速見佑斗元コーチの謝罪記者会見
image:プライムニュースより
2018年9月5日、速見元コーチの謝罪会見が行われました。
自身の厳しい処分に対して、仮処分申し立てをしていましたが取り下げています。
謝罪会見で話された内容について、要旨を抜粋してお伝えしていきます。
暴力について
【否定】
1016年1月に海外の試合で顔をたたき、顔が腫れた
【肯定】
- 頭を引っぱたく
- 髪の毛を引っ張る
- ほっぺたを平手で引っぱたく
- お尻を蹴る(協会の指摘無し)
- 長時間立たせる
- 体を引きずる
- 他の指導者や選手などが萎縮するほどの暴言
【確認できた暴力行為(一部肯定含む)】
既に過去11回を確認していると発表していましたが、これはその詳細になります。
2013年9月 NTCでの国際ジュニア合宿の時に顔をたたく。
2015年2月 海外合宿での、大声でのどなりつける行為。
2016年1月 海外の試合で顔をたたき、顔が腫れ、練習中に怒鳴った。他のコーチからの引き留めもあった。
2016年3月 国際大会中、Tシャツをつかみ、引きずり降ろす行為。
2016年5月 前所属先で頭をたたく、怒鳴る行為で注意された。それらの行為は日常的に実施されていた。
2016年7月 海外合宿中、1時間以上の長時間、立たせていたことで厳しく注意を受けた。
2017年1月 前所属先で暴力があり、無期限の謹慎処分。
2017年8月 NTCで髪を引っ張り、出入り口まで引きずり出した。
※髪を引っ張って引きずったことはないそうです。
2017年9月 NTCで髪を引っ張り、倒すなどの行為。
2018年4月 NTCで指導中に大声で怒鳴る。
2018年5月 東京都体育館のサブ会場でも、同様の怒鳴る行為があった。
速見元コーチからは、暴力に関して以下のようにコメントがありました。
どれだけ周りが僕の指導で不快になったり、邪魔になったり、宮川選手に対しても周りにも自分中心的な自分がいたか…と振り返って今、感じています
処分の軽減というのが甘いと思った。二度と私と同じ過ちを犯すコーチが出ないよう、処分の軽減というのが間違いだと自分自身、思ったし体操協会の処分は真摯(しんし)に受け止めるべきだと思った
処分を軽減するよう求めていましたが、暴力を行ってきたという過去の事実を受け止め、しっかり反省をすることにしたようです。
ご自身が若いころに受けた指導で感謝をしてきた指導方法を、そのまま宮川選手に行っていたため、それが悪いことかどうかという判断すら持たなかったということも話されていました。
宮川選手の命に関わる緩慢な態度があったときのみ暴力的な指導をしていたようですが、きっと若いころに同じように、命に危険がある行為には容赦なく暴力的な指導をされてきたのでしょう。
塚原千恵子女子強化本部長のパワハラについて
image:ワイドスクランブルより
パワハラに関してのコメントの要旨を抜粋します。
純粋な気持ちで良くしてあげようという気持ちをもっていらっしゃるのは確かだと思う
ただ、それだけの思いを持って言ってくださってるので、こちらのいろいろな思い、計画とかこの先どうやっていけば宮川選手のためになるか、振付師、女性コーチも自分の目でしっかり選択し、頼みたいという思いがあってお断りさせていただくことも多かった
圧力はどうしても感じてしまうとしか捉えられなかった
塚原先生(塚原千恵子女子強化本部長)という、すばらしい実績のある方がいて、私だけじゃなく提案したくても、言ったら何かされるんじゃないか、意地悪されるんじゃないかというところ…怖くて言えない部分があった
言うことを聞かないとまずい、優遇されないというのは多くの指導者が感覚として持っているのは事実
現場のコーチがやろうとしていることを聞いて、吸い上げてほしい…1コーチの思いを聞いてほしいという思いがあると思う
塚原夫妻からの引き抜きについて
image:ワイドスクランブルより
引き抜き行為は3回はあったと証言しました。
一度目の引き抜き
宮川選手が中学3年の秋から冬ごろに、朝日生命のコーチの方から電話で連絡をもらった
「宮川と(速見)コーチといっしょに来てくれないかという話をしたいので、一度食事に行きませんか」と誘いを受けた
朝日生命のコーチから“宮川選手と私とセットで朝日生命に入ってほしいと塚原光男先生から頼まれたので食事に誘った”と聞いた
その時は、私が思い描いている今後のプランがたくさんあったので、お言葉は嬉しいですが、お断りさせていただきますと伝えた
二度目の引き抜き
(2017年にカナダ・モントリオールで)
強化本部長の付き人から現地に行った2日目に宮川選手がウオーミングアップをしているときに“今後の五輪とか海外派遣とかについて誰が決めるか知ってる?”と聞かれたわかりませんと答えたら“強化本部長が決めるんだよ”と言われた
(強化本部長の付き人から)
今後のオリンピック、海外派遣については分からない
強化本部長が決めるのよ
2020に入って朝日生命にも入ってやれば、すごく良くしてくれるのよ気持ちとして嫌とかじゃなく、ありがたいお言葉なんですけど、そんな簡単に決められることじゃなかったので、その時もお断りさせていただいた
三度目の引き抜き
(2018年7月11日から行われた強化合宿中、15日に宮川選手が塚原女子強化本部長と塚原副会長に部屋に呼び出され)
この前の合宿は私はいなかったので、宮川選手自身が会見で語ったとおり
塚原夫妻は、8月31日に発表したプレスリリースで、一切勧誘をしたことがないと断言していました。
過去にも池谷氏の愛弟子へ引き抜き行為をしたことも暴露されており、引き抜きに関しては塚原夫妻は改めて、しっかりと説明をしなければいけない事態になったと言えそうです。
自身の処分を引き抜きに利用されたかどうか
image:ワイドスクランブルより
処分が引き抜きに利用されたのかどうかに関してのコメントの要旨を抜粋します。
100%そうだとは思っていませんが、そういう可能性も0ではないのかなと少し思いました
私はNTCが使えなくなったし、だから海外に派遣しなかったでしょ、と強化本部長に言われたので
(宮川選手が)2年、海外派遣されていないのは事実
体操界は、いろいろな先生方…
40~60代の先生方に「女子の体操は…」と聞かされた部分がたくさんあったので、次は宮川選手なのかなと感じた引き抜きという認識なのかは、本人じゃないので分からないが、事実として2020に入っていないことの制限と海外派遣されなかった事実はあったので、やはり協会の言うことを聞かないと、そうなるのかなという圧力ですかね、実際に制限がかかったり事実があったので感じていた
2020への不参加について
image:ワイドスクランブルより
宮川選手は2020という日本体操協会が作成した強化プランへ参加を見送っており、そのために海外派遣に参加できなかったり、練習場の使用を制限されたりしていました。
このことに関してのコメントの要旨を抜粋します。
2020に、よく分からない部分があった
なぜナショナル選手なのに制限がかけられるのか、何故そうする必要があるのか理由が分からなかった
強化本部長と1度、話をしたこともあった協会のルールとしてナショナル選手、オリンピック選手でもあっても、派遣されないと正式に発表してもらえるなら従わなければならない…
発表して欲しいと言ったことがあるお答えいただいていないのが現状の中できた
日本体操協会の今後の体制について
体制(塚原夫妻)に関してのコメントの要旨を抜粋します。
体制が変わることがどうなるかは分からないので…
強化本部長もコーチも選手も、みんな純粋に上を目指すために、どのコーチも思ってやっているのは事実
10人いれば10人、考え方も指導プログラム、プランも違う
1人1人尊重しつつ、話し合えるような環境にはなって欲しいという思いが現場にはあった
強引なやり方、コーチが委縮し発言が抑制される体制には、変わって欲しいという想いを語られていました。
これに関しては、塚原夫妻だからどうこうというのもそうですが、協会全体が刷新していかなければいけないのでしょう。
現実的な所感
これは理想論ではなく現実的な所感です。
過去の暴力への謝罪について
体操界にきちんと明文化されたルールがあれば、それに従わなかったことは確実に罪悪として処分できます。
しかし、過去に暴力的な指導があっても当事者に被害が無く、かつルールも明文化されていないものについては、本人の反省を促し今後繰り返さない注意勧告処分が妥当のはずです。
注意勧告処分をしたうえで破ったのなら、その時点で解雇でも何でもすれば良い。
そうした運用をしなければ、速見元コーチ以外にも同じようなことをしていた全ての指導者についても洗い出さなければ不公平になってしまうためです。
しかし実際は、「速見元コーチだけ」が非常に厳しい処分を受けています。
しかも周囲の「見たことがある」「やったはずだ」という、証拠の無い曖昧な意見を元に処分されています。
何度も注意をされていたという情報もありますが、他のコーチはどうだったのでしょうか。
過去5年もの間に、本当に1度もそうした行為をしていないと言い切れるのでしょうか。
池谷氏を始め有名人を除いて他のコーチの誰からも声が上がら無い状況は、塚原夫妻が怖いからだけでしょうか。
自身にも覚えがあるから、声をあげられない人もいるのではないでしょうか。
速見元コーチが当初に思っていた不公平感はこの辺りにあるのだろうと察します。
残念ながら事態を大きくするほどに、マスメディアは過去暴力的指導をした「罪悪」ばかりにフォーカスしました。
速見元コーチも軽減を要求するほどに、世論の反発を買うことを理解したのではないでしょうか。
過去の指導方法をきちんと見直し、今後は適切な指導ができる指導者になることをテレビで誓わなければ、どこも彼をコーチとして採用できる状況ではなくなってしまったのでしょう。
そんな速見元コーチが、宮川選手のコーチに戻ったとしても宮川選手の足を引っ張るだけです。
それは速見元コーチの期待することとは真逆でしょうから、この姿勢を選んだことは結果的には正しかったのではないでしょうか。
塚原夫妻の謝罪文を受けて
塚原夫妻が前回の謝罪文を出したことで、「宮川選手の利益」にとっては進展があったと感じていました。
パワハラを完全に認めたわけではないですが、彼らもこれ以上事態が悪化することで自身の進退に影響がでることを「恐怖」していることの表れに感じられました。
書かれていることが本心か否かというよりは、その裏側の「恐怖」を読み取れました。
だからこそ、速見元コーチの処分軽減なども視野に弁護士とともに裏交渉をするタイミングもあるのか?とも思っていました。
しかし速見元コーチが下した自身の身の処し方を見れば、宮川サイドはもうそういう状況では無いと判断しているわけです。
世論の雰囲気も鑑みて決断しているはずです。
また、塚原夫妻の引き抜きに関する「嘘」があることは確実だと自信があるのではないでしょうか。
この点で塚原夫妻は今後追い詰められる可能性が出ているため、彼らの進退によっては、速見元コーチに下された処分が適当なものではなかったと、再考される可能性も見越しているのかもしれませんね。
まとめ
速見元コーチは、良かれと思って行ってきた暴力的指導の「過ち」を完全に把握をされたはずです。
宮川選手をここまで育てられたコーチとしての手腕は認められるはずですので、暴力的な指導をせず、立派な指導ができるコーチに生まれ変わっていただけるのではないでしょうか。
再生を信じて待ちたいですね。
こうした不公平や意識のズレを起こした原因は、しっかりと明文化・ルール化してこなかった協会側にも問題があったと言えます。
この問題を機会に、指導の仕方、暴力と指導の境目、指導とパワハラの境目がしっかり分かる指導方針要綱を整理していただきたいと思います。
宮川選手サイドには2重契約疑惑が持ち上がっていますが、「宮川選手の速見元コーチへの処分が塚原夫妻のパワハラと引き抜きに起因していたのではないか?」という論点とはたいして関連はありません。
なぜこのタイミングでこの問題が出てきたのかは謎も多いですが、当事者間で話し合いをもっているという弁護士の話を信じ進展を待ちたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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