていますがまだまだ発展途上で、かえって気味が悪いという印象を受け取ってしまうこともあります。
とても努力をされている開発者の方には実に申し訳ないのですが…。
能面は身振り手振りに加え、声のトーンや顔の角度、陰影で怒りや喜び、悲しみなどの感情を感じさせることができるので、表情を人工的に作ろうとせず、能面のもつこうした機能を取り入れたということですね。
人間はそもそも相手の仕草や表情から感情を読み取ろうとする能力が備わっているので、その能力に任せるというのは良いアイデアだと思います。
こうすることでコストを下げ、かつ複雑さを回避することで故障も減らせるはずです。
でもこれがじっとしているだけのマネキンだったらどうでしょう?
ちょっと感情を読み取るのは難しいでしょうね。
オリヒメの無表情は、やっぱり腕や頭を動かす機能を持っているからこそ活きてきます。
その目線で逆に考えてみると、日本人が西洋人からどう思われてきたのかもオリヒメを見ているとなんだか伝わってくるような気がします。
むかしから日本人は無表情だから感情が伝わりづらいと西洋人から評されてきました。
冷酷なビジネスマシーンみたいな勝手なイメージ画も沢山描かれてきました。
オリヒメからは、まるで無表情な日本人が身振り手振りで相手に感情を伝えているかのような印象も受けました。
転じて、オリヒメは東洋でも西洋でもそのまま導入できるということを表しているのかもしれません。
輸出の際に顔のパーツを西洋風にする必要が無いというのは大量生産に向いていますね。
いずれは表情を持ったものも誕生するのかもしれませんが。
まとめ
image:モーニングショーより
吉藤さんは子どものころ引きこもりだったそうです。
折り紙が得意で、ロボットのようなモノづくりに興味があったことから、お母さまがロボット大会への出場を後押ししてくれたそうです。
そこで優勝したことでロボット制作に本気で打ち込むようになっていきました。
吉藤さんはAIを駆使したロボットでは人を癒せないと思っていたそうです。
人と人を繋ぐテクノロジーが世の中に足りていないものだと気付き、そうした技術を本格的に学んだそうです。
伝える技術を知るために演劇まで学びました。
引きこもりだった子ども時代があるからこそ、人の苦しみや辛さを人一倍理解できるのかもしれません。
秘書の村田さんの気持ちや立場も理解でき、一緒に働くにはどうしたら良いかを具体的に考えるケースモデルとしても採用をされたのだろうと思います。
ロボットで人を癒すという発想自体に、吉藤さんの技術者としてのベースを感じられました。
吉藤さんのような人に近い技術者が、これからの世界をリードしていくはずです。
きっとこれからオリヒメやその兄弟たちが世界中で普及していき、村田さんのような障害者や子育てをしながら働きたいママたちの仕事をバックアップしていくのかもしれませんね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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