高配当をうたって出資金をだまし取ったとして、投資会社の会長ら10人が逮捕された事件で、会長は、自らを「キング」と称し、自身のコンサートを企画するなどして、出資金を集めていたことがわかった。
出典:FNN
2019年2月13日、また巨額詐欺事件の容疑者が逮捕されました。
銅子正人容疑者(41歳)。
自らをキングを名乗り、460億円を騙し取ったその手口とはなんだったのでしょうか?
銅子容疑者とその容疑は?
image:グッド!モーニングより
銅子正人容疑者は「テキシアジャパンホールディングス」(TEXSEAR JAPAN)の会長、実質的経営者です。
「100万円の出資で月3%の配当が得られる」などとウソの説明をし、愛知県内の会員3人からあわせて6400万円をだまし取った疑いです。
こうしたウソの説明で高い配当をうたい、全国1万3000人から約460億円をあつめたとみられています。
テキシアジャパンの手口もポンジスキーム
「100万円の出資で月3%の配当が得られる」などとちょっとあり得ない情報で会員を募っていました。
100万円の3%は3万円です。
100万円の出資で年36万円がもらえるなんて、普通なら信用しませんよね?
それでも会員を増やしていった背景は、詐欺の常套手段「紹介制度」です。
テキシアジャパンは会員を4つの階級にわけていました。
image:グッド!モーニングより
このようにピラミッドで4つの階級に分け、3人以上勧誘、500万円出資を一般会員からエバンジェリストへの昇格条件としていました。
さらにたくさんの出資や紹介で、マネージャ、ディレクターと昇格できるシステムでした。
昇格することで配当割合を増すなどのご褒美を与えることで、つぎつぎと紹介するモチベーションを高めさせる手法です。
このピラミッドは頂点しか儲からず、一般会員は頂点まで上がれない仕組みになっています。
頑張ってピラミッドの上に君臨しましょう!
というのがねずみ講の常套文句なんですが、知らない方々はつい乗っかってしまうようです。
このピラミッドのディレクターとして「5レンジャー」と呼ばれる幹部がいました。
今回逮捕された10人に含まれる、石丸容疑者、澤幡容疑者、穂積容疑者、他2名です。
そしてこの頂点が銅子容疑者だったというわけです。
テキシアジャパンは投資会社をかたっており、出資させた金を投資で増やして還元することになっていましたが、実際は投資などせず、出資額をそのまま配当にまわすいわゆる「ポンジスキーム詐欺」を行っています。
この手口の特徴は元本保証し、出資すれば100%お金が何もせずに増えていくように錯覚させる点です。
以前の記事で「SENER」という投資ファンド詐欺を扱いましたが同じ手法を使っています。
そちらにも詳しく書いていますのでよろしければあわせてお読みください。
SENERで柴田千成、道端真志、芳野聡之、村山暢らを逮捕!ポンジスキームで83億円以上の被害。月利20%の甘言に騙された。
ひとつ断言しておくと元本保証の投資など存在しません。
“まだ実現していない未来” に対して支払い、未来が明るかったら儲かるし、暗かったら損をする。
それを投資と言うのです。
未来が必ず明るいかどうかなど、誰にも分かりませんよね?
もし暗かったら元本など返せなくなることはままあることです。
絶対に騙されないように注意してください。
キングは巧妙に「信者」を集めていた
以下は、2017年10月のファッションショー「東京トップコレクション」で自ら歌手として歌ったときのものです。
image:グッド!モーニングより
会場には多くの「信者」が終結して熱烈な声援を送っています。
image:グッド!モーニングより
きんぐ~!
かっこいい~!
黄色い声援が舞いとんでいます。
「信者」はKINGと書かれた旗を振って応援しています。
image:グッド!モーニングより
このように銅子容疑者は “カリスマ” のように振る舞い、多くの「信者」を獲得していました。
やってやれないことは無い
かならずやれる
これは銅子容疑者が歌っていた歌の歌詞です。
当時の「信者」にとっては、キングの素敵な歌詞にしか聴こえなかったのでしょうけれど、今となっては詐欺で荒稼ぎすることを「かならずやれる」と声高に言っていたかのようです。
また、職業は神主、KING、ミュージシャンと公言していました。
神主姿の画像もあり、いったいどういういきさつで神主をしているのか気になるところです。
image:グッド!モーニングより
ひとつ考えられることは、高齢者からたくみにお金を騙し取る際に、信用させる要素にはなったのかなと思います。
まさか神主さんが悪いことするわけない
と思ってしまう方は沢山いらっしゃったのでは。
投資が神がかっていると錯覚させる効果も狙っていたかもしれません。
これは「宗教」だったと、出資してしまった元会員は語っています。
いったん信用してしまうと、何も考えることなく妄信してお金を渡してしまう「新興宗教」。
銅子容疑者は新興宗教のような組織の「王」「神」「KING」となって、自ら信者を獲得していました。
この「信者」が友人を誘ってまた「信者」にする。
こうしてどんどんと規模を大きくしていきました。
しかしこれだけ派手に詐欺行為をして、全国でコンサートやイベントを開いて集金し、警察やそのエリアを支配する暴力団は黙っていなかったのでしょうか?
そこにはテキシアジャパン、銅子容疑者の巧みな戦術が隠されていました。
指南役は元警察官、幹部には暴力団幹部
image:グッド!モーニングより
今回逮捕された10人のうち、ともに逮捕された三好輝尚容疑者(60歳)は、なんと元警察官でした。
三好容疑者は警察官時代に詐欺事件などを担当していました。
会員とは契約書ではなく、借用書を交わしていました。
image:グッド!モーニングより
借用書で契約を交わすことで、出資法違反にならないことを三好容疑者が指南したようです。
以下は6代目山口組 弘道会傘下の幹部 中村外喜治(ときじ)容疑者(66歳)。
image:グッド!モーニングより
逮捕された10人に含まれていました。
地方でもパーティを開いて高齢者などから集金していた銅子容疑者。
そうしたエリアはいまだに暴力団のショバになっていることもあるとききます。
派手に集金しても見逃してやるし、なんかあれば守ってやるから、金うちにも回せや。
そんな風に、山口組に金が流れていたのだろうと推察します。
また先述のファッションショーに呼んでもらったのも、銀座の高級クラブでその主催者と出会ったことがきっかけです。
金を持っているひとは、金を使う場所にやってきて、金を持っているひとと繋がりたがるということを知っていたのでしょう。
ファッションショーに信者を呼び、そこでまた勧誘し新たな信者を大量に獲得していたはずです。
銅子容疑者の派手な「KING」としての側面ばかりが映されることが多いですが、このように次々とキーマンと繋がり、必要な仲間を内部に抱え込む能力にも長けていたことが伺えそうです。
詐欺師にも天才がいる
残念ながらこれも事実です。
「信者」や被害額、こうした手口をざっと見ていくと、ただの詐欺師ではないなという印象を受けます。
銅子容疑者は人をたらしこむ天才なのかもしれません。
「人たらし」という言葉があまりよい意味で使われないのは、こういう悪いことにその才能を使う人間の方が多いためでしょうね。
学がなくても才覚で頂点に上り詰めている人間はいくらでもいます。
もっとまっとうなことにこの才能をつかえば、もしかしたら大きな企業のカリスマ社長になっていたのかもしれないのに。
犯罪者を褒めるのは本意ではありませんが…
これから世の中で一旗あげてやろうという人たちが考える契機にしてもらえたらと思います。
決して悪の道に堕ちることなく。
決して悪に騙されることなく。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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