紀州のドン・ファンの不審死事件は5カ月が経った
image:情報ライブミヤネ屋より
紀州のドン・ファンこと野崎幸助氏(77歳)は2018年5月、自宅で亡くなっているところを発見されました。
謎の死を遂げてから5カ月。
主を失った豪邸はひっそりと静まり返ています。
image:情報ライブミヤネ屋より
すっかりマスメディアでも取り上げなくなってしまったこの事件。
しかしその裏で捜索は進められていました。
その後の進展はどうなっているのでしょうか。
新たに見つかった赤い遺言書とは?
死の直前に従業員が受け取った電話は犯人の偽装工作だったのか?
謎の電話に謎の来訪者とは?
調べるごとに関係者が増えていき混迷を極める捜査は、迷宮入りの様相を呈してきましたー。
まず次項は、この事件がどんな事件だったかのおさらいをしてみたいと思います。
他殺の線でも捜査が進んだが
当初は突然死とみられていましたが、その後に事態は急転。
野崎氏の体内から覚醒剤が検出され、死因は急性覚醒剤中毒だったことが判明しました。
注射痕がなく、口から体内に入ったものとみられています。
そもそも覚醒剤は口に入れるととてつもなく苦いらしいので、注射で摂取することが多いのですが、常習のひとの中には口から摂取する場合もあるようです。
しかし野崎氏は以前から覚醒剤をしないと宣言していたこともあり、自殺、他殺の両面での捜査が進展していきました。
警察は野崎氏が無くなる直前にビールを飲んでいたことから、ビール瓶2000本を自宅などから押収し鑑定するなど、しらみつぶしに捜査。
(ビール瓶の鑑定は継続中)
ついには、野崎氏と同時期に急死した愛犬ラブの遺体を掘り起こして鑑定まで行いました。
image:情報ライブミヤネ屋より
しかし、愛犬ラブからは覚せい剤は検出されず、犯人がラブで覚醒剤の効果を試した、などの可能性は無くなりました。
ただしラブが死ぬことで恩恵を受ける人物にとっては、覚醒剤で死ぬ必要は無かったはずですが。
なお生前、野崎氏は遺産をラブに残すといったようなことを周囲に漏らしていたとも伝えられています。
また野崎氏が亡くなった後、家宅捜査で金庫やカバンにあったはずの2億円がなくなっていることが分かっています。
この2億円はいったいどこに行ってしまったのかも分かっていません。
和歌山県警でも捜査が難航しているようです。
次項から、まずは野崎氏が亡くなった当日の時系列と、これまでに分かってきた新事実についてまとめていきます。
野崎氏が亡くなった日の時系列
image:モーニングショーより
2018年5月24日、野崎氏は自宅で不審死の状態で発見されました。
第一発見者は若妻でした。
この時系列は当日に自宅に居合わせた若妻、家政婦の証言と、会社の従業員の証言をもとに作成しているものです。
午前4時ごろ
野崎氏、起床し会社へ
午前7時ごろ
帰宅し朝食
正午ごろ
妻と家政婦と3人で昼食
午後3時ごろ
家政婦が外出
午後5時ごろ
2階の寝室へあがる
午後6時前
1階でビールを飲み2階へあがる
午後7時ごろ
家政婦が帰宅
午後8時ごろ
妻と家政婦がリビングでテレビ鑑賞
このときに2階寝室から「ドーンドーン」と物音
(妻と家政婦の証言)
午後9時ごろ
死亡推定時刻
午後10時半ごろ
妻、家政婦の順で2階寝室へ
ソファで動かず亡くなっている野崎氏を発見
口から泡をふき身体は硬直した状態
疑われた2人
死亡した野崎氏を発見したのは、若妻と家政婦でした。
他には誰かが家に入った形跡が無く、当然のように疑われました。
若妻と家政婦の人となりと証言についてまとめましたのでご覧ください。
若妻について
第一発見者の20代の妻は、わずか3か月の夫婦生活で莫大な遺産の相続権を得たことでマスメディアからも注目が集まりました。
妻は2018年2月に結婚した、55歳離れた自称モデルでです。
紹介者を通じて出会い、結婚1か月半後から同棲するようになったといいます。
結婚条件は毎月100万円のお手当がもらえることでした。
本人もそれをおいしい話だと思って結婚したと証言しています。
そのため、
毎月100万円のお手当をもらうのが決まっているのに
私が社長を殺すワケがないじゃないですか
と話し野崎氏殺害を否定しています。
また野崎氏には若妻と結婚をした後にできた愛人がいました。
2018年5月7日、東京都内のホテルで野崎氏と一夜を過ごしています。
周囲には、
妻とはもう離婚して「ミス・ワールド」と結婚するんや
と話していたそうです。
「ミス・ワールド」とは愛人の通称です。
会社の従業員は、野崎氏は「ミス・ワールド」にぞっこんで、6月11日のイブちゃんのお別れ会にも呼んでいたと言います。
またその時点で若妻にも離婚届を渡していたと証言しています。
この離婚届については若妻は認めています。
これで若妻が相続権を失う危機感に駆られた、というのがマスメディアが描いた物語でしたが、若妻は「冗談だったと思っていた」と一蹴しています。
しかし愛人をラブちゃんのお葬式にまで参列させたのを目の当たりにされて、正常でいられるものでしょうか。
家政婦について
image:とくダネより
家政婦は60代の女性です。
借金の保証人になった父親の債務相手として出会いました。
野崎氏とは30年来の仲です。
2016年から家政婦になりました。
家政婦の雇用条件は月に10日間働くことで、日当1万円。
どうも若妻の待遇に比べて、ずいぶん雑な待遇にも感じます。
しかし都内の高級マンションに住んでいるという情報もあるため、この雇用条件には信ぴょう性が疑われています。
普段は東京都内に住んでおり、和歌山までのチケットは野崎氏が送っていたそうです。
しかし東京までの交通費は支払われていなかったらしく、
帰りの交通費は知らんぷり
と証言しています。
また野崎氏との関係について以下のように説明しています。
30年来の付き合い
私と野崎社長の関係性を表現することは
とても難しいのです
仲間と呼ぶべきか戦友と表現すべきかときには母親のような感情になるときもありました
もしかしたら私は
男女の関係でもなく
お金でもつながっていない
唯一の人物だったかもしれません
野崎氏は病気が原因で下が非常に緩くなってしまっていたといい、家の中にはところどころに漏らしたものが落ちていることもあったそうです。
そうした下の世話などかなり過酷だったようなので、日当1万円で帰りの交通費は無しという条件に不満があったとしてもおかしくはないでしょう。
しかしそれでも野崎氏とは金銭で繋がっていない、野崎氏の金銭に対して関心が無かったことを強調しています。
野崎氏の覚醒剤の入手ルートは?
覚醒剤による他殺としても捜査が進められていましたが、ここでは野崎氏が自ら覚醒剤を摂取した可能性について検討していきます。
野崎氏は覚醒剤は絶対に手を出さないと公言し、著書でもそのように記しています。
また煙草も吸わず健康にかなり気を遣っていたそうです。
野崎氏と親しかったデヴィ夫人は、自ら摂取するとは考えられないと述べています。
覚醒剤は依存になるし、死亡する危険性があることは予想がつくものです。
野崎氏は生前、マスメディアの取材にも「120歳まで生きる」と公言しており、死のリスクを負ってまで自ら使用したとは、なかなか考えにくいですね。
image:給与明細より
ただし「死のリスクを正しく理解していた場合」の話です。
もし誤った知識を信用してしまったことで自ら摂取してしまったとしたらどうでしょう。
取材で新たに、家政婦はこのように述べています。
私も疑問に思っています
長い付き合いになりますが
覚醒剤を使っていたような様子は
全くありませんでしたし、
そんな噂を聞いたこともありませんもしかしたら
覚醒剤を使えば(男性)機能が
回復するかもしれないと
考えて使ったのかもしれません誰か身近な人がそうした情報を伝えたら
野崎社長は覚醒剤使ってしまうかもしれないと
考えたこともあります
普通であれば使わない覚醒剤も、信頼の置ける「誰か身近な人」が覚醒剤の誤った使い方を教え、死亡するように仕向けたということがありうる、ということを家政婦は示唆しているのではないでしょうか。
野崎氏の幅広い付き合いを考えると、その「誰か身近な人」の怨恨、もしくは財産目当てという可能性は捨てきれなくなります。
金貸しという仕事柄、裏ルートに精通した知り合いもいたことでしょう。
入手することは案外、容易だったかもしれません。
とはいえここまではあくまで仮定の話です。
以降は捜査段階でわかってきた、野崎氏と覚醒剤の関わりに関する情報になります。
妻が受け取った小包
2018年4月下旬に妻宛に海外から十数センチ x 5センチ程度の小包が届いていたそうです。
そこに薬物が入っていたのではないか、という報道が一時出回りました。
妻はその小包について、シンガポールに発注したシミ取り用のクリームだと証言したそうです。
もし野崎氏も住んでいる自宅にそんな箱で送り付けて、野崎氏がうっかり開いてしまったらバレてしまいます。
さすがにそこまで分かりやすい方法で覚醒剤を送るとは考えにくいでしょう。
空港の税関も通過できない可能性が高いですし…。
ただ肝心の小包の中身が証拠として残っていないため、事実は分かっていません。
元婚約者の注射針
野崎氏の元婚約者は、若妻の前に野崎氏と婚約までしていましたが、正式な結婚には前の男性と別れるため2000万円が必要といって要求しました。
野崎氏は2000万円を渡していました。
ところが元婚約者は一向に結婚をせず、野崎氏は返還訴訟を起こす構えをみせていたそうです。
すると、2017年5月に元婚約者は一転して結婚すると伝え、夏前に嫁入り道具が詰まった大量の段ボールや家財道具を野崎氏の自宅に送りつけてきました。
結局結婚はせず今の若妻と結婚をしたわけですが、その段ボールの中になぜか注射針が入っていたことが捜査で分かっています。
これが覚醒剤用なのかどうか明確な意図は分かっていませんが、元婚約者は犯行を否定しています。
しかし嫁入り道具に注射針を入れるというのはちょっと普通では無さそうですが、何のためのものだったのでしょうね。
元愛人が受けた謎の電話
若妻と結婚する前に付き合っていた元愛人は、このように語っているそうです。
実はね
亡くなる2週間くらい前に
社長から電話があって
『へへ 俺は今 覚醒剤をやっとんやで』
って言われたんです
このことで2018年7月末に和歌山県警捜査員は事情聴取を行っています。
以上のように、覚醒剤を誰かが持ち込んだ可能性はあります。
それを使って第三者が飲ませたか、野崎氏が自ら飲んだ可能性もあります。
間違いなく言えることは、覚醒剤によって野崎氏が亡くなったという事実なので、その覚醒剤がどのように自宅に入ったものなのか、ルートを探ることが、真実の解明に繋がるはずです。
次項からは、野崎氏が最も信頼したライター吉田隆氏が見聞きし取材した新たな情報についてまとめてみました。
死の直前に続いた謎の来訪者
野崎氏が最も信頼したライター吉田隆氏。
自宅に寝泊まりして取材していたそうです。
吉田隆氏の最新の著書にもかなり興味深い綿密な取材内容が記されていますので興味がありましたら読んでみてください。
ここからは、吉田氏が、野崎氏が亡くなる直前に見聞きした不思議なこと、亡くなった後に取材した新たな情報について触れていきます。
新しい家政婦
死の2週間前、野崎氏の自宅に新しい家政婦がやってきました。
お手伝いになってもいいと言っている女性がいる
3年位前に銀座の飲み屋に行ったときに
挨拶したけど記憶にない
野崎氏はこのように話し、空港に迎えにいったそうです。
この家政婦は、練馬区出身の中年女性で、バツイチ。
20歳を超える息子がおり、
社長さんのところに来られて嬉しい
と語っていたそうです。
従業員らが清掃のやり方などを教えたそうです。
ところが、その家政婦は驚くべき依頼を持ちかけたそうです。
2億円を無担保で貸してほしい
保証人になってしまいピンチだ
野崎氏は当然ながらその要求に激怒。
手伝い金2万円を要求されましたが、その日のうちに帰らせたということです。
女性関係を含めて交友関係が広いことは周知の事実ですが、過去にちょっと会っただけで記憶にもなかったひとを家に上がらせ家政婦にするというのも、無防備な印象があります。
家の庭はセコムでがっちり監視しておきながら、2億円を部屋に転がして置いてマスメディアに映させるなど、防御を固めているようで、その硬そうな壁を一枚取り払うと無防備であった人間性がみえてきます。
謎の老男女
5月10日のこと、同じく死の2週間前に別の奇妙な来訪者があったといいます。
沖縄・宮古島暮らしの60代くらいの男性。
もう一人は男性の友人で、北九州から来たという60代くらいの女性。
この2人が野崎氏の自宅に突然訪ねてきました。
ドン・ファンさんの本を読んで感動したので
野崎社長に会うのが目的でした
そのように来訪について説明したと言います。
ところが、その場に居合わせた吉田氏はこの2人に違和感を感じていたそうです。
感動したといっておきながら
自叙伝である『紀州のドン・ファン』を
読んでいないことはすぐにわかった
結局、野崎氏は2人に贈呈用の大きな梅干しをプレゼントして帰らせたそうです。
ドン・ファンとしてテレビにでてからは、このように自宅にやってくるひとはいたそうですが、明らかに本を読んでいないのに読んだふりをして接近してきたことに違和感があったのだろうと思います。
謎の電話は偽装工作か?
5月24日午後4時ごろ。
死亡当日です。
このころは吉田氏は野崎氏の自宅を離れていたようですが、理由は不明ですが野崎氏は切迫した様子で、吉田氏に電話で来て欲しいと頼んでいたそうです。
繰り返し頼んできたことで、忙しい中で自宅を訪れることを野崎氏に伝えたそうです。
野崎氏はこの日従業員に、吉田氏が来てくれると伝えていたようです。
その1時間後の午後5時ごろ。
野崎氏は知人に電話をかけています。
用件は愛犬イブちゃんの告別式の件でしたが
普段と変わらない様子でした
とこの知人は証言されています。
その後午後7時半ごろ、野崎氏の携帯電話から2回、会社に電話を掛けています。
しかし会社の業務時間は午後6時で終了しています。
なぜ誰もいないはずの会社に2回も電話を掛けたのでしょうか。
会社は午後6時でシャッターが閉じられ警備システムも作動するため、誰も残れないようになっています。
そのことは野崎氏が最も分かっているはずです。
吉田氏は、この電話は誰かが偽装工作を図った可能性があると推測しているようです。
その時間に野崎氏が生存しているという偽装工作だとすれば、実は7時半には野崎氏がもう亡くなっていた可能性が出てきます。
妻と家政婦が、午後8時ごろに2階の自室で「ドーンドーン」と音をたてていたという証言をしていますが、その証言と合わなくなってきます。
野崎氏本人が、身体の変調で慌てて電話をかけたために誤って発信履歴から会社にかけていたと考えられなくもないですが、自宅の1階に妻と家政婦がいるのに、自室で音を立てるまえに外部へ電話をかけるというのも、ちょっと違和感を感じますね。
赤い遺言書
image:情報ライブミヤネ屋より
野崎氏の遺産は、株式や不動産、未回収の債権あわせて総額で30億円あるとされています。
当初は50億円はあるだろうとされていましたが、実質は30億円とみられています。
遺言書は無いとされていましたが、2018年8月に遺言書の存在が明らかになりました。
それが「赤い遺言書」です。
(上の画像です)
野崎氏と30年来の知人男性が5年も前に郵送でもらったとされ、8月に裁判所に提出、本物かどうか検認手続きを行っているそうです。
そこにはこのように記されていました。
個人の全財産を田辺市にキフする
驚くべきことに全財産を市に寄附するというのです。
なぜこの遺言書を、5年も前に知人に送ったのでしょうか。
野崎氏は、
まだまだ死ぬつもりはないが
万が一のときには自分の財産を
郷里の発展に役立ててもらいたい
と話していたそうです。
受領する相手、本人の署名、押印、日付と遺言として必要なものはそろっているようですが、野崎氏が書いたとするには少し不可解な点があります。
野崎氏の直筆のサインはかなりクセが強く、右から左に流れるような書き方をしています。
以下が直筆のサインです。
image:情報ライブミヤネ屋より
どの書類も決まってこのような書き方になっているようです。
筆跡は非常に似ていますが、このクセをあえてやめて真っすぐに書いたのかどうか、真偽のほどが分かりかねるところです。
さすがに遺言書は丁寧にまっすぐ書いたという見方もできますが、そこまで考えているのならそもそもこんなメモ書きのようなものではなく、正式な書面で書いて弁護士に渡していてもおかしくないように思えます。
なお、この知人は葬儀に呼ばれた際、「ドン・ファンは遺言を残すようなタマじゃないよ」と周囲に何度も言っていたそうです。
知人は自らが遺言書を持っていたことについて「昔のことで忘れていた」と話しているそうですが、やはり違和感を感じます。
仮定に過ぎませんが、若妻や親族など、特定の人物に遺産が渡ることを妬んだ遺言の偽造疑惑も浮かんできます。
しかしこの知人がそんなことをするメリットがわからないし、法的には遺言書が正式なものだったとしても、若妻には遺産が配分されるようです。
(ただし親族には配分されなくなります)
まとめ
image:情報ライブミヤネ屋より
以下は2018年10月時点での和歌山県警捜査幹部の見解です。
貸金業の関係先や社長の過去の女性関係を含め
一歩一歩調べを進めているが
状況としては事件・事故の両面とも
否定できないことに変わりはない
会社や自宅から押収した
2000本のビール瓶はまだ鑑定中で
現時点で進展につながるものはでていない
この言葉からは手詰まり感しか感じませんね。
他殺の線が見つからない場合、何らかの方法で覚醒剤を入手した事故死ということで処理される可能性すら見えてきました。
覚醒剤を少しずつ、少しずつビールに混入していたとしたら、押収した2000本のビール瓶に付着している可能性はまだ残されています。
この結果次第で捜査がどう展開するのかをみていきたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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