賃貸の契約時に結ぶ火災保険とは?
マンションやアパートを賃貸で借りる際に、火災保険に入りますよね。
あれって、いったい何のためにあるのかご存知でしょうか。
火災保険(かさいほけん)は損害保険の一つで、建物や建物内に収容された物品(住宅内の家財用具、工場などの設備や商品の在庫など)の火災や風水害による損害を補填する保険である。
出典:Wikipedia
Wikipediaをみても、なかなか難しい言葉が並んでいて理解が困難…
という方のために、簡単に整理してご説明したいと思います。
分かりやすく説明するため割愛していることもありますのであしからずです。
例えば、自分の部屋から出火させて建物に損害を与えてしまったとします。
この場合も、
『本出火させた本人は建物の建て替え費用を負担する責任を負わなくてもよい』
ということになっています。
これは民放の「失火責任法」で定められています。
もちろん、重大な過失がない限りです。
重大な過失というのは、揚げ物をしてそのまま家を離れてしまったとか、煙草の火が付いたままゴミ箱に捨てたとか、あからさまに出火の原因を作った場合のことを指しています。
これだと大家さんは大損をしてしまいます。
そこで部屋を借りる側が入る火災保険が意味を持ってきます。
主にこういったケースのために火災保険に加入をします。
- 火元になった場合の損害賠償を逃れるため
- 他の部屋かのもらい火で被害をこうむった場合の保険のため
あれ?
「失火責任法」で守られているから、重大な過失ではない場合は損害賠償責任は逃れられるのでは?
とお思いでしょう。
ここが落とし穴です。
賃貸契約時に必ず「原状回復する義務」を締結させられていますよね。
つまり、火災で原状回復ができなければ、結局は損害賠償する責任を負うわけです。
このややこしい契約はつまりこういう理由です。
民放の「失火責任法」は、木材住宅が多く出火すると周辺に延焼することが多かった日本では、とても賠償などしきれない火元のひとを救うために生まれた法律です。
こちらにちょっと詳しく記載されているので参照させていただきました。
「失火ノ責任ニ関スル法律」(明治32年法律40号)の略。民法の原則(709条)によると、故意または過失によって火災を引き起こし、他人の身体または財産に損害を与えると、不法行為者として損害賠償責任を負うことになるはずである。しかし、日本では木造家屋が多いので、いったん火災が発生すると損害が著しく拡大するおそれがあり、他方、日本には火災を天災とみる意識もあって、失火責任法を制定して失火者の責任を軽減した。すなわち、同法によると、失火者に重大な過失がある場合のほかは、失火者に民法第709条を適用しない。なお、判例によると、同法は、借家人が賃借家屋に失火して家主に債務不履行(家屋返還債務の履行不能)の責任を負った場合には適用されない。刑事上の責任については「失火罪」の項を参照されたい。[淡路剛久]
出典:コトバンク
その為、持ち家とか賃貸とかの事情を考慮してはいません。
大家としてはこの法律以外に自分を守る契約を別途結んでおく必要があるわけです。
それが「原状回復する義務」の条項で全て含まれているというわけですね。
部屋を借りる側が加入する保険は「家財保険」と「借家人賠償責任保険」です。
「家財保険」は火災や水漏れなどで自分の家財に被害が出た場合に補填してもらうために入る保険です。
「借家人賠償責任保険」はそうした事態を自分が起こした際に、原状回復する費用を補填してくれる保険です。
こちらは「家財保険」の特約として入るため、義務ではありません。
でも、「借家人賠償責任保険」こそが大家が入って置いて欲しい保険ということはもうお分かりでしょう。
また自室以外にも被害をだした場合に補填してもらうためには別途特約を結ばないといけません。
賃貸で契約時に勧められる火災保険は払戻金がある!
火災保険はプランにもよりますが、2万円前後を支払うことになると思います。
実はその金額は居住期間に応じて償却していることになっており、残期間分が払い戻ししてもらえることがほとんどです。
保険会社との契約内容にもよりますが、居住が更新から1年未満だったら
1万円前後がかえってくるので、転居日が決まったら即座に必ず保険会社に連絡をして解約手続きをしましょう。
保険会社は居住者の転居は連絡が無い限り把握していないため、解約手続きしないとどんどん償却して金額が減ってしまいます。
私は1年の間に2度転居をすることがあり、2度目の転居時に一つ前の保険会社にも連絡をしてみたところ、そちらも払い戻しをしてもらえましたが6000円に目減りしていました。
契約書類の中に保険会社へ払戻しに関する説明が入っているはずなので、入居時に目を通しておきましょう。
この事実は、不動産仲介のお店では教えてくれないことが多いです。
不動産仲介の営業さんは探してくれる間は親切そのものですが、契約が完了してしまえばもう「案件完了」ということでおしまいです。
火災保険の解約は退去時の手続きなので、わざわざ退去時のことまで教える義務はないというわけです。
また転居時の忙しさで火災保険の契約書まで細かく目を通さないため、知らないままになっているのではないでしょうか。
契約時に勧められる火災保険に入らなければいけないの?
不動産仲介から契約時に勧められる火災保険は、実は無理に入らなくてもよいのです。
その場で勧められる火災保険はちょっと高いかな?と思います。
契約時の火災保険は、不動産仲介と保険会社で握りあっているためマージンが含まれているケースが多いためです。
そういう保険ではなく、もっと安い保険を選んで加入することは可能です。
でも不動産仲介の担当さんから「これも契約しないといけないので」みたいに強制っぽく言われた場合、それは「独占禁止法」で禁じられている行為になります。
独占禁止法第十九条
事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。
他に選べる保険があるにも関わらず、特定の保険に入らないといけにようにいえば、不公正な取引をして消費者に損害を与えたことになるんです。
余談ですが、これは自動車を購入する際の任意保険も同じようなシチュエーションがありますよね。
自動車を買ったことがある方はご理解いただきやすいと思うんですが、契約時に「こういう素晴らしい保険があるのでいかがですか?」と必ずと言ってもいいほど勧めてきませんか?
買い替えなどで既にネット系の安い保険に加入していたら、「もう入っているのでいいです」と断りますよね。
これはまさに、不動産の火災保険も同じことが言えるんです。
不動産仲介は自動車のディーラーよりちょっと営業が強い(笑)ので、うまく断った方がいいです。
初めから独占禁止法の話をするとこちらの「最終兵器」を初めから出してしまうので、言葉巧みにかわされたら、指定の火災保険に入るしかない雰囲気に持っていかれます。
まずは、大家さんに相談してもらって、粘り強く他社の保険に入りたいと伝えてください。
それでもだめなら、独占禁止法に抵触するかも?とチラつかせれば、大抵の営業さんはネを上げるはずです。
なんとか不動産仲介の営業さんとの折り合いが付けられたら、あとは自前で火災保険を探して入りましょう。
大手から共済系まで様々な火災保険がありますが、とにかく金額を押さえたいなら県民共済、都民共済がおすすめです。
ベースの保険料が安く、特約を付けても比較的安く抑えられ、かつ払戻しにも対応しています。
もちろん、転勤などえ転居を急いでいて、そこまで安さにこだわらないなら、不動産仲介の勧める火災保険にすんなり加入しておけばオッケーです。
まとめ
「失火責任法」があっても、原状回復の契約は必ず締結させられます。
法律をたてに自分を守ることができません。
ものごとには「絶対」はありませんので、火災を起こさない自信があっても、この保険は入って置いた方が無難でしょう。
転居時の払戻し金については、僕の友人も知らないひとが多かったので、こちらは「絶対」に手続きをしてください。
生命保険、医療保険は払戻しの有無についてもきちんと確認をするのに、火災保険にないわけはないんです。
僕もそのことにきづくのに遅れて、ずいぶん無駄にしてきました。
本当にもったいない!
転居の多い方は特に意識しておいてくださいね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
関連記事を紹介させていただきます。
ヘヤシュのガス抜きが原因?札幌豊平区の爆発はアパマンショップの人災の可能性も。可燃性スプレーのガス抜きの危険性を改めて知っておきたい。
アパマンショップ平岸駅前店のガス抜きは未施工分の隠ぺい、詐欺の可能性がある!?驚愕の社長の会見とは!?ぼったくり疑惑も持ち上がった。
コメントを書く