宮川紗江選手のパワハラ告発について第三者員会立ち上げ。高須院長も救いの手で急展開。暴力の排除の前提となる法の不遡及はどうなる?5年で11回をどう捉えたらいい?

宮川紗江選手のパワハラ告発について第三者員会立ち上げ。高須院長も救いの手で急展開。暴力の排除の前提となる法の不遡及はどうなる?5年で11回をどう捉えたらいい?

日本体操協会の記者会見を受けて

 
 
 

前回記事でも追記していきましたが、宮川選手が記者会見をした同日の夜、日本体操協会からも記者会見を行いました。

改めてその要点を箇条書きでお伝えします。

  • たとえオリンピックのためだとしても暴力は断じてゆるされない
  • 約5年コーチによる暴力が繰り返され何度も注意受けたが是正されず
    同じ練習場の指導者や選手に恐怖感を与えることもあった
  • 速見コーチの処分は妥当な処分だった
  • 速見コーチが反省し実績を積めば協会への復帰も検討する
  • 強化本部長の発言は、初めて聞いた話で、そんなことはこの件には一切関係ないと思っている
  • 本人の訴えについては、宮川選手から正式に書面もしくは面談で話を聞くことは用意がある
    調査をするということは考えている
  • 強化本部長から「オリンピックに出られなくなるわよ」との発言は、全く分からないので回答を控えたい

 

この会見から、日本体操協会としての主張は「暴力を認めない」という一点でなんら変わりませんでした。

では、この暴力という点について記者会見の内容をもう少し掘り下げて考えてみます。

 

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暴力について

 
 
 
 
ここでは、宮川選手が訴えた「処分の陰謀論」については除外して、単純に第三者から訴えられた暴力に対する処分について考えます。

NTCには他の選手も練習をしており、暴力を何度も目撃していたそうです。

そのため今回、速見コーチの処分に至ったということです。

なお、第三者から「事実確認」した暴力とはこうしたものだそうです。

  • 顔をたたく
  • 髪の毛を引っ張る
  • 体を引きずる
  • 長時間立たせる
  • 他の指導者や選手が委縮するほどの暴言

 

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これらについて「事実が認められた」ということですが、誰から確認したのか、現認しないで事実と言い切れるのか、という点で不明な点も多いです。

しかし、その点を差し引いても、もしこんなことを本当に毎日のようにやっていたのなら、行為を1年前くらいにやめていたとしてもさすがにまずいな…と思えます。

ところが、よくよくその回数をきいてガクッときました。

 

2013年から今年5月に11回確認

 

過去5年で11回ということか…

宮川選手の言うように1年以上前までだったとしても、毎日のように繰り返されていたのならさすがにアウトだと思いますが、この感じだと、確かによっぽど気を抜いた命の危険のあるような時だけ厳しい指導の一環として体罰があったという宮川選手の説明は納得感があります。

 

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なお宮川選手は、「顔をたたく」「髪の毛を引っ張る」という行為は認めましたが、それ以外は無いと断言しています。

では、本人は記憶していないのに、他者はあったという暴力とはいったいどういう暴力なのでしょうか?

例えばの話です。

宮川選手がうまくできなくて倒れたままでいつまでも天井を仰いでいたとします。

13歳から18歳といえば、最も多感な年ごろなので、コーチに対して反抗心があったこともあったでしょう。

実際に試合会場でバチバチ言い争うような場面もあったそうです。

熱くなった速見コーチが宮川選手の手を引いて立たせようとしたら、偶然引きずるようなかたちになってしまった、という場合でも、遠目には乱暴に引きずっているようにみえたりしませんか?

宮川選手も熱くなっていて、「自分で立てます!」とばかりに手を振りほどいたとしたら、余計に暴力の被害者のように映ったかもしれませんね。

 

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これはあくまで推測ですが、こんなふうに熱くなった時の指導が暴力的にみえてしまっていたという可能性はあります。

特に、顔を軽く張ったり、髪を引っ張って注意をしたりという「明確な暴力」を過去に目撃したことがあるひとにとっては、全ての行為にバイアスが掛かってしまい、暴力にみえてしまったかもしれません。

協会が速見元コーチに対して、暴力をやめるよう注意をしてきたということですが、こういう「誤解のある暴力」に対してだと、速見元コーチも「これは暴力ではありませんでした」という反応をしたでしょうし、宮川選手も「指導でした」という反応をせざるを得ないはずです。

もしこうした「誤解のある暴力」も全てカウントしていて、速見コーチと宮川選手の人生を変えてしまうほどの処分を決めたのなら、それは日本体操協会の調査方法が甘いということだし、単なるパワハラと言われても仕方が無いでしょう。

あえて甘い調査をして、速見元コーチを処分前提で進めたと、宮川選手が思っても仕方ないかもしれません。

宮川選手の認識と明らかにズレているので、まずは確認しているという11回の過去の暴力について、ひとつひとつ、宮川選手と速見コーチ、弁護士同席のもとで確認を行ってはと思います。

できれば、全員でなくても、その目撃したというひとも同席できれば良いかもしれません。

「怖い」と思った、ある意味その告発者の方々も、被害者・関係者なのですから。

その中で告発者との間の誤解が解けるかもしれません。

 

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協会は過去に1回でも暴力があったことを許さないとしているのでは?というご指摘もあるでしょう。

これに関しては、法の不遡及の観点からも見る必要があります。

 

5年ほど前までは、あらゆるスポーツの現場では暴力、体罰による指導が当たり前のように行われていたと言います。

そのころから相撲などで体罰が問題化し、徐々に体罰や暴力を禁止するルールづくりが行われました。

 

過去の名残で5年前からしばらく、速見コーチも体罰をしていたことは情状酌量の余地があるはずです。

その情状酌量を認めなければ、過去の体罰や暴力による指導をした全ての指導者を全員処分しなければいけないからです。

他の指導者がそれ以降も全く暴力的な指導をしていなかった証明などできないはずですから、そもそもが過去の暴力で第三者の指摘のみを証拠として処分するということ自体に無理があるわけです。

法の不遡及という言葉がありますが、過去は許されていた行為を後のルールで裁けないという一般原則です。

暴力が公式に許されていたわけではありませんが、暗黙で許容されていたことは公然の事実です。

この法の不遡及の観点でも、過去の暴力について後で決めた「暴力は排除」のルールに当てはめるのは無理があります。

そうした見地から、暴力排除のルールが完備されて以降に第三者から確認された暴力行為について、双方で確認を行えば十分なように思います。

そして、明らかに暴力があったと双方で認めたことについて、速見コーチに反省文と覚書を書かせ、次にやったら完全アウトという警告処分と処することが適当ではないかと思います。

もちろん、暴力の誤解を与えるような行動さえも控えなければいけないので、他のコーチ以上に注意を払う必要があるでしょう。

 

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過去5年で11回という頻度の低さ、その暴力で怪我をしていないこと、宮川選手が全く暴力だと思っていないことを加味すれば、これで十分なお灸になるはずです。

もう一つ言えば、注意をするだけで、こうい警告を何故過去に行っていなかったのかということも気になります。

覚書を交わしたうえで破ったのなら、宮川選手を含め誰も文句を言わなかったでしょう。

日本体操協会自体も、実はそれほど問題視していなかった証拠なのではないでしょうか。

自らの緩慢な体質を棚上げし、コーチだけに重い処分を課すのも違和感があります。

 

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宮川選手の現状

 

 

8月22日に所属チームを契約解除されています。

この理由は明らかにされていないようです。

普通に考えれば、協会とトラブルを起こしてしまった選手を切ったと考えるのが普通でしょう。

そうしなければ、他の選手たちの立場を危うくすることになります。

もしくは、宮川選手と相談のうえ、宮川選手も同意のもとでいったん契約終了というかたちをとったかもしれません。

所属チームとしてもオリンピック代表候補選手を逃すことは痛いはずなので、トラブルが円満に解決したら、またクラブに戻れる道を残すことは双方で考えているかもしれません。

 

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頭痛や不眠といった身体的な問題が解決したとしても、そうした事情で練習ができず、身体を動かす程度のことしかできません。

他のクラブに所属して練習場をかしてもらったとしても、速見コーチとの二人三脚で金メダルをとりたいと主張する宮川選手が、集中してトレーニングできるとは思えません。

そんなメンタルで無理に高度な技に挑めば、大怪我をする可能性すらあります。

速見元コーチは協会から「今後の反省と実績次第で再登録を検討する」と言われていますが、それがいつのことかは全く分かりません。

再登録される基準もありません。

そして東京オリンピックを目指すのなら、「いずれ」では間に合いません。

「今」二人がまた一緒に練習できる環境が必要ですが、日本体操協会からはその方法が提案されませんでした。

ところが、その「今」を解決する一つの手段としてある人が立ち上げりました。

 

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高須院長が立ち上がった

 


image:ツイッター

 

高須クリニックの高須克弥院長が助け船を出しました。

 

力になりたいと思います。

 

こんな自分ではどうにもならないような八方塞がりの時、言葉の励ましも元気付けられますが、本当に力強い推進力を持っているのはこうした「まことの金持ち」なのかもしれません。

以下が高須院長が助け船を出したツイートです。

 

 

なんとこのツイートを、男子体操の期待の星・白井健三選手がリツイートしていました。

白井選手が賛同したということは一つの事実として、体操界の何かを示しているのかもしれません。

 

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そして、以下がついに宮川選手から直に連絡をもらえた際のツイートです。

どんどん拡散されて、宮川選手にも届いたということのようです。

これからいろいろな相談をしていくようですね。

 

 

他のチームも協会と反目した選手と関わりたくないでしょうから、もしかすれば高須院長が独自に体操チームを作るなんてこともありうるかもしれません。

もしくは高須院長の人脈で、賛同してもらえるチームにねじ込んでもらうか。

大きなカネが動くかもしれませんが、それだと他の選手との軋轢をつくってしまうのは目に見えているから、難しいかな…。

 

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第三者委員会の立ち上げ

 

次は体育協会副会長である塚原光男氏からは、「プレスリリースを待て」と話しがありましたが、8月30日の夕方、日本体操協会から第三者委員会の立ち上げについての記者会見がありました。

感情的にカッとなったとはいえ「全部嘘」と言ってしまった手前、どのように宮川選手の告発を否定するのかが気になっていましたが、どうやら宮川選手の告発を全部否定するだけの材料が集まらなかったものと思われます。

結局、よく調べもせずに「全部嘘」と発言をしてしまうようなことをしているから、マスメディアの格好の餌食になってしまいます。

多くの選手を指導する立場にいるのですから、もう少し冷静に自覚を持って発言をしていただきたいものです。

今後、この第三者委員会がどう機能していくかを注視していきたいと思います。

 

まとめ

 

 

感情で話してもダメ、と仰る方も多数おられます。

日本体操協会の言い分も理解できる、と上段から仰るコメンテーターの方もおられます。

もちろん双方の言い分をしっかり聴いて、偏見を持たずに行く末をみつめる必要はあります。

ただし、本質はひとつです。

選手ファーストという言葉に象徴されるように、背中を押してあげるべきは選手です。

本質を持っているひとの感情は、きちんと耳を傾ける必要があります。

むしろ日本体操協会の側が感情的に反応してはいけません。

 

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選手が何をしたいか、ということを冷静に、第一に考え環境を整えてあげるのが、日本体操協会や大人の務めです。

塚原夫妻は、宮川選手の能力を買っているからこそ朝日生命のクラブに誘ったわけですから、宮川選手が活躍することで実績を得られるという皮算用だって当然していないとは言わせません。

ズブの素人を誘いはしなかったはずですから、宮川選手のためだからなんて綺麗ごとで済ませようとしないで欲しいです。

宮川選手を私利に使おうと考えず、宮川選手が純粋に金メダルをとりやすい環境にしてあげるのが、業界の上位組織としての日本体操協会の務めではないでしょうか。

宮川選手が「純粋に体操をしたい」と話したのは、そういうことだと思うのですが。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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