留学生大量失踪に “元総長” の影
image:Wikipedia
中島恒雄氏。
東京福祉大学創立者にして “元総長” と呼ばれた方です。
ざっくりとどういった人物かというのはWikipediaを参照させていただきます。
著書『できなかった子をできる子にするのが教育』によれば、1968年に東京都豊島区のアパート一室でサークル「英会話を楽しむ会」を始めて以来、東京福祉大学、学校法人サンシャイン学園(東京福祉保育専門学校、東京医学柔整専門学校)、名古屋の学校法人たちばな学園(保育・介護・ビジネス名古屋専門学校、理学・作業名古屋専門学校)、日米高齢者保健福祉学会、社会福祉法人茶屋の園・特別養護老人ホームたちばなの園白糸台(東京都府中市)、社会福祉法人茶屋福祉記念会・茶屋とくしげ保育園(名古屋市)を私財を投じて設立している。さらに近年、特定非営利活動法人(NPO)日本・留学生交流援護会を設立した。本人は講道館柔道五段の資格を持ち、また信濃守護の小笠原氏の家臣の家柄で、朱印船貿易家の茶屋四郎次郎清延第17代目直系の子孫と語っている。
出典:Wikipedia
教育者として多くの実績を持ち、崇拝する方もおられたようです
しかしその一方、今から10年前に裏の顔が白日のもとに晒されました。
2008年に強制わいせつ罪、強姦未遂容疑で逮捕され、懲役2年10ヶ月の実刑判決を受け服役していました。
2008年1月22日、学内における行為を理由として強制わいせつ罪で警視庁及び池袋警察署に逮捕された。また派遣職員である女性職員Bに対して正規採用をほのめかしセクハラ行為を行ったとされる。逮捕後総長を辞任した。
出典:Wikipedia
この中島恒雄氏が留学生大量失踪の原因となった大量受け入れを推し進めた張本人だったとされています。
しかもその経営判断の裏に「120億ガバチョガバチョ」の計算があったという録音データまで出てきました。
いったいどういうことなのでしょうか?
留学生大量失踪とは?
image:東京福祉大学
東京福祉大学で2016年からの3年間で、ベトナムやネパールなどからの留学生が約1400人も所在不明になっていることが発覚しました。
外国人留学生が稼ぐために姿をくらます問題は以前から指摘されていましたが、同じ大学からこれだけの人数が出ているという事実には驚愕しかありませんね。
東京福祉大学には2018年5月時点で約8千人の学生が在籍していました。
その中で約5千人が留学生です。
2018年時点で62%が留学生。
留学生数の純粋な数では早稲田大学に次いで国内で2番目に多いといいます。
注目すべきはその増加率です。
2014年5月時点で留学生は596人とイメージしやすい人数でしたが、なんと4年間で5千人ですから、約8倍強ということになりますね。
なぜこれほどまでに急激に増加したのでしょうか?
以下は『アエラ』の取材に応じた同大の現役職員の証言です。
留学生受け入れの拡大は中島氏のトップダウンでした。政府のグローバル戦略の一環である留学生30万人計画も進み、留学生の受け入れは国策として伸びる、これは稼げると
出典:Aera dot
この記事の中で、中島恒雄氏の恐怖政治により強引に推し進められたものだと語られていました。
強烈なトップダウンで、職員は絶対に反対できなかったそうです。
そのワンマンぶりは以下のように評されていたようです。
事件発覚前の05年、中島氏は朝日新聞群馬県版の人物紹介欄でこう評されている。<強烈な個性のワンマン経営者だ。「教授会に力はない。決定は、すべてわたしがする」「結果を出せない教授は、さっさと辞めていただく」。言葉にも遠慮はない>。
出典:Aera dot
留学生を受け入れるのなら管理しきれる人数を受け入れていくべきですが、1400人も行方不明になっているという事実をみれば、杜撰に受け入れ放置してきた現状がみえてきますね。
留学生のインタビューをマスメディアで見聞きした限り、授業が難しく適応できなくなる学生が多かったり、予備で追加した教室が街のビルのテナントを改装したものだったりと、大学という最高教育機関の環境として適切だろうか?と疑問符が浮かびました。
授業が難しくついて行けないのは、来日前に日本語を予習していなかったり、「日本で学べば稼げる」と安易に考えているモチベーションの低い学生をどんどん受け入れてしまっている側面が大きいのではないでしょうか。
学生の故郷で悪質なブローカーにつかまり、口八丁でカネを貸し出され、莫大な借金を負って勉強そっちのけで働かざるをえなくなっているケースもあるでしょう。
大学側はそうした事情も加味し、経済状況もきちんと調査し問題ない学生を受け入れるべきと考えます。
留学生の受け入れを推し進めた中島恒雄氏は、出所後にも事務総長に就任し、莫大な利益を得ていたそうです。
そうした実態を受けて、文科省は「学校法人にふさわしい管理運営体制が整っていない」と同大の経営学部新設を却下しています。
新たな学部を作りそこにどんどんと留学生を送り込んで、お金を荒稼ぎするという実態が徐々に見えてきているようです。
元教授が糾弾した「120億円ガバチョガバチョ」
2019年4月10日、東京福祉大学で昨年3月まで同大心理学部教授を務めていた田嶋清一氏(71歳)が記者会見し、中島恒雄氏の悪政により大量に学生を受け入れることになった証拠となる録音を公表しました。
東京福祉大学の元教授が10日に文部科学省で会見し、元理事長が留学生の受け入れをめぐって「4年間上手にやりゃあ、120億(円)入る」などと発言したとする録音の音声を公開した。元教授は「元理事長が留学生を大量に受け入れる大方針を決めた証拠だ」と主張している。
出典:朝日新聞DIGITAL
録音は2011年に東京福祉大学で開かれた、中島恒雄氏や大学幹部が参加した会議を録音した内容です。
録音のなかでは中島恒雄氏とされる人物が「ガバチョガバチョ」と息巻いています。
録音は朝日新聞DIGITALよりご確認いただけます。
そいで4年間やりゃあ
上手にやりゃあおまえ
今の勝手な試算だけど
120億入るって
…
すごいだろおまえ
このアイデアは?え?
…
そしたらガバチョガバチョじゃん
ガバチョガバチョって…
ドンガバチョ世代かしら?と色々ツッコミどころもありますが…
田嶋清一氏は
留学生をターゲットにした120億円荒稼ぎのプランが語られている
と訴えています。
この件について東京福祉大学に対して時事通信社が取材をしたところ、以下のような回答があったようです。
同大は取材に対し、発言について「私的な集まりがあり、その中で(元総長が)留学生募集を強化する案を大学関係者に話したことはあるようだが、本学の研究生募集とは全く関係のない話だ」と文書で回答した。
出典:JIJI.COM
これを読んできちんと理解できるひとはあまりいないような気もしますが…
中島恒雄氏の恐怖政治、トップダウンを考えれば、いかに「私的な集まり」としても全て忖度して進めなければならなかったのではないかと思えます。
その中で120億儲かると「留学生募集を強化する案を大学関係者に話した」のなら、進めよという号令だった可能性は大きいのかもしれません。
直にそうした空気に触れてきた田嶋清一氏は録音を上辺だけで告発しているというより、強制力があったことも含めて告発をしていると考えるのが自然のような気がします。
もちろんご自身が関与していないとも思っていないでしょうし、告発は「自戒や後悔の念」が根底にあったのだろうと推察します。
田嶋清一氏は虚偽のセクハラ・パワハラを理由に懲戒解雇された過去を持っており、東京福祉大学での過去を暴きたいと考えておられるのだろうと思います。
以下の記事は2016年のものです。
交通ユニオンと共に、東京福祉大学伊勢崎キャンパスで街宣行動。同大学から、虚偽のセクハラ・パワハラを理由に懲戒解雇され、裁判で完全勝訴したのに、授業を担当させてもらえず、様々なパワハラを受けている田嶋清一教授(交通ユニオン組合員)の争議の解決を大学に求めた。また、ほとんどの教職員が1年契約とされている状況に関して、労組加入を訴えた。
出典:暁法律事務所
懲戒解雇が完全無罪だったとすれば、その根底には中島恒雄氏への反目があったのでしょうか。
結果を出せない教授は、さっさと辞めていただく
という発言もありました。
もし「俺にたてつくやつはこうだ」という制裁だったとすれば、あまりに酷い仕打ちでしょう。
まとめ
この問題、失踪した留学生を責める空気が膨らむことは危険だと感じます。
沢山受け入れるということは、その中に不純な気持ちでいる留学生が混ざっていることはある程度は加味しておくべきです。
しかし、残ってきちんと勉強し努力を重ねている留学生にも冷たい視線を向けるのは、受け入れた日本人の態度として適切だとは思えません。
適切な人数を受け入れ、適切な管理体制を構築しておればこんなことにはなっていないとすれば、この問題は完全に受け入れる側の責任です。
東京福祉大学はこの件を、他人事のようにせず、とにかく早く対処をしてもらいたいですね。
行方不明の学生を探す責任の所在は誰なのかは定かではありませんが…。
またこの問題は、これから拡大するだろう外国人労働者の問題にも繋がってくるはずです。
「やっぱりあいつらは…」「日本人と違う」のような差別が広まれば、日本の中に特定人種だけのコミュニティ形成が促進されていき、低所得外国人だけがふきだまるスラム化していくことはアメリカ合衆国が辿った歴史をみれば明らかです。
ただ現実を否定するだけではなく、かといって漫然と受け入れるのでもなく、留学生大量失踪問題を日本人全体が自分ごととして考え建設的な議論が行われるよう願っています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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