中邑真輔というプロレスラーについてちょっとだけ
こんにちは。プロレス思想家のケンゴです。好きなプロレスラーのひとりに中邑真輔がおります。格闘技路線の申し子としてデビュー。田口隆祐や後藤洋央紀が同期になりますね。積極的に総合格闘技にもチャレンジ。その過程で身につけていった「ボマイエ」は象徴的な技です。そしてなんといっても独特なアピール。「イヤァオ」という雄たけび!そして試合開始前にみせるこののけぞり!彼の表現では「滾ってる!」(たぎってる)ということを最大限に表現したのがこののけぞりなのです。
(By Wikipedia)
イロモノのようで、実績も兼ね備えていて、こんなプロレスラーは昭和にはもちろん、平成になっても現れませんでした。まさに唯一無二のプロレスラーとなったわけです。
そんな彼は2016年についに新日本プロレスを脱退し、アメリカ合衆国の【WWE】でデビューを果たしました。【WWE】は野球でいえばメジャーリーグの1軍で戦うのと同じです。異例の待遇として、彼は中邑真輔という名前のままでデビューが許されたという点が特筆できます。
かつての日本人プロレスラーは、アメリカ合衆国など海外武者修行でデビューをする際には、必ず独特なキャラクターに変身させられていました。武藤敬司がわかりやすいですが、「スーパー・ブラック・ニンジャ」とか、「グレート・ムタ」というキャラクターで戦っていました。これは東洋人へのイメージをそのまま増幅させた、一種の差別的な待遇があったと思います。ヒール(悪役)が多いのもそのせいですね。武藤敬司のように、その時のキャラクターでしっかり実績を出して、日本でも裏の顔として存続させ続け大成功を収めているケースもありますが、中西学のキャラクター「クロサワ」のように日本へ戻ってからやめるケースも多いですね。
では、なぜ中邑真輔には日本のリングネームが許されたのか?それは、二つの要素があると思います。
一つめは彼の日本でのキャラクターが既に海外でウケていたこと。テレビだけではなく、ネットなどを介して日本のプロレス中継がそのまま海外でも観られる機会が増えており、純粋に日本プロレスのファンも多くなっているようです。
二つめはジャパンブーム。海外から日本への観光客がどんどん増えているのはテレビニュースなどでも連日報道されている通りですね。クールジャパンという言葉も踊っています。こうした影響もあって日本という存在が「近寄りがたい謎の存在」から「アニメや音楽といったクールなカルチャを生み出す国」という「好印象」に変わってきているのだと思います。
その後、2018年にはとうとう伝統のロイヤルランブルで優勝するという「超」がつく快挙を成し遂げています。他のコメンテータの方も仰っていましたが、これは大リーグに例えれば、日本人が3冠王を取るのと同じくらいの快挙です。もっと日本でも報道されたらいいんですが!
それではお気に入りの名言を紹介!
どんなアスリートにも、経験と自信から湧き出る名言というものがありますね。もちろん中邑真輔も名言の宝庫です!彼の名言にも特徴があります。新日本プロレスのみならず、日本のプロレスは長い氷河期がありました。いまもまだ続いている団体も多いです。そんな状況で新日本プロレスを支え続けてきたという「経験」と「自信」が言葉の端々に表れていますね。以下、僕なりの解釈を交えて紹介していきます。
今、みんなは心を一つにする時です。自分を信じる事。あきらめなければ必ず立ち上がれます
まさに名言です。被災者の方へ向けた言葉だったのですが、新日本プロレスが傾いていたときに必死に支えてきたからこそ言える言葉なのかもしれません。
おい!ボブ!総合とかK-1とかよくわかんねぇんだけどさ あんまり調子に乗ってるんじゃねぇぞ 一番すげぇのはプロレスなんだよ!!
K-1軍団が新日本プロレスに殴り込みをかけてきた際、ボブサップへ向けた発言です。特に「一番すげぇのはプロレスなんだよ!!」という言葉はプロレスファンにとっては本当に刺さりますね!プロレスの何が凄いのかというのは、おいおい書いていきたいなと思います。
誤解されてもいいんですよ。まずは自分がやりたいようにやれたかが重要だと思っていますから
僕は自分のやりたい事をやりたい風にやっているんです。それはどう解釈されてもいいとも思っています。受け取るほうも一方向からではないですし。人間ですから、人によって感じ方も違いますよね。こうじゃなきゃいけないというのは、まったくないので
他人からどう思われるかをやたらと気にしてしまうと、人間というのは行動が制限されてしまったり、行き過ぎれば身動きが取れなくなって引きこもってしまうこともあります。社会で伸び伸びと仕事をして成果を出しているひとをよく観察すると、この言葉の意味がよく分かります。自分のやりたい事をやりたい風に。「え?会社員にそんなことできるわけない!」と仰る方もおられるでしょうけど、会社だからこそ社員一人一人の個性や能力を最大限に発揮してもらうことが、より生産性の高い仕事に繋がると考えているはずです。マナーだったりコンプライアンスだったりとは別の次元のお話。もし組織の論理でそれを捻りつぶすのなら、自分の首を絞めているのと同じことです。新日本プロレスという組織が彼の能力を最大限に引き出したということです。
印象に残すということでは、プロレスに限らずあらゆる表現活動において重要だと思うんですけど
中邑真輔がただのプロレスラーに収まらず、表現者だということをはっきりと明らかにした言葉ですね。プロレスは筋肉馬鹿だと揶揄する方もおられますが、確かにかつてのプロレスラーはそう言われても仕方ない方も、おられたと思います。でもそんな印象を持たれたままで平成まで来てしまったから、長い冬の時代があったともいえると思います。プロレスラー一人一人が自ら個性を磨いて積極的に自己主張することで、ファンを少しずつ増やしていき、やっと沢山のお客様が観に来てくれるようになった。どうしたら「印象に残るか」を考えて行動や発言をするというのは、芸能人だけではなく、スポーツマンだってお金をもらって行動をする一人として必要なんだと思います。
いろんなことを試したし、道を外れたことも、近道も遠回りもしたし、でも全てが今の自分に繋がっていると思う
道を外れたというのは、主にプロレスを離れ総合格闘技にチャレンジしたことを指しているのでしょう。華々しくデビューはしても、世の中が求めるものはプロレスではなくなってきていた。そうしたとき、ひたすらプロレスだけに打ち込んだ選手が大多数だった。彼は総合格闘技にチャレンジした。どちらも間違ってはいないと思います。社会人になって会社に入ったものの、自分のやりたいことなのか悩むようになって、副業をしたり、転職を繰り返すようになったひと。きっとそんな経験をして今はなんとかやれているひとにとっては、やけに響く言葉かもしれません。彼は総合格闘技路線の申し子としてチャレンジをし、その格闘技経験が、数々のタイトル獲得に貢献してきた必殺技「ボマイエ(ランニングからの顔面とび膝蹴り)」に繋がっています。
まとめ
「一番すげぇのはプロレスなんだよ!!」という言葉は、かつて桜庭和志が発した名言「プロレスラーは本当は強いんです」に相通ずるものです。もっともっと、プロレスが世間に認知されて、ゴールデンでも放送が復活できるようになったら素敵ですね!
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