温暖化の原因と対策について
現在、地球温暖化によって、気温の上昇、氷河融解、海面上昇、動植物の生態系変化、気象の異常等が起こっているとされています。
地球温暖化の主な原因は、二酸化炭素を主とした温室効果ガスの濃度増加と言われています。
従って、温室効果ガス(二酸化炭素など)の過剰な排出は人類を滅ぼす!と危機感を募らせているんですね。
この温室効果ガスの削減を世界的に足並みを揃えて行っていこうという試みが行われています。
例えば、1997年に採択された「京都議定書」です。
1997年12月に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)で同月11日に採択された議定書です。
地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの一種である二酸化炭素 (CO2)、メタン (CH4)、亜酸化窒素 (N2O)、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)、パーフルオロカーボン類 (PFCs)、六フッ化硫黄 (SF6) について、先進国における削減率を1990年を基準として各国別に定め、共同で約束期間内に目標値を達成することが定められた。
出典:Wikipedia
京都議定書によって、多くの先進国が削減目標を定めました。
しかし各国の成長を阻害する側面があるため、様々な思惑が絡み合って、あまりうまく機能していないところがありました。
例えば、排出量取引のような、排出量を国家間で売買できるようにしており、金がある国は排出し放題にできてしまいます。
また開発途上国は含まれておらず、締結以降に急成長を遂げた中国、インドなどは、
「先進国の結果責任に基づいて自主的に二酸化炭素排出量を減らす努力義務を途上国が負うのは身勝手」
という反発があり、同じ制限枠を設けるのは困難です。
それでも、日本を含む先進国は再生可能エネルギーの開発などによって排出量を減らすよう努力を続けていますが、上記の通り新たに先進国の仲間入りを果たし、大排出国となった中国、インドがが批准を拒否したり、世界有数の温室効果ガスの排出国だったアメリカ合衆国やカナダが離脱してしまったりと、京都議定書は当初の崇高な目的が空回りし、意識高い系で終わってしまう可能性がありました。
そこで時代に即した新たな枠組みを作るため、2015年に「パリ協定」が締結されました。
第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたパリにて、2015年12月12日に採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定(合意)。
1997年に採択された京都議定書以来、18年ぶりとなる気候変動に関する国際的枠組みであり、気候変動枠組条約に加盟する全196カ国全てが参加する枠組みとしては世界初である。2020年以降の地球温暖化対策を定めている。
出典:Wikipedia
この協定でとうとう中国、インドが批准し、環境への取り組みに参加することになったことはとても意義があったと思います。
ところが2018年に、トランプ大統領によってまたもアメリカ合衆国は離脱してしまいました。
京都議定書ではカナダも離脱してしまいましたが、2018年時点ではまだ残ってくれています。
二酸化炭素の増加で地球温暖化するメカニズム
そもそも「地球温暖化」という作用そのものは「悪」ではありません。
ここに大きな誤解をしている方が多いようです。
二酸化炭素が増えると温暖化が促進するメカニズムをすごく簡単に説明してみますね。
地球は太陽光で温められると同時に、熱を赤外線として宇宙に放出します。
太陽光によって温められる効果を「温暖化」と言います。
この太陽光を得ることで、光合成など様々な恩恵を受けています。
そして「温暖化」しても、赤外線放出によって熱が宇宙に逃げるので、気温は一定に保たれるようになっています。
(以下の図を参照してください)
出典:地球環境研究センター
この放出される赤外線を、二酸化炭素は吸収する作用があります。
赤外線を吸収した二酸化炭素(CO2)は、大気中で再び赤外線を発散してしまいます。
その赤外線が地表に向かって放射されてしまうため、温暖化が促進してしまいます。
つまり二酸化炭素が増えれば増えるほど、赤外線が宇宙へ放出されずに地表に戻ってきてしまうため、本来よりも温暖化が進んでしまうと考えられています。
(以下の図を参照してください)
出典:地球環境研究センター
この効果について金星を例に説明します。
金星は地球より太陽に近い距離にあり本来は暑いはずですが、太陽からの熱エネルギーが厚い雲などで反射されてしまうため、何もなければー50度になっているだろうと言われています。
その反射をさらに分厚い二酸化炭素などの大気で吸収・再放出することで、金星の表面温度は460度という超高温になっています。
金星は二酸化炭素によって温暖化が促進されていることを裏付ける一つの例とみられています。
実際のデータからわかること
ここからは、他人の受け売りではなく実際のデータをみてみようと思います。
世界の二酸化炭素排出量
二酸化炭素の大排出国であるアメリカ合衆国、中国、インドがどのくらいの規模となっているかは以下の円グラフでお分かりいただけます。
2015年時点のデータなので、2015年のパリ協定後の数値のうごきは加味していませんが、規模感として参考にしてください。
出典:JCCCA
この通り、上位3国を合わせると世界の50%を排出しているということが分かります。
凄い数字ですよね。
特に中国の28.4%は世界の3割です。
こうした国に共通するのは、人口が多く、国が豊か、または急速に発展しているという点です。
世界の年平均気温偏差
世界の年平均の気温がどう上昇しているかを世界全体、南半球、北半球でグラフ化してみました。
2017年までで、基準値は1981年から2010年の30年平均値になっています。
つまりマイナスになっているうちは比較的涼しく、プラスになると暖かくなっていることを表します。
1985年から上下動はあるものの、大局でみれば横ばいで推移しています。
1996年ごろからプラスに転じはじめ、南半球のピークは2016年の+0.31度、北半球のピークは2016年の+0.59度です。
全世界のピークは2016年の+0.45度です。
いずれも2016年をピークに、若干の下降をしているのは、2015年のパリ協定による温室効果ガスの排出規制による効果が出てきているとみることもできると思います。
1997年の京都議定書の直後も大きく下降し、2000年から上昇に転じていることを考えると、この下降は協力していた国の「3日坊主」だったと推測できます。
パリ協定以降の下降は、中国、インドの発展以降であり、中国、インドが批准しているため、早速アメリカ合衆国が離脱しているとはいえ、この下降が継続するかどうかが注目されます。
ただし、京都議定書の段階では中国、インドの今の姿を想像できていませんでした。
今後、東南アジアやアフリカ諸国が同じように発展を遂げた時に、ちゃんと削減に協力できるのかどうかが気になります。
パリ協定が「2020年以降の地球温暖化対策」として定めているのは過去の失敗を念頭にしているものと思います。
地球全体の二酸化炭素濃度の変化
地球全体の二酸化炭素の濃度についての変化を表すグラフを気象庁より掲載させていただきました。
1985年以降、毎年排出量が増え続けていることが分かります。
増加率はだいたい同じに見えます。
前のグラフの、世界の年平均気温では、1985年から2000年ごろまでは上下動しながらも横ばいで、2000年ごろから大きく上昇傾向に転じているので、2000年以前から排出量の増加率が一定であることを鑑みると、二酸化炭素の排出量が気温の上昇に必ずしも直結しているというようには見えませんね。
世界の地域ごとの人口増加推移
今度は世界の地域ごとの人口増加の推移をグラフ化してみました。
参考:国連 World Population Prospects
世界全体として人口は増え続けていることが分かります。
また、アフリカ(濃い青)とアジア(オレンジ)の人口爆発が群を抜いていることも分かりますね。
人間は酸素を吸って、二酸化炭素を吐きます。
二酸化炭素は植物が食べてくれますが、肝心の森林は1時間に東京ドーム127個分が消失しているというデータがあります。
以下のグラフで、回復傾向はみえるものの、森林面積がどんどん減っていることがわかります。
出典:森林・林業学習館
このように、二酸化炭素を食べてくれる植物の減少と、人口爆発によって、人間が排出する二酸化炭素量の残存量が増加しているとみていいのではないでしょうか。
ただし、中国が大幅に植林を行っているので、アジアは2000年以降に大幅にプラスに転じているという特徴が見えます。
発展に伴う砂漠化、洪水が頻発したために国家レベルで植林を続けているようです。
世界の地域ごとのGDP増加推移
最期は世界の地域ごとのGDPの増加推移をグラフ化してみました。
参考:国連 National Accounts Main Aggregates Database
GDPはアジア、アフリカ、北アメリカの成長が圧倒的ということが分かります。
国内総生産。 国内で新しく生産された商品やサービスの付加価値の総計。 一国の国内の経済活動の規模や動向を総合的に示す指標として用いられ、GDPの伸び率がいわゆる経済成長率に値する。
出典:コトバンク
このようにGDPとは国の経済成長率を表すので、その過程で多くのエネルギーを消費しているはずです。
エネルギーの消費とは、すなわち化石燃料(石油、ガソリンなど)を燃やす量です。
化石燃料を燃やせば二酸化炭素をバンバン排出します。
よくグラフをみると、特に2000年からのアジアの成長率の角度が凄いですね。
ヨーロッパも同じ伸び率ですが、2008年ごろから停滞していることに比べると、アジアは伸び続けています。
中国、インドを筆頭に、ベトナムやバングラデシュなどの後進国も続々と高GDPを叩きだしています。
これは世界の平均気温が大幅に上昇を始める時期と概ね一致しています。
つまりアジアの経済発展とともに、気温も上がっていると言えます。
地球温暖化の原因が温室効果ガスという説は嘘?本当?
現在、地球温暖化の原因が温室効果ガス(二酸化炭素)だという説について、嘘であるという説を唱える懐疑派と呼ばれる学者がいます。
日本の懐疑派の急先鋒の一人である武田邦彦氏の理論をかなり要約してみるとこうです。
参考:武田邦彦 温暖化の懐疑論
そもそも温暖化そのものが起こっていない
100年間で日本の「温暖化ガスによる温暖化の程度」は0.2度。
400年前からの気温の上昇は平均して100年間に0.3度。
つまり400年前からの温度上昇の上昇率に含まれるため「温室効果ガスの増加による温暖化」は起こっていない。
温暖化の原因を温室効果ガスとした原因
IPCCが気温が上がっているところだけのデータを採用したり、温暖化の被害だけをカウントしているため。
IPCC:国際的な専門家でつくる、地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理のための政府間機構
二酸化炭素が原因で温暖化をしていない根拠
太陽活動が盛んになって長期的に気温が高くなっていることと、温度が上がってから二酸化炭素が増えていて二酸化炭素が増えたから温度が上がったのではないという2点。
二酸化炭素による温暖化説が有力となっている理由
研究費、予算によって生計を建てている研究者が反対派に比べて圧倒的に多く、研究が反証をせずに一方向のみに進んでいるからである。
以上の武田氏の説は、日本でもやはり少数派ではありますが、この意見に賛同をする方ももちろんおられます。
武田氏の理論は、稲は二酸化炭素を食べて育つので、米を沢山食べるには二酸化炭素をどんどん出したほうが良いなど、まだまだ過激なものが並びます。
水素自動車の開発や再生可能エネルギーの普及など様々な地球温暖化対策が講じられていますが、「そんなことをやっているのは世界中で日本だけ」と言い切る中部大学教授の武田邦彦さん。光合成には二酸化炭素が不可欠なのだから、むしろ増やすべし!と言います。
出典:MAG2NEWS
「そんなことをやっているのは世界中で日本だけ」かどうかは、パリ協定が履行されている状況があるので真偽が定かではありませんが、プラスの部分もあるという点では同意できることおはあります。
ただ、ものごとはバランスだと思っていて、プラスの部分に対して、マイナスの部分が多いから良くないという判断をしているのがこの問題なのだろうと思っています。
「温暖化」も「二酸化炭素」も悪ではありませんし地球や人類にとって必要なものですが、何事も過剰になると悪に転じてしまうことがあるのではないでしょうか。
懐疑派の理論を紹介
ここからは、世界の地球温暖化の懐疑派が唱えている理論の一部を紹介しましょう。
武田氏のように、そもそも温暖化自体が起こっていないという説もあります。
その根拠は、観測されている平均気温のデータそのものが過大に見積もられているというものですので、武田氏の提唱している根拠と同じです。
以降は、地球の温暖化は「温室効果ガス(二酸化炭素)」が原因では無いという理論です。
いずれも仮説段階であり、確たる証拠はまだ無く、矛盾点や反論もあります。
人為的な結果(温室効果ガスの発生)を否定しきれているとは言えません。
人為的よりも自然的な要因の影響が大きい説
人為的要因
主に温室効果ガスを指します。
二酸化炭素で、主に化石燃料の使用により増加。
自然的要因
主に太陽活動を指します。
太陽活動は活発と停滞を繰り返し放射量が一定ではありません。
氷河期や間氷期を繰り返しているため、その過程という見方もできます。
人為的要因とはまさに、2000年以降のアジアの急成長による化石燃料の大量使用を指していますね。
この説の根拠の一つとして、氷床コアの二酸化炭素濃度の変化が過去の二酸化炭素濃度の変化を反映していると言い切れないため、二酸化炭素が太古の昔よりも遥かに多くなっていることを証明できないとするものです。
氷床コアというのは、南極などの氷床から取り出された筒状の氷の柱で、太古の気 候に関する様々な情報を得ることができます。
水蒸気説
二酸化炭素よりも、水蒸気の方が影響が大きいとする説です。
宇宙線、紫外線、太陽風の影響説
可視光より変動の大きい紫外線や太陽磁場が気候の変動に影響しているとする説です。
宇宙線で地球を覆う雲の量が変化し(スベンスマルク効果)、間接的に気温の変動をもたらしていると考えています。
現代では小氷期からの回復過程にある
地球は温暖と寒冷の期間を繰り返しており、14世紀半ばから19世紀半ばにかけて小氷期という寒冷期入り気温が下がっていたとされています。
産業革命前から気温の上昇が起きており、気温の上昇は気温が過去の気温に回復する過程という説です。
人為的放熱説
枯渇性エネルギーの使用による放熱によるものとする説です。
枯渇性エネルギーとは、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料、原子力などのエネルギーのことです。
燃やした際の「二酸化炭素」ではなく、単純に「熱」が増えているために温暖化が進んでいるという考え方です。
気温上昇の結果二酸化炭素が増えている説
短期的な変動では、温度変化よりも二酸化炭素の濃度変化の方が半年から1年遅れているという研究結果もあります。
20世紀全体でみても、二酸化炭素量の変化よりも温度変化の方が先行して起こっていることが根拠となります。
懐疑派に対する反論
出典:毎日新聞
懐疑派の意見に対して、真っ向から反論している意見もあります。
例えば、「ニュースステーション」初代気象予報士で、健康社会学者の河合薫さんが2017年に記事を投稿されていました。
一万年単位でみれば現在は「間氷期」。 温暖化の議論は、100年単位を問題にしている。 といった具合に、誤解、曲解、時間的・空間的スケールなどを、都合よく用いている だけに過ぎません。いわゆる“チェリーピッキング”を多用することで、 自分の主張があたかも「科学的エビデンスに基づいている」かのごとく主張しているのです。
つまり、「温暖化はウソかもしれないし、ホントかもしれない。 ただし、今のところウソを裏付ける証拠は全く確認されておらず、 ホントを裏付ける証拠はいくつも確認されている」というのが、正解!なのです。
出典:MAG2NEWS
チェリーピッキングとは、数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てることです。
記事をよく読むと、明らかに懐疑派の意見は武田氏の持論を指していると思われます。
武田氏や世界の懐疑派は、少ない証拠だけを元に持論を展開しているといった主張でしょうか。
確かに、僕が調べただけのデータでも、二酸化炭素濃度の伸び率が、必ずしも平均気温の上昇と一致していないという点では懐疑派に1票あげたい気がしますが、二酸化炭素が増え続けていることには変わりはありません。
ここが実はポイントなんだろうと思います。
まとめ
これだけ人口も爆発し、経済成長する国が増えているにも関わらず、二酸化炭素の排出率がだいたい一定なのが、かえって不思議ではないでしょうか?
そこで、この結果を逆に考えてみましょう。
確実に2000年以降の経済成長と人口爆発で、人から吐き出される二酸化炭素、化石燃料の使用量の増加、森林の減少で、二酸化炭素の濃度は増えるはずでした。
それなのに二酸化炭素濃度の増加率が一定に「保てている」のは、パリ協定の締結、中国の植林(意識の変化)、世界にエコ意識の高まり、再生可能エネルギーの開発によって、二酸化炭素の排出量が抑えらはじめていると考えられないでしょうか。
先のデータから経済発展と気温の上昇には関連性がみえると仮定します。
温暖化はあり、温室効果ガス(二酸化炭素)の濃度を抑えることが温暖化効果を抑えることに繋がる、と結論づけました。
ただし気温上昇の変化はいままさに推移中なので、まずは賛成としておき、今後の推移を見守ることにしたいと思います。
武田氏いわく、「暖かい方が暮らしやすいからいいじゃないか」ということですが、確かに寒い地方の方々にとっては良いかもしれません。
でも僕はとっても暑がりなんですよね…。
個人的には、これ以上の温暖化は反対です!
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