足立区の竹ノ塚駅付近の交差点。
こともあろうか公共交通のバスが信号無視&逆走を続けているヤバい交差点でした。
かつて悲惨な死亡事故を何度も経験しているこの踏切付近で繰り返される、対向車のドライバーさんや歩行者を危険に晒す交通ルール無視。
いったい何が起こっているのでしょうか?
そして何をどうしたら良いのでしょうか?
公共交通バスが暗黙で逆走する恐ろしい現実とは?
竹ノ塚駅付近の交差点で東武バスが逆走をしている現実があるようです。
調べてみたところとんでも違反が暗黙のように行われている実態がありました。
以下の映像は対向車線を走る自動車のドライブレコーダーが映したものです。
※2019年4月8日『グッド!モーニング』で報道されたものを転載させていただきます。
自動車を運転している方ならすぐに分かるはずです。
明らかにバスが対向車線を走って右折していますよね。
しかも信号は「黄色」になっています。
image:グッド!モーニングより
対向車線の自動車(ドラレコの本体)も黄色信号で侵入しているとしたら問題ではあるんですが、ここが「開かずの踏切」の直後の信号ということでここではいったん問題から外しておきます。
「開かずの踏切」の直後で、長時間待たされたあとでとにかく急いでこの信号を抜け出ようという意思が働くポイントになっているようです。
本当はいけないのですが残念ながらそうした交差点は全国に沢山あるのが現状ですし、この記事の本題とはそれてしまうので。
今回さらにヤバいと感じられるのはこの後です。
なんと逆走して右折していったバスの直後に、なんともう1台のバスが堂々と逆走してきます。
しかも既に赤信号で歩行者が横断を初めている中で、強引に右折していきます。
image:グッド!モーニングより
結局、対抗車線の自動車(ドラレコの本体)と2台目のバスは交差点で鉢合わせ。
ちょっと見えづらいですが、バスの運転手は右手でいわゆる「手刀を切る」ポーズをしています。
右折したいという意思表示をしながら、対向車にバックを促しているわけです。
image:グッド!モーニングより
2台目のバスは身動きが取れなくなり、その前を歩行者が避けるように横断していました。
このドラレコを提供された対向車のドライバーさんは、まさかの光景にパニックになったそうです。
公共交通バスの運転手が逆走、赤信号無視、手刀を切って対向車をバックさせるという、ちょっと普通では考えられない事態が、この交差点では日常茶飯事のように行われているようです。
近隣の住人の話では、逆走バスは5年以上も前に駅前のバス停から無くなってからみかけるそうです。
なんと週に1回や2回では済まないという実情でした。
この現実が分かったところで、次項では理由について書いていきます。
逆走する理由とは?
あらかじめお断りしておくと、逆走して良い理由ではありません。
逆走せざるを得なくなっている理由です。
この理由を説明するために以下の図を作ってみました。
この項はこれをみながら説明していきます。
行きつ戻りつしながらになり申し訳ありません。
まずは、この逆走が行われる背景から説明していきますね。
image:Google
駅の手前にある踏切(大きな赤枠)はいわゆる「開かずの踏切」です。
ラッシュ時には1時間に3分しか開かないという “超” がつく「開かずの踏切」で地元では有名でした。
この「開かずの踏切」の手前には以前は作業員が手動で踏切を上げる仕組みがあり、電車の往来のわずかな合間を縫って手動で遮断器を上げることで交通渋滞を緩和させていました。
ところが2005年に、この遮断器を誤って上げてしまったことで死亡事故が起こってしまいました。
2005年3月15日午後4時50分ごろ、東武伊勢崎線・竹ノ塚駅南側の踏切(横断距離約33メートル)で、女性2人が上り準急電車にはねられて死亡、別の女性2人もけがを負った。当時は手動式の遮断機で、保安係の男性が内規に反して遮断機のロックを解除し、誤って上げたことが原因だった。男性は業務上過失致死傷の罪に問われ、東京地裁で禁錮1年6カ月の実刑判決を受けた。
出典:コトバンク
この作業員の方は待ちくたびれたひとを何とか通そうと融通を利かすようなやり方をしていたようで、それによって近隣の住民には感謝されていた事実は無視できません。
しかしその結果ヒューマンエラーを引き起こし、取り返しのつかない事故に繋がりました。
これほどの大事故を起こしながら、その後2015年にもこの踏切で死亡事故が起こってしまいました。
1日午前10時10分ごろ、東京都足立区内にある東武鉄道伊勢崎線の踏切で、警報機や遮断機が作動した後に踏切内へ進入した軽乗用車と、通過中の急行列車が衝突する事故が起きた。この事故でクルマは大破し、運転していた25歳の男性が死亡している。(中略)
現場は「開かずの踏切」として知られ、2005年には横断者が関係する死亡事故が発生している。死亡した男性は踏切待ちの最中に居眠りをしていたという目撃情報もあり、警察では事故発生の経緯を詳しく調べている。
出典:Response.
この事故は手動踏切ではなくなった後に起こっています。
死亡した男性は踏切待ちの最中に居眠りをしていたという目撃情報もあったようです。
2005年の教訓から手動の踏切を廃したにも関わらず、「開かずの踏切」での長時間の停車が原因でまたしても死亡事故が起こってしまったとすれば、もはや一連の事件の原因となっている「開かずの踏切」そのものを無くすしか無いと判断するのは当然と言えます。
「開かずの踏切」を無くすのは容易ではありません。
駅と踏切の位置、過密ダイヤの影響など様々な要因が絡み合っています。
改善するには駅の位置をずらす、ダイヤを大幅に変更するなども考えられますが、恐らく最も “効果的” な方法が「高架化」だったのでしょう。
このような経緯から根本的な改善の取り組みとして線路の高架化工事が始まりました。
これが逆走の大元になった出来事です。
ここからはバス停とバスルートのお話です。
竹ノ塚駅の前にはもともと駅前のバス停(西口と東口)がありました。
今回問題になるのは、西口のバス停です。
図では「駅前バス停だった場所 高架工事中」としている部分です。
高架化工事のために、従来バス停だった駅前のエリアからバス停が移動せざるをえなくなりました。
そこで「バス停1」と「バス停2」にそれぞれ移設されました。
「バス停1」は竹ノ塚駅へ向かうルート、「バス停2」は竹ノ塚駅から離れていくルートです。
「バス停2」の手前には「開かずの踏切」があり、「バス停1」と「バス停2」の間には今も渋滞区間があります。
この渋滞区間は2019年4月時点でも以下の画像のように長時間渋滞する状況が続いているようです。
1時間に3分しか開かないというのはさすがに…
いけないことですが、うっかり居眠りするドライバーがいても不思議では無いですね。
image:グッド!モーニングより
この「バス停1」で駅に向かう乗客を降ろしたあと、バスは迂回路を通って「バス停2」に向かいます。
以下が「バス停1」です。
image:Google
「バス停2」で新たな乗客を乗せ、反対方面に向かうというルートのようです。
以下が「バス停2」です。
image:Google
駅前にバス停があったころは、この還流の動作を駅前で行えていたわけですね。
この迂回ルートに大きな問題がありました。
そもそも「バス停1」と「バス停2」の間には渋滞区間があり、迂回路に入るための交差点にさえまともに入れないことがあるのですね。
「バス停1」の画像をみてもらうと分かる通り、こちらは2車線になっており、ラッシュ時間の7時から9時だけはバス専用道路に変わるようです。
それ以外の時間帯は一般車両も走行が可能になるみたいです。
しかしいずれにせよ、「バス停2」に向かうためには交差点で右折をしないといけないので、「バス停1」で乗客を降ろした後に結局は渋滞にハマります。
ここまでお読みいただければもうお分かりかと思いますが、公共交通バスはダイヤがあるため、この「バス停2」への迂回を早く行うために、交差点で一時的に逆走をしてしまっているというのが逆走の理由となります。
どうして逆走までしなければならないのか?
地方の方にはなかなかピンと来ない話かもしれませんが、都市部ではバスの滞留は結構あります。
バスにも電車と同じようにダイヤがありますが、交通渋滞時に滞留してしまい2台続けてバス停に到着するなんていうことは都市部の「バス停有る有る」です。
そうしたバス停では乗客側も “ある程度” 大らかにならざるをえません。
「ラッシュ時間帯だし仕方ない」と待つのが暗黙のようなものです。
しかし竹ノ塚駅前の交差点のように極端に長く待たされれば、さすがに乗客の生活に支障をきたすはずです。
打ち合わせに遅れる、子どもの送迎に遅れる。
どうにもならないと分かっていながらも、東武バスに怒りのクレームを入れてしまうひともおられるでしょう。
東武バスはなんとかダイヤに近づけて到着させる努力をするよう、バスの運転手に要求します。
運転手にしてみればダイヤを乱し続ければ自身の実績に響くので何とかしようと考えます。
とはいえルートに無い道路を勝手に通行することは会社から許されていないので、交通法規を破って間に合わせるという行動に出ているというのが逆走という行動を生んでいると推察されます。
近隣住民の方の話からすれば過去5年も続いていることになり、恐らく東武バスは黙認している状態と考えざるをえません。
さらに気になることは警察が気付いていてもおかしくは無い点です。
駅前という交番も隣接するエリアで、過去5年に渡って週に数回目撃されているわけですから、警察が気づいていないとは到底思えません。
東武バスに注意を行っているのかもしれませんが、本来であれば検挙される事案です。
一般の自動車が駐停車する自動車を回避するために対向車線にはみ出すことはザラにあるのでそうそう検挙にはなりません。
しかし、バスという巨体が交差点手前で逆走し信号も無視しているというのはさすがに「危険行為」です。
始めに紹介したように、対向車と歩行者を危険に晒していることは紛れもない事実です。
いかにバスの運転手が運転に慣れていてそんな事故は起こさないと思っていたとしても、交通ルールを守っていないこととは何ら関係の無い自信です。
警察がこれを取り締まらないのは、やむを得ない事情を考慮しているということなのかもしれません。
公共交通ゆえに厳しく取り締まりにくいのかもしれません。
何をどうしたら良いのだろう?
東武バスの営業所では事実確認のうえ指導を徹底すると話しているそうですが、具体的にどう「徹底」させるのかは気になるところです。
これを徹底させることでバスの到着が大幅に遅延するのは、乗客にとっても東武バスにとっても良いことはありません。
安全と利便性をどちらもクリアしていくには、何をどうしたら良いのでしょう?
思いついたものを書き出してみますが、あくまで発想ベースなのでご了承ください。
「バス停2」を廃止して「バス停1」で乗車まで行う
「バス停2」の待ち時間を減らすために「バス停1」で乗車まで行ってしまえばと思いましたが、反対方向へ転回するためには結局交差点を右折しなければいけないのであまり有効では無いかもしれません。
渋滞区間のある道路を使わない
「開かずの踏切」があるこの道路を避ければ良いわけですが、それが出来るのなら恐らくとっくに採用しているはず。
1本遠い通りにしようと思えばできなくは無さそうですが、駅からかなり遠ざかってしまうため公共交通バスとしての利便性が著しく失われるでしょう。
バス停を東口のみにする
西口のバスターミナルをいったん廃止し、東口のバスターミナルのみで運用するという案です。
西側に向かうバスもすべて東口でさばくことになると、東口のバスターミナルでさばける本数を超えてしまうため、バスの本数を減らさないと難しいかもしれません。
方面の違うバスを一か所でさばくことは東口の交通渋滞を加速させることも懸念されますね。
それでも西口で危険な状況が続くことを回避するためには一つの案なのかもしれません。
バスの本数を減らす
本数を減らしダイヤの間隔を広げることで、渋滞でも遅延しにくくする方法です。
これはバス会社で勤める友人の発案です。
本数が減ることで混雑が想定されます。
まとめ
何かやるにせよ、高架化工事が終わるまでのことです。
何とかそこまで安全に凌ぎきるような対策を講じることが大切です。
少なくともこのままでは、いずれ接触事故以上のことが起こるような気はします。
どこかを規制すれば良いということでも無いし、緩和すれば改善するということでもありません。
その中でまず優先して考えたいことはやはり人の生命だろうと思います。
次の犠牲者を生まないために、高架化工事が始まり、そのために新たな犠牲者が生まれるようなことがあってはなりません。
「犠牲の上に」というのはあくまで結果論であって方法論にしてはいけないのです。
東武バスの努力が求められますし、近隣住民や乗客の協力も不可欠です。
個人の意識と寛容さをもって、大切な生命を皆で守れる街にできたら良いですね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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