平成30年7月豪雨
image:情報ライブミヤネ屋より(以下同)
気象庁は2018年7月に関西地方を襲った集中豪雨を「平成30年7月豪雨」と命名しました。
気象庁では「顕著な災害を起こした自然現象については、命名することにより共通の名称を使用して、過去に発生した大規模な災害における経験や貴重な教訓を後世代に伝承するとともに、防災関係機関等が災害発生後の応急、復旧活動を円滑に実施することが期待される。」としています。
目安としては、顕著な被害(損壊家屋等1,000 棟程度以上、浸水家屋10,000 棟程度以上など)が起きた場合です。
豪雨災害で気象庁が命名するのは去年の「平成29年7月九州北部豪雨」以来となります。
出典:ウェザーニュース
これだけの未曽有の被害を出しているので、ネットでは「サラッとした名前」「扱いが軽い」と言った意見が多く見受けられます。
このネーミングは気象庁として命名規約に則った名前というだけで、被害の規模感を入れるものではありません。
◆平成26年8月豪雨
平成26年7月30日~8月26日
◆平成27年9月関東・東北豪雨
平成27年9月9日~11日
◆平成29年7月九州北部豪雨
平成29年7月5日~6日
過去の命名をみても、被害規模に関わらず同じような名前の付け方になっていると思います。
「どこに、基準値をこえる大雪や豪雨があったか」という基準だけで付けるものですね。
岡山県倉敷市にも集中豪雨とおおきな被害
最も被害が大きかった地域が広島県で死者46人、行方不明者44人(2018年7月9日時点)。
次いで岡山県で死者16人、行方不明者7人でした。
西日本を中心に日本を縦断するように雨雲が移動していきました。
岡山県の中でも最も甚大な被害が出ているのが、岡山県倉敷市真備町です。
冠水:1200ヘクタール(町の面積の約3倍)
死者:11人
救助人数:約1850人
岡山県の死者16人のうち、11人が真備町ということになります。
岡山県倉敷市真備町の小田川が決壊し、多数の家屋が水没。家屋に残された人たちの救助活動が続けられています(松)httpss://t.co/3o5ZiWgLux pic.twitter.com/7C6S9750q1
— 毎日新聞映像グループ (@eizo_desk) 2018年7月7日
なぜここまで被害が大きくなってしまったのでしょうか?
雨雲レーダーの動きを見てみると、どの程度集中して降り続けたかがわかります。
色ごとの降水量です。
黄色、赤は豪雨地域を指しています。
5日午後2:15
まだ比較的多くは無いですが、降り続いている状況です。
雨雲は広島側から線状に岡山側へ流れてきています。
6日午後0:20
いまだ降り続け、徐々に激しさを増しています。
6日午後10:00
最も激しい豪雨にさらされた時間帯です。
16ミリから30ミリ以上が降り注ぐ時間帯が長時間続きました。
7日午前8:25
最も激しい豪雨は去ってもいまだ降る続けています。
7日午前11:45
やっと雨雲が去っていきました。
このように、丸2日くらい降り続けていました。
その間に降水量も非常に多かったことがお分かりいただけたと思います。
非常に広い雨域で、かつ横に長い線状降水帯だったことが特徴的です。
線状に雨雲が動き、局地的に長時間降り続けました。
真備町の被害は河川の堤防決壊
岡山県には高梁川(たかはしがわ)という大きな河川が本流として流れており、真備町はその支流である小田川が流れています。
その小田川の堤防が100mに渡って決壊してしまいました。
一番流れの激しい本流ではなく、支流である小田川で何故決壊してしまったのでしょうか?
以下は小田川から高梁川へ流れ込んでいる地図になります。
赤い枠が真備町です。
小田川が高梁川へ流れ込む直前の細い部分であることが分かります。
しかし本来の流れは小田川から高梁川方向のはずです。
image:Googleマップ
以下の絵のように、本来は小田川から高梁川に流れ込みますが、今回は高梁川が増水しすぎたため小田川へ逆流が起こりました。
その為、細い支流の小田川が一気に増水し決壊を起こしてしまいました。
こうした逆流による決壊は他の災害でも見られるそうです。
この現象を「バックウォーター現象」と呼ぶそうです。
決壊した水が一気に街を飲み込んでいきましたが、その水は多量の土砂を含んでおり、被害を大きくした一因のようです。
以下は堤防決壊のパターンを表しています。
小田川は凄まじい勢いで増水したことから堤防の高さを乗り越えてしまった、3番目の「越水破堤」になります。
この場合、乗り越えた水が堤防の町側の盛り土を削り取りながら街に運んでしまうため、草木や泥土が混ざった水が大量に押し寄せたようです。
ハザードマップを確認しておきたい
出典:倉敷市ハザードマップ
上記は2017年最新版の真備地区のハザードマップです。
今回の地域も決壊の可能性を示唆していました。
豪雨で決壊をした場合、「2階の軒下以上が浸水」する範囲が広範に示されていることが分かります。
残念ながら予測の通りの結果となってしまいました。
起こる結果は予測できていても、確率的に「100年に1回程度」とも記載されており、このマップを知っていても油断してしまっていたひともおられたかもしれません。
またハザードマップの存在自体知らないというひとが多いのも実情です。
河川の近くに住んでいる場合、局地的な豪雨の際に決壊する可能性が高いかどうかは、ハザードマップで確認をしておき、備えをしておく必要があります。
まとめ
ポンプ車で夜を徹して水を抜いていますが、抜けきるには2週間くらいかかるようです。
何十年に一度あるかないか、という集中豪雨に常に備えをしておくのはなかなか難しいし、今回のように夜中に決壊してしまうととにかく慌ててしまうので、貴重品を取りに戻って被害にあうような事例もあるようです。
しかし大地震と同じで、いつ起こるか分からないからこそ、防災グッズの用意と避難場所の確認、緊急連絡手段の確保くらいはしておけるはずです。
僕も河川の付近に住んでいる身として、まずは生命を第一に考えて行動するように心がけたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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