殺戮ドローン兵器
image:プライムニュースイブニングより
中国ではドローンの最新技術「スワーム」の技術が目覚ましい勢いで伸びています。
近いうちにより高度なAIと組み合わさって軍事利用されることも懸念されています。
日本では北朝鮮の影響からつい核ミサイルという最終兵器に意識がいきがちですが、武力とはむしろ核ミサイル以外のもののほうが脅威と考えるべきです。
中国が技術開発を進めて脅威となりつつある軍事技術について、少し書いていこうと思います。
中国の軍事技術が脅威
image:産経新聞
ロシアの軍事技術や、北朝鮮のミサイル技術に注目しがちですが、中国の軍事技術が飛躍的に向上し脅威となってきていることもご存知でしょうか。
好調な経済に支えられた中国政府には潤沢な資金があり、国防費は過去20年で10倍ほどに膨れ上がっています。
日本はほぼ横ばいのため、2018年の予算案では日本の3.7倍と自衛隊から大きく引き離しています。
中国政府が発表した2018年度国防費予算案(約18兆4千億円)は日本の3・7倍。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、16年の中国の国防費が日本の5倍近くになったと見積もっている。
出典:産経新聞
この予算をバックに新たな兵器開発が進められており、日本はおろか、中国の周辺国家にとっての大きな脅威となると予想されています。
この記事では2つの技術についてピックアップしてご紹介します。
対艦弾道ミサイル「CM-401」
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CM-401は、中国企業が開発した対艦弾道ミサイルです。
特徴は標的をとらえる正確さです。
空母より小さいイージス艦のような標的にさえ正確に的中させることができる性能を持っていると言われています。
こうしたミサイルが本格配備されると、日米の艦船の動きがかなり制約されるとみられています。
「ミサイルを持ったところで日本が標的にされるのだろうか?」という疑問を持たれるかもしれませが、間違いなく威嚇の姿勢を見てとれる証拠が確認されています。
中国で開催された武器の展示会で、このCM-401の説明パネルに描かれた攻撃を受ける船の絵が、海上自衛隊が保有する「こんごう型」に非常に似ていると指摘されています。
image:プライムニュースイブニングより
右下が「こんごう型」ですが、かなり意識して描いていることが分かるはずです。
これは村上海上幕僚長も会見で認めていますので、偶然似たというのには無理があるかもしれませんね。
image:プライムニュースイブニングより
中国は南シナ海に領有権を主張し、勝手に人口の基地を造るなどしています。
日本に輸入される石油の8割は南シナ海を通ってきているため、もし中国が実効支配を完了させてしまえば、日本のエネルギー供給を止めてしまう脅しも可能になります。
尖閣諸島の領有権を主張し再三に渡って漁船団がやってきていることはご存知だと思いますが、これも中国政府がバックでやらせている可能性を指摘する専門家は多いですね。
現時点ではまだまだちょっかいレベルだと思ってしまいますが、状況に慣らされているのも中国政府の策だとみるべきかもしれません。
CM-401のような高性能ミサイルを積んだ船が巡行すれば、中国はさらに我が物顔で領海侵犯を繰り返すようになるのではないでしょうか。
その行動に対して何もできないということは、すなわち「武力による威圧に抵抗できない」というこちらの実情を晒すようなものです。
スワーム技術の応用
image:プライムニュースイブニングより
これはスワームという技術を搭載したドローンです。
これが何ができるかというと、いまのところ民間で「マスゲーム」をさせてその技術力の高さをアピールしているようです。
以下の画像を見てください。
まるで打ち上げ花火のように動かすことができます。
この点ひとつひとつがドローンが発する光です。
右下にビルがあることが分かると思いますが、ドローンが大空で一糸乱れぬ動きをしていることがなんとなく伝わりますか?
image:プライムニュースイブニングより
位置を移動したり光を点滅させて、別の模様から瞬時に別の模様に切り替えることができます。
まるで夜空全体がキャンバスになったかのようです。
image:プライムニュースイブニングより
「スワーム」というのは「群れ」という意味です。
正式な技術名称は「スワームロボティクス(Swarm Robotics)」といい、群知能(Swarm Intelligence、SI)をもとに群ロボットを生物のように自律分散制御する学術分野です。
現在は主に地上で行動するロボットに応用研究されていますが、ドローンへの応用が活発になってきています。
ドローンに応用することで、ドローン同士が互いの位置関係を把握しあい、衝突することなくプログラム通りに一糸乱れずに動くことができます。
このスワームの技術はいまのところ民間向けですが、将来的には間違いなく軍事利用されると見られています。
これまでのドローンは人間がコントローラーで操作することが前提でしたが、スワームを搭載したドローンは自身のAI(人工知能)で状況判断し行動できるようになります。
戦況に応じてドローンが部隊編成を変えながら敵地に襲い掛かるといったような使い方が想定できます。
恐るべき「殺戮ドローン兵器」の誕生です。
小型のスワームドローンチームでテロリストの暗殺も容易になるかもしれませんね。
SFで描かれていた兵器が、徐々に実体化されて行っているような感覚があります。
「平成30年版防衛白書」の記述でも、中国のスワーム技術にはかなり警戒をしていることがわかります。
中国国内で開発が進められており、軍事転用の可能性がある最先端技術の一例として、無人機の「スワーム(群れ)」技術があります。17(平成29)年6月に中国電子科技集団公司は119機からなるスワーム技術を披露し、米国の記録を破りましたが、このスワーム技術と人工知能が結びついた場合、人工知能が敵の行動や戦場環境の変化を認知した上で、無人機が柔軟に各種作戦を行う可能性があることなどから、軍事面でのインパクトの大きさは各所で指摘されています。
出典:平成30年版防衛白書
日本では残念ながら、まだまだドローンにスワームを組み込んだ技術は発展途上です。
まとめ
日本は戦争をしない、それは絶対に貫きたいですよね。
しかし徐々に国力をつけ長期的な戦略をたててじわじわと迫ってくる中国や北朝鮮といった近隣諸国の脅威に対して、何もせずに白旗を上げるわけにはいきません。
敗戦の辛い記憶がいまだ残る日本にはどうしても「戦争アレルギー」があります。
戦争はしたくない。
それは当然のことです。
しかし戦争アレルギーのままで攻めてくる脅威からも目を背けてしまい、大切な家族も友人も守ることが出来ないという過ちは避けたいですよね。
戦争を進んでする必要は絶対にありえません。
日本からどこかの国に攻撃を仕掛け侵攻することも絶対にありえません。
まずは交渉し、話し合い、解決を図ることです。
しかし国力のままに横暴に振る舞う隣国と交渉決裂をした場合にはどうしたら良いのでしょうか。
日本が自らの戦争で国民を死なせることは絶対にありえないけれど、攻められた時に国民が死ぬのは仕方がないというのは、果たして理に叶っているのでしょうか?
交渉決裂のことを今から考える必要などないでしょうか。
武器の使用を躊躇させる方法はあるのでしょうか。
ここまで続いた平和をこの先100年続ける方法はあるのでしょうか。
このことはもっと多くの人たちで議論されるべきだと思いませんか?
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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