「おねがい ゆるして」虐待死した船戸結愛ちゃんが毎日ひらがなで書いたノートのメモに心が震えた。死亡させた両親が逮捕。70倍の児童虐待は減らせないのか。

「おねがい ゆるして」虐待死した船戸結愛ちゃんが毎日ひらがなで書いたノートのメモに心が震えた。死亡させた両親が逮捕。70倍の児童虐待は減らせないのか。

虐待で亡くなった幼い生命

 

 

東京目黒区で、5歳の女の子が虐待死していたとして、両親が逮捕されました。

2018年3月に衰弱死し捜査していましたが、亡くなった船戸結愛ちゃんは、ひらがなで反省のメモを残していました。

そのメモが証拠となり、両親の虐待による死亡と断定され逮捕となったようです。

 

 

僕はそのあまりに悲壮なメモを読んで、記事を書かずにはいられませんでした。

結愛ちゃんの残したメモを掲載させていただきますので、読んでみてください。

 

もうパパとママにいわれなくても
しっかりとじぶんから きょうよりも もっともっと あしたはできるようにするから
もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします

ほんとうにもう おなじことはしません ゆるして
きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことを なおします

これまでどれだけあほみたいにあそぶって あほみたいだからやめるので
もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします

あしたのあさはぜったいにやるんだとおもって いっしょうけんめいやる やるぞ

出典:FNN PRIME Online

 

こうした「おねがい ゆるして」という反省の文章を毎日のようにノートに書いていたようです。

皆さんはこれを読んで、どんな感情が沸きあがってきましたか?

 

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虐待は毎日続けられた

 

 

十分な食事を食べさせてもらえず、叱られ、叩かれ、水を浴びせられたりしていたようです。

死亡した時の体重は同年代の平均よりも5キロ以上少ない12.2キロでした。

暴力は主に父親から行われていたようですが、母親は食事を与えず、父親の行為を虐待とわかって見て見ぬふりをしていました。

4時に起きて平仮名の練習をするように言われていました。

そこで必死に覚えた平仮名で、両親に向けて、ママに向けて、許しをこうていました。

普通の子供は、親から平仮名を書けるようになったら褒められるでしょう。

5歳でまだ幼稚園にも行っていない歳で、こんなはっきりと、自分の気持ちを伝えられる手紙を、毎日、毎日、書き続けていました。

「あしたのあさはぜったいにやるんだ」と心に決めた彼女の、大切な明日が消えてしまいました。

 

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頑張った結愛ちゃんを褒めてあげよう

 

 

皆さんがどう思われるかはわかりませんが、僕は彼女の精一杯の努力を褒めてあげることにしました。

 

よく努力したね、結愛ちゃん。

辛くて、痛くて、悲しかったけど、いつか分かってもらえると思って、頑張って平仮名を覚えたね。

君ははじめは両親から平仮名の練習をさせられていたのかもしれないけれど、いつしか、心からパパに、ママに、自分の気持ちを伝えたいと願って、十分に伝えられるようにずいぶん習熟することができました。

怖くて、叩かれるのが痛くて、「やめて」という言葉も出せなくなったのかもしれないね。

それで一生懸命にひらがなを勉強して、パパに、ママに伝えられるようになったんだね。

きっと、メモを読んで、頑張っていること、わかって欲しかったよね。

たった5歳でここまで伝えられるなんて本当に凄い。

よく勉強したね。

よく我慢したね。

本当は死ぬ必要なんて無かった君へ。

 

今はきっと天国で、苦しみから解き放たれていると信じたい。

 

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児童虐待12万件で最多更新

 

出典:日本経済新聞

 

2017年に全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子供が65431人でした。

以上のグラフは2004年からの増加を示すものです。

なんと2004年から70倍に膨れ上がっています。

たった13年で70倍です。

地域住民からの通報が増えているために、警察が事件として摘発する件数も年々増えていることも大幅に増えている理由のひとつです。

また2017年中に、虐待により0~16歳の子供が58人も亡くなっています。

 

児相への通告内容の内訳は「おまえなんか生まなければよかった」といった暴言や脅迫などの「心理的虐待」が全体の71.0%と最多。

このうち半数以上は子供の目の前で配偶者に暴力を振るうなどし、子供の心に傷を残す面前DV(ドメスティックバイオレンス)だった。

このほか、暴行や傷害などの「身体的虐待」が18.9%、育児放棄などの「怠慢・拒否」が9.8%。「性的虐待」は0.4%だった。

出典:日本経済新聞

 

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幼くして亡くなってしまうような虐待のほとんどは、暴力をふるうなどの「身体的虐待」と、食事を与えないなどの「怠慢・拒否」によるものと推測できます。

もちろん、その過程で酷い言葉を浴びせられることもあったかもしれませんので、一概には言えませんが、結愛ちゃんもまた、こうした親からの虐待を受け亡くなってしまいました。

なぜ児童虐待はなくならないのでしょうか。

理由は沢山考えられますが、虐待をしていた親もまた、その親から虐待を受けていたという例は多いようです。

お酒や異性に依存してネグレクトになってしまうケースもありますし、連れ子を愛せないというケースもあるようです。

地域住民からの申告が増えているとしても、この70倍という増え方は異常ですよね。

純粋に虐待をする親が増えていることは疑いようが無いでしょう。

 

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生命を守るためには周囲が気づくことしかないのか?

 

出典:こどもと.net 子どもと、子育てと

 

既に近隣住民からの通報で多くが児童相談所に通告されるようにはなっていますが、それでも、児童相談所でやれることに限界があるというのが現状です。

虐待を受けた子どもの支援や、養育困難な子どもやその家庭の対応にあたっている児童相談所では、職員ひとりあたり100件前後を対応しているようです。

そうなると個々に対応できる時間も肉体にも限界があるでしょう。

 

この15年間で、児童福祉司の数は1,230人から2,829人に大幅増員されたが、相談件数の伸びには追いついておらず、「あと2~3倍の人員が必要」というのが現場の声。多忙のあまり、深刻な虐待を見逃し、虐待死事件に至ってしまったという、取り返しのつかないケースも報告されている。

出典:excite

 

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親が「知らない」「やっていない」と言い張って、なかなか子供の状態を確認するに至れないケースも多いようです。

また、怪我の状態を確認できても「遊んでいて転んだ」「誤って熱湯をかけてしまった」などのように言い訳をして逃れようとします。

そういう虐待を疑われる家庭が100件もあって、全てを毎日監視し、完全に生命を救い上げるのはほぼ不可能と言えるでしょう。

その過程で対応を重たくしているのは、対応が「行政」レベルに留まっていることが挙げられます。

アメリカ合衆国も日本の数倍も虐待が多いですが、対応には「司法」が介入し、素早く子供を保護するシステムができています。

ここに、アメリカ合衆国で児童虐待に介入する「児童保護課」で勤務した経験を持つ筆者が書いた記事がありますので抜粋させていただきます。

 

緊急介入により、子どもを親から分離した場合、ほとんどが当日、少なくとも2日以内には、契約している里親に預かってもらいます。特別な理由がない限り、一時保護所で1週間以上過ごすことはありません。思春期以降の子ども達は里親家族から逃げてホームレスになってしまうことがあり、子どもの年齢が高いほど里親家族ではなく、施設入所になる場合がありました。

最初に介入が行われて3~6週間で裁判が行われます。裁判では、まず児童保護課(行政)の介入(親からの分離など)が適切だったか判断されることになります。介入が適切と判断された場合、子どもを取り戻すための保護者に対する「条件」が、裁判官によって言い渡されることになります。保護者に薬物やアルコールなどの依存があればそのリハビリテーション、生活全般に改善が必要ということであれば生活保護や就労サービスなどの活用による生活の立て直し、アンガーマネジメント(怒り感情の管理)やペアレント・トレーニング等々、裁判官がそれぞれのケースに応じて言い渡すのです。

出典:沖縄タイムス

 

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まとめ

 

 

日本は「司法」で速やかに裁く基準が無かったため、「行政」では判断がつかず、後手後手に回っていました。

それは、日本では「三権分立」が適切に機能していないという一面を持っているのではと考えさせられました。

「立法」がつくった法律に従い「行政」がサービスを提供し、「司法」がその適正を監視するという動きが「三権分立」の正しい在り方です。

しかし、何故かこの児童虐待から子供を保護できるように、行政の動きに司法が介入するという仕組みができていませんでした。

親の「権利」に対しては、「司法」でなければ介入できないことが多いのです。

2017年にやっと、家庭裁判所が早期に関与できる制度の創設を決めています。

ちょっと遅すぎますね。

一刻も早くこの法律で、子供を「守る」という運用のレベルまで持っていくことを期待します。

結愛ちゃんをはじめ、非業の死を遂げてしまう悲しい子供たちを増やさないためにも、政府はしっかりとそうした議論に時間を費やしていただきたいと思います。

※この記事を書いた当初、結愛ちゃんの写真をあえて掲載しないでいましたが、既に名前は出していますし、各メディアでも写真を公開していたため、掲載させていただきました。転載元はホウドウキョクです。

 

関連記事を紹介させていただきます。

 

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