キムリア(Kymriah)の自己負担額はいくらになる?白血病の画期的な免疫療法「CAR-T細胞療法」が保険適用された金額とは。

キムリア(Kymriah)の自己負担額はいくらになる?白血病の画期的な免疫療法「CAR-T細胞療法」が保険適用された金額とは。

白血病の画期的な免疫治療が承認


image:プライムニュースイブニングより

 

人工遺伝子を導入したがん免疫療法「CAR-T細胞療法」が正式承認されます。

日本で初めて承認される画期的な治療法のため、多くの患者さんにとっての朗報になるかもしれません。

この「CAR-T細胞療法」は「キムリア(Kymriah)」という新薬を作り治療を行うものです。

ではこの「CAR-T細胞療法」と「キムリア」とはいったいどういうものなのでしょうか?

問題点は何があるのでしょうか?

 

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どんな療法なのか?


image:プライムニュースイブニングより

 

まず患者自身からT細胞(免疫細胞)を取り出します。

このT細胞を遺伝子操作でがん細胞への攻撃力を高めた「CAR-T細胞」を作ります。

「CAR-T細胞」を培養し点滴バッグに詰めたものが「キムリア(Kymriah)」と呼ばれる新薬です。

治療は「キムリア」の点滴を行うことで「CAR-T細胞」ががん細胞を攻撃します。

点滴の投与だけなので10分ほどで完了します。

治療の対象は一部の白血病患者で、基本的に投与は1回のみに限定されています。

製薬会社の試算では、日本ではおよそ260人が治療対象になるそうです。

治験では約8割の患者に効果が出ているそうなのでまさに夢の新薬と言えそうですが…

問題点もあります。

 

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キムリアの問題点とは?


image:プライムニュースイブニングより

 

たびたび高熱に苦しむなど副作用が強いようです。

臨床試験で白血病患者の80%で副作用がみられ、一部の患者では一過性心不全を起こしたり、呼吸困難に陥るケースもあったそうです。

「CAR-T細胞」ががん細胞を強力に攻撃するためこうした副作用が起こりますが、下手をすれば死に至る覚悟さえ必要のようです。

強力ゆえに投与が一回に制限されているのでしょう。

体力が落ちている高齢者などにはもともと適用外なのかもしれません。

また治療費が高額過ぎることも問題点です。

「キムリア」も正式承認後に価格が決まりますが、現時点でアメリカ合衆国では一回あたりおよそ5000万円と言われています。

な、なんと…

5000万円ではさすがに…

 

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実質の自己負担額は?

 

5000万円はさすがに…

と思った方。

日本には高額療養費制度があります。

高額療養費制度とは以下のような制度です。

 

高額療養費とは、健康保険法等に基づき、日本において保険医療機関の窓口で支払う医療費を一定額以下にとどめる、公的医療保険制度における給付のひとつである。1973年の医療制度改革によって始まった。財政規模は2013年度では2兆2200億円ほどであり、国民医療費40.1兆円の5%程度を占めている。

出典:Wikipedia

 

簡単に言えば、特定の高額医療について大部分を医療保険で負担できる制度です。

例えば、69歳以下の年収370万円から770万円の患者さんについては、5000万円のうち約60万円程度が自己負担額になります。

60万円なら現実的な金額ですね。

 

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残りの4940万円はというと、公的保険(国民健康保険など)から支払われます。

こうした高額医療が保険適用されることで、医療保険の財政を圧迫する問題は以前から訴えられてきましたが、こうした超高額治療が対象になるとありがたい患者さんがいる一方で、国民の医療保険負担がさらに増してしまうことでもあって、「いま健康なひと」にとっては複雑な気持ちかもしれませんね。

一人当たりの医療費は1989年(平成元年)には約16万円でしたが、2017年には約33万円と、2倍以上に膨れ上がっています。

 

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新薬が高額の理由は?

 

「キムリア」が高額な原因のひとつは研究開発費が膨大に掛かっていることです。

また臨床で使われないまま、新薬として承認されないものが増えていることも、投資額が増えている要因と言います。

 

新薬と言えば、ノーベル賞を受賞した本庶佑氏の「オプジーボ」も、2014年の発売当初は100mgだけで73万円という価格でした。

継続して投与する必要があるため、治療の総額は1000万円を超えていました。

ところが2018年11月時点では100mgで約17万円まで下がりました。

なんと8割も安く手に入るようになりました。

 

「キムリア」の場合も同じように価格がどんどん下がってくれば保険財政を圧迫することは少ないのでしょうが、がん免疫療法というジャンルは研究している製薬会社が多く、各社が次々と新薬を出すことで結局、都度研究開発費が価格に積まれるため、売価が下がらないという事態が懸念されます。

品質が向上することは患者にとってありがたいはずなのに、価格は高いままという矛盾とはしばらく向き合い続けないといけないのかもしれませんね。

 

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まとめ

 

こうした高額医療が保険適用されると、医療保険額はさらに上がることが考えられます。

「いま健康なひと」にとっては何でだよと愚痴をこぼしたくもなりますが、年金制度と同じ「お互い様」の考え方なので、やむを得ないものです。

明日のことはわかりません。

やらなければ助からないのなら、あなたが「キムリア」を使うことになるかもしれません。

その時に保険に入っていなければ大変なことになりますよね。

自己負担ではちょっと払えません。

毎月支払うのを博打みたいだと思うひともいるかもしれませんが、大病したら確実にバックされるものなのでただ消えていく博打とは異なるものです。

未来に大病(大怪我)しない確率は誰にも分からないので、支え合う気持ちをもってしっかり払っていきましょう。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました

関連記事を紹介させていただきます。

 

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