西野監督退任
image:モーニングショー(以下同)
ワールドカップを終え、ロシアから帰ってきた西野ジャパン。
代表引退を決めた長谷部選手と、西野監督が記者会見を行いました。
みなさんこんにちは。
きょうは通訳機がないので安心してしゃべれます。
そこでちょっとニコッとした西野監督。
現地での翻訳機を自分でうまく取り付けられずに選手に取り付けてもらっていたことをジョークにしたものです。
これは西野さんなりの会場の雰囲気を和らげようとしたジョークだったんでしょうけど、記者は緊張感からかクスリともせず(^^;;
それで自嘲気味の笑顔だったかもしれませんね。
西野監督の想い
西野監督は期限付きで監督に就任し、凄まじいプレッシャーの中で日本を決勝トーナメントに導きました。
記者会見でのその想いを掲載します。
5月21日からワールドカップに向けて最終の調整に入り、私にとって46日間という活動でしたけれども、選手たちはあのブラジルから4年その思いは全く違いました。
選手たちのあの強い気持ちには到底勝つことが出来ませんでした。
(中略)
あの30分間で自分が判断できるそういうスピード感が全く自分になかった。
こうチームが一つになっていく方向性をこう出せる瞬間というのは本当の瞬間なのでそれが出来なかった。
(中略)
契約は今月の末日までですので、この任を受けた瞬間からワールドカップ終了までという気持ちだけでやって来させてもらいましたので、途中でこういう形になりましたけれども、任期を全うしたという気持ちでおります。
それまで作り上げてきたチームに、急遽入り込む大変さ。
西野監督の精神的な苦労、心労は計り知れないものだったことでしょう。
4年間選手たちが育ててきた気持ちに、西野監督が必死に追いついていった46日だったと、この言葉から感じられました。
最後の30分でベルギーに逆転されてしまいましたが、西野監督は自身の判断と責を負う覚悟をみせてくれました。
この責任者としての気持ちに僕は心を打たれました。
田嶋会長はいったん慰留をしたようですが、西野監督が固辞したというのが真実のようです。
疲労困憊、疲れ果てたというのが本心なのだろうと思います。
「この雰囲気をひっくり返してやる」
ハリルホジッチ監督が突然の解任、それを受けて急遽日本代表監督へ抜擢。
気持ちを作ることもままならないうちに、押し流されるように状況が進んでいったことでしょう。
5月21日に西野ジャパンが始動します、
本田、香川といった代表の選出をするものの、親善試合で2連敗。
「本田はダメだ」
「西野監督ヤバい?」
ネットでもそうした心無いバッシングが繰り返されました。
怪我から復帰したばかりの乾選手を選出するというのも、当初は批判の的でした。
帰国後の記者会見で長谷部選手はこう語っています。
皆さまに期待されない状況。
この雰囲気を絶対にひっくり返してやろうというふうにチームのみんなで話していました。
チームでは西野監督を中心に、全員で意見を言い合い、チーム作りをしていったそうです。
こうした「監督と選手の密なコミュニケーション」は、もしかしたらハリルホジッチ監督では出来ていなかったことで、日本代表選手が欲していたことだったのかもしれませんね。
それは、コロンビア戦後の長友選手の言葉にもなんとなく表れていたように感じました。
ハリルホジッチ監督が間違っていたとは言いませんし、遠い異国で頑張っていただけたことは感謝に尽きませんが、どうしても日本代表には馴染めなかったのかもしれません。
ハリルホジッチ監督は主にフランス語でのコミュニケーションだったようで、ほぼ通訳を通じての会話になります。
ダイレクトに意見を言い合えない、言葉の壁を越えられなかったストレスというのは想像以上に大きかったのかもしれません。
(世界で活躍している選手が多く英語はできても、フランス語は難しかったのでは)
実績を残せずグループステージでも世界ランキング最弱というポジションで挑むことになりましたが、いざグループリーグで戦ってみると、コロンビア戦で勝利。
マスメディアは「奇跡!」と言いましたが、下馬評を覆したという意味では本当に奇跡的だったのかもしれません。
ゴールを決めた大迫選手に向けた「大迫 、ハンパないって!」というフレーズがブームになり、一気にワールドカップへの熱が高まっていきました。
また、西野監督が抜擢した乾選手がセネガル戦でゴールを決め、本田も活躍し、世論はまさに「ひっくり返りました」。
西野監督の采配
西野監督の采配で最も光っていた3点を挙げてみたいと思います。
- 乾選手選出の英断と、乾選手に期待に応えたい気持ちを沸きあがらせた。
- 川嶋選手が繰り返しミスをしても使い続けることでポーランド戦で結果を出させた。
- 批判を覚悟で時間稼ぎ戦略に徹し決勝トーナメント進出を確実にした。
1つ目、2つ目の要素は、あらゆるリーダー論に通じるものだと思います。
本来力のある選手が力を発揮できなければバッサリと切り捨てるのもリーダーの役割とすれば、信じ抜き、励まし、力を発揮させてやるのもリーダーの役割です。
西野監督は切り捨てるのではなく、活かす采配で結果を残したことが、敗戦後にも拘わらずなんとも言えない居心地のよさを感じさせてくれているように思います。
また、3つ目の時間稼ぎ戦略は、フェアプレーポイントという今回から採用されたシステムをうまく活用したものでした。
最後まで攻めたいという気持ちの選手もいたはずなので、これを実践するかどうかは選手だけでは即断できなかったはずです。
これを最期に決断し、実行に移させたのは紛れもなく西野監督と言い切れます。
なんだかんだと言われますが、決勝トーナメントに出場していなければここまで評価はされていなかったことでしょう。
田嶋会長から慰留もされなかったかもしれないですね。
まとめ
ベルギー戦直後のインタビューで
「何が足りないのでしょうね」
と語り空を仰ぎました。
自身はもう退任すると決めていたに違いありません。
その「足りなかったもの」を、4年後に見つけられるように、選手たちに残した言葉。
それが、記者会見で語った以下の言葉でした。
ベルギー戦が終わった後の倒れこんで背中に感じた芝生の感触
それで見あげた空の色
それは忘れるな
ベンチで座っていた選手たちの
あの居心地の悪いベンチのお尻の感触を忘れるな
西野監督、お疲れ様でした。
とにかくしばらくは、ゆっくりと身体と心を休めてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
関連記事を紹介させていただきます。
フェアプレーポイントでバッシングという評価をした世界よ、これがニッポンだ!ベルギーから原口元気と乾貴士が2点先取。逆転負けで悔しいが心は晴れやかだ!
フェアプレーポイントとは柔道と同じ仕組み。ドーハの悲劇からの学びで日本代表が決勝トーナメント進出。セネガルの結果次第でも戦術、世界のブーイングは当然か?
↓↓この記事がお役に立てたらボタンを押していただけると嬉しいです。
↓↓これからも有益な情報を掲載していくので通知登録お願いします!
コメントを書く