アルツハイマー病とは?
本記事は『モーニングショー』、Wikipediaなどを情報源として画像・情報を再構成しております。
アルツハイマー病は脳が萎縮することで記憶や認知機能が著しく低下していく病気です。
認知症の一種とされています。
脳が萎縮していく病気である。アルツハイマー型認知症(アルツハイマーがたにんちしょう、Major Neurocognitive Disorder Due to Alzheimers Disease)はその症状であり、認知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種であり、認知症の60-70%を占める。
出典:Wikipedia
以下はアルツハイマー病患者の脳です。
大脳皮質、海馬の萎縮、および脳室の拡大がみられるようになります。
脳のいたるところに「ス」が入ったような状態になっていることが分かります。
これが委縮した状態ということです。
アルツハイマー病を含む認知症は不可逆的であり、一度発症して低下した機能は戻らないと言われています。
一度失われた脳組織は戻せませんので、いまは進行をいかに止めるかに焦点が当てられています。
その方法がわかれば、治療開始が早ければ早いほど「完治」に近い状態を生み出せるかもしれません。
しかし、効きそうな薬剤は開発されていますが、脳に薬剤が効きづらいため決定的な治療法にはなりえていません。
薬剤を投与しても、脳実質にまで浸透できる量は0.1%以下と言われており、非常に効きづらいことがわかります。
「投薬量を100倍にしたら効くのでは?」とも思いますが、それによって引き起こされる副作用もあるため、明確な効果測定はされていません。
それではなぜ、脳に薬剤が効きづらいのでしょうか?
脳に薬剤が効きづらい理由
以下は血管を通る栄養分と薬剤です。
血管には血液脳関門と呼ばれる、脳と血管を隔てる「壁」があります。
この壁は脳にとって必要な栄養素だけを透過し、それ以外は通さないようになっています。
そのため、人工的な薬剤は弾かれてしまい、脳に浸透させられませんでした。
これが薬剤が効きづらい理由です。
脳は人間にとって最も重要な器官ですので、他の器官よりも必要なもの以外を通さない「鉄壁」があるというわけです。
この「鉄壁」を容易に越えられないため、薬剤が効きづらいのです。
効きそうなアルツハイマー病の治療薬はありますが、フランスでは2018年8月から医療保険の適用外になってしまいました。
つまり医薬品として有効性が認められないとされてしまったわけです。
脳に薬剤を浸透させる新技術の開発
日本のナノ医療イノベーションセンターで、脳に薬剤を通しやすくする技術が開発されました。
「ナノマシン」の技術を応用した「ナノカプセル」を使って血液脳関門を突破する技術です。
これまで0.1%しか通せなかった薬剤が入っていくようになれば、はっきりとした効果がみられるようになるはずです。
なんと60倍から100倍は通せるようになるそうです。
この時点では「なんのこっちゃ???」かもしれませんが、ここから記事を読んでいただけばしっかり理解していただけると思います。
「ナノカプセル」での治療法は、人間の持っている生理現象を活用しています。
人間は運動をしなくてもお腹がすきます。
これは脳が活動しているためです。
脳が活動するために一番必要な栄養素はブドウ糖です。
そのため脳は他の臓器よりもブドウ糖をたくさん必要としています。
よく「仕事中に疲れたら甘いものがいい」といいますが、ブドウ糖を摂取することで脳に栄養を与えましょうということなんですね。
「ナノカプセル」での治療はこの空腹を利用します。
お腹を空かすと、ブドウ糖を摂取したい、摂取したいと脳が求めるため、血管内にブドウ糖と結合するたんぱく質が沢山生成されます。
たんぱく質を生成させることで、ブドウ糖を取り込みやすい状態になります。
これが「ナノカプセル」です。
黄色い粒は「ブドウ糖」です。
薬剤の周りにブドウ糖を付着させたカプセルということですね。
空腹状態で、ブドウ糖を付着させたナノカプセルを投薬してやります。
すると、沢山生成されたたんぱく質が、ナノカプセルのブドウ糖と付着していきます。
たんぱく質と結合したナノカプセルは、血液脳関門を透過して脳実質に入っていきます。
いわば「脳を騙している」ような状態です。
脳実質に入ったナノカプセルが溶けて、中の薬剤が浸透していきます。
以下は、薬剤に色素を混ぜてマウスで実験をした結果です。
ナノカプセルを投与し、血管内に薬剤が入ってから10分後、血管内に薬剤が入り赤く染まっています。
投薬して90分後、血管を越えて脳実質が赤く染まっていることで、薬剤が浸透してきていることがわかります。
この結果で、「ナノカプセル」での治療が効果がありそうだという結果が証明されました。
候補の薬剤とは?
image:MBLライフサイエンス – 医学生物学研究所
前項で書いた「効きそうな薬剤」とはどういったものがあるのでしょうか?
抗体
抗体と呼ばれるものがあります。
まずは、アルツハイマーによって脳細胞が傷つけられる原因をみていきます。
アミロイドβというたんぱく質が脳の中で生成されます。
アミロイドβは脳神経に付着していきます。
蓄積すると神経細胞を傷つけ、脳の機能障害を引き起こすされています。
これがアルツハイマー病の原因と考えられています。
ある種の抗体は、このアミロイドβに結合し、アミロイドβを減らすことができます。
それによって神経細胞を傷つける速度を遅くしていくことができます。
投与を継続しアミロイドβを根絶できれば、アルツハイマーの進行を止めることができるかもしれません。
拡散医薬
拡散医薬とよばれる薬剤も注目されています。
拡散医薬は遺伝子に効くため、アルツハイマー病の原因になる物質(アミロイドβなど)を作る酵素の働きそのものを抑制させることができます。
拡散医薬は水に溶けやすい性質のため全く血液脳関門を通過できません。
今回のナノカプセルの技術を使うことで、拡散医薬も脳実質に送り込むことができるようになります。
有機物質でできた薬
いわゆる化学的な薬です。
抗体や拡散医薬とはわけて扱われているようです。
これらの抗体・拡散医薬・薬をナノカプセルによって平行、もしくは段階的に使っていくことで、これまで薬剤は0.1%しか効果が無かったものが、数十倍から数千倍もの効果を得られる可能性があるといいます。
実験結果と実用化は?
マウス実験ではナノカプセルの投与1回でアミロイドβを作る酵素が約30%低下したそうです。
実用化は、明確には言えない段階です。
マウスでの効果をみて、猿のようなヒトに近い生物での実験。
次は安全性の検証。
そこまでやって初めて、人間での臨床実験に入れるそうです。
順調に進んで5年。
5年後にはアルツハイマー病は徐々に治せる病気になっている可能性が出てきました。
まとめ
まだ発見されたばかりの最新の治療法なので、5年できっかり治るかどうかはわかりません。
でもこれまでほぼ治せないと思われていたので、やっと光明が見えてきました。
それにこの5年で、他にも画期的な治療法が開発されるという可能性もあるでしょう。
まだ絶望するには早いです。
いま看病に苦しんでいる家族にとって5年は長いかもしれません。
でも何もないより遥かに良いと思えたら、未来が明るく感じられるのではないでしょうか?
看病を苦に自殺してしまったり、自身もうつ病などに掛かってしまうケースもあります。
未来が明るく感じられるだけで、少しでも気持ちが楽になればと思います。
なお、以下がナノ医療イノベーションセンターの公式ページになります。
「ナノマシン」でのがん治療など、今注目の研究機関です。
他にもどういった研究をしている組織かはこちらでご確認ください。
ナノ医療イノベーションセンター
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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