熊本県の緑川河口にある船の墓場が色々と怖い。放置船と不法係留300隻が散在。墓場誕生の原因と行政で撤去しない理由とは?

熊本県の緑川河口にある船の墓場が色々と怖い。放置船と不法係留300隻が散在。墓場誕生の原因と行政で撤去しない理由とは?

船の墓場

 

かつて国内有数の漁獲量を誇った熊本県の緑川河口。

熊本市と宇土市の境界を流れる緑川の下流およそ10kmの間に、大量の船が放置されています。

 

image:モーニングショーより

 

放置船と不法係留の船300隻以上が集まっているその姿はさしづめ「船の墓場」

 

image:モーニングショーより

image:モーニングショーより

 

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image:モーニングショーより

image:モーニングショーより

 

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ここには、使用されずに放置された船(放置船)と、捨てた船(不法係留)が混在しています。

明らかに朽ち果て、不法係留されたものだということが分かるものも多いですが、ぱっと見では、放置船か不法係留かは判別しにくいものもあります。

国土交通省はこうした船について以下のような見解を示しています。

 

船が流され堤防などを損傷させ
破損個所から洪水を発生させてしまう可能性や
他の船に衝突して事故が起こる
危険性も考えられる

 

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こちらの巨大な船は、およそ20年に渡って放置されていたものです。

 

image:モーニングショーより

 

船体は錆び、朽ちていることが分かります。

3年ほど前から傾き始めたため、国土交通省は油の流出を防ぐオイルフェンスを設置しているそうです。

周囲の黄色く囲っているものがオイルフェンスです。

水質汚染の危険性もあると分かっていながら、オイルフェンスを作ることしかできていません。

 

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なぜ船の墓場になった?

 

image:モーニングショーより

90年代以降、有明海の漁獲量自体が激減していることが挙げられます。

かつてはアサリ、ハマグリ、クルマエビの漁で栄えましたが、いずれも環境の悪化により漁獲量が大幅に減ってしまいました。

また漁師の高齢化で漁を辞めてしまうひとが後を絶たないようです。

そのため、船をそのまま放置してしまうひとが後を絶たないということです。

 

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税金で撤去すれば?

 

image:情報ライブミヤネ屋より

 

それならさっさと税金で行政代執行でもなんでもして撤去すればいいでは?とも思いますが、ことはそう簡単なことではありません。

所有者に財産権があるため一方的に処分をするとトラブルになる可能性が高いためです。

この問題は「空き家」の問題と全く同じ形態となっているようです。

所有者不明になり、ただただ崩れ、朽ち果てていく空き家が全国に増えていますが、こうした空き家も勝手には処分することができない状態です。

 

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所有者不明の土地・空き家問題に関して以前記事を書きましたのでこちらもあわせてご覧ください。

 

所有者不明の土地は九州より広い?いずれ北海道の広さに?廃墟の空き家も危険。相続登記が義務では無いことが問題か。特別措置法でどこまで有効活用できるか?

所有者が判明している船もあれば、分からない船もあるということです。

所有者が分かっているものについては国土交通省から連絡はしているそうですが、所有者に処分するお金が出せないなどの理由で放置されているものもあります。

安くても7万円、大きいものだと20万円程度の撤去費用が掛かってしまうそうです。

この費用を税金でまかなうとなるとそれも何か違うような気がしますが、放置しておけば災害時に流され衝突するなどの危険性をはらんでおり、やむを得ないのかもしれません。

 

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本質は個々の意識と行政の怠慢

 

かつて、千葉県浦安市でも境川に約50隻の放置船がありました。

非常に景観を損ねると住民から多くのクレームがきていたため、行政が約7300万円をかけて撤去・処分を行いました。

税金を使うことについての反対意見もあろうかとは思いますが、浦安市は思い切って撤去に踏み切ったということです。

 

千葉県浦安市の中心部を流れる境川の沈没船問題で、松崎秀樹市長は24日、今年度内に45隻を撤去・処分すると発表した。沈没船は新市庁舎(同市猫実)周辺の景観を台無しにしていた。

出典:産経新聞

 

この例のように、住民からクレームが集まったころ合いで一気に推し進めてしまうという方法しかないのかもしれません。

簡易代執行、行政代執行として、お金を所有者に請求することもあるようですが、一つ一つ取り組んでいると、手続きや回収にとんでもない時間と人件費が掛かってしまうのでしょうね。

この問題は特に、2018年夏の異常気象、台風で余計にクローズアップされてきたところがありますので、住民が不安に感じている以上、長時間を掛けるのは要求にそぐわないということは理解できます。

 

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以降は問題点です。

まずは所有者の側ですが、これは不法投棄と変わりありません。

所有者、ないしはその親族がお金を出してきちんと撤去するのが筋です。

所有者に金銭的な余裕が無くても、どうにかする努力が必要です。

これは所有者の方の意識の低さが問題です。

 

また、ひとつ行政の怠慢として指摘したい点としては、災害大国だからこそこうした不安が集まってくることは予期することができたはずですし、もっと早くに積極的に取り組むことができたということです。

係留する所有者を失った船が大量に集まっていれば、増水したときに危険なことは誰の目にも明らかです。

住民の方も仰っていますが、10年も20年も放置されている船が多いそうです。

高齢者に不法投棄という意識が薄いというのなら、漁を辞める際には行政に届け出をして、船の扱いを決めるという法を作り徹底すれば良かったのです。

届け出を怠り放置すれば罰金を科すこととすれば、否応なく意識も上がるでしょう。

溜まり溜まって、最終的には税金で莫大なツケを払わされるのは納税者です。

行政はこうした事例を将来に活かしていただければと思います。

 

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まとめ

 

過去から現在、未来への、時間というものは絶え間なく進んでいくものです。

その流れの中でかつての仕事や習慣が失われ、新しい仕事や習慣が生まれていきます。

どうしても人間は、始まった物事に目を奪われてしまい、閉じていくものについては、おざなりに成りがちではないでしょうか。

この「船の墓場」も、閉じていくもののクロージングをどうするかということでもあります。

やむを得ない場合もあるでしょうが、漁師の方もしっかりと自身の仕事に誇りをもってクロージングをしていただければ問題にはなっていません。

行政もそのお手伝いに税金を使うよう仕組みづくりをしていただけたらと思います。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

関連記事を紹介させていただきます。

 

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