LRQA(品質管理の認証機関大手)が不正発覚。ISO9001やJISQ9100の信頼性が損なわれたことは大きな問題。レオパレスの認定の疑義にも繋がる。

LRQA(品質管理の認証機関大手)が不正発覚。ISO9001やJISQ9100の信頼性が損なわれたことは大きな問題。レオパレスの認定の疑義にも繋がる。

JIS認証機関が無資格・手抜き審査

 

 

2018年7月23日、「JIS認証機関が無資格・手抜き審査 英大手の日本支店」と朝日新聞が報じています。

 

工業製品の品質やその管理体制の基準を定める国家規格「JIS」や国際規格「ISO」の認証機関が、不十分な審査で企業に認証を与える不正をしていたことがわかった。大手素材メーカーなどの品質不正が相次ぐなか、企業の品質管理をチェックする認証機関の不正も明らかになったことで、国際的に高い評価を得てきた日本の製造業に対する信頼を一段と損なうおそれがある。

出典:朝日新聞DIGITAL

 

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今回発覚したのは、世界の75カ国以上で規格の認証を手がける、英大手の機関「ロイドレジスタークオリティアシュアランスリミテッド」(LRQA)の日本支店です。

品質管理に関する認証機関の草分け的存在で、日本国内での審査件数も多い認証機関です。

朝日新聞からは具体的にこのように報道されています。

 

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朝日新聞が入手した内部資料によると、航空・宇宙関連企業3社から依頼を受け、品質管理の仕組みを定める国際規格「ISO9001」に、航空宇宙産業で必要な項目を追加した規格「JISQ9100」に関する審査を昨年実施。複数の韓国人審査員が審査を担当したが、経歴が不十分で無資格だったり、所定の訓練を受けていなかったりする人物が含まれていた。審査員がまとめた報告書が適正かどうかをチェックする工程を省略した不十分な審査も複数見つかった。

内部資料によると、LRQAは審査の手続きが不十分なまま、依頼を受けた企業に認証文書を発行しており、こうした不正行為は日本支店の代表者(当時)も了承していた。

出典:朝日新聞DIGITAL

 

認証機関の適正な活動をチェックする第三者機関である、「日本適合性認定協会」(JAB)が、悪質性があったことを指摘しています。

これを受けて7月12日に、JABはLRQAに対して認証機関の認定取り消し処分を下しています。

 

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LRQAが認定を取り消す案件が続出

 

 

こうした背景には、近年、LRQAが認定した会社がデータ改ざんなどの発覚し報道されたことを受けて、認証の一時停止、取り消し処分をあいついで行っていたことがあると考えられています。

 

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2017年11月
アルミ製品の検査データ改ざんが発覚した神戸製鋼所の大安工場に対し、JISとISOの認証を一時停止

2018年2月
銅管を製造する北九州市の神鋼子会社についても、JISとISOの認証を取り消し

 

こうした事件の発覚から、JISやISOの認定には手抜き審査があるということを証明してしまったことになり、他の認証機関にとっても信頼に関わる問題に発展してくる可能性があります。

 

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レオパレス21の「界壁無し」問題について

 

 

このISOの認証不正についてまず思うことは、レオパレスの「界壁無し」問題です。

レオパレスは公式サイトのニュースリリースで、下記のようにISOを取得していることに触れています。

 

2008年にはISO 9001の認証を取得致しました。以降、順次体制強化を図り、本部によるチェック体制を整えております。現在では9回の社内検査に加え、第三者による検査を4回行い、品質管理に努めております。

 

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ネットでもおかしい?という意見がみうけられましたが、このブログでもレオパレスがISO9001を認定された時期について疑義を提起しています。

疑義を呈する根拠は以前の記事でお読みいただきたいと思いますので、概要をお伝えします。

まずISO9001の取得には最低1年はかかるというように専門の会社が伝えています。

レオパレスが2008年に取得をしているということは、2007年の時点である程度取得に必要な管理体制が整っていたはずです。

取得準備を開始した時点でもしボロボロだった場合には、これだけの大企業となると大がかりな体制の改善からになるため、恐らく2年近くを要するかもしれません。

 

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「界壁無し」問題が発覚した建築基準法違反の対象物件は、1996年~2009年に建築されたものですが、2008年はその期間にしっかり含まれています。

それでは、どうやってISO9001を取得できたのでしょうか?

いったいどういう認定の審査を経ていたのでしょうか?

朝日新聞の記事ではこのように述べています。

 

経歴が不十分で無資格だったり、所定の訓練を受けていなかったりする人物が含まれていた。審査員がまとめた報告書が適正かどうかをチェックする工程を省略した不十分な審査も複数見つかった。

 

ISOを取得し、名刺にマークを載せるということは、大家にとって大きな信頼の根拠になります。

それによって沢山の受注に繋がっていることは間違いがありません。

こうしたいい加減な審査によって、レオパレスもISO9001を取得していたとしたら。

 

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まとめ

 

これはレオパレスだけの問題ではなくなってきたことを表しています。

認定の費用として莫大なお金が動いているため、おざなりな審査で荒稼ぎをしている実態があるとしたら、他の大手企業が取得しているISO9001もその信頼を損ねる恐れがあります。

JISやISOを取得した企業は、自社に対して認定をした認証機関に対して、認定の再チェックを促すべきではないでしょうか。

「事を荒立てたくない」という体質は大企業ほどありますが、大企業だからこそ発覚後の影響は甚大です。

今回のようにデータ改ざんなどで大問題になってからでは全てが後手に回るでしょう。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

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関連記事を紹介させていただきます。

 

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