尾行・まちぶせ・つきまといで逮捕？改正ストーカー規制法の知識があれば安心。ストーカーと恋愛の違いはキャッチボールできるかどうか。ストーカーっぽい歌詞を紹介。

恋愛は時に “尾行したくなる”

ちょっと物騒な表現をしてしまいましたが、僕は自身の経験からそう思っています。

中学生の時ですが、同じ部活の女子のことがちょっと気になっていました。

部活動が終わって、その子が一人で校門を出ていくのを偶然見かけて、出来心でちょっと着いて行ってみました。

僕のうちとかなり方向が同じで、なんと家まで特定できてしまいました。

こんな近所に住んでいたんだと、ちょっと嬉しくなってから、すぐにその行為の卑劣さに急に恥ずかしくなって、慌てて自宅に帰ったのを覚えています。

それからはそういうことはやりませんでしたが、あの時なんで尾行なんてしたんだろうと、今でも自分の心が不思議でなりません。

ストーカーを擁護するつもりは微塵もありませんが、これは「恋愛の範疇を出ない行為だった」と今では考えています。

では「恋愛の範疇」とはどういうことでしょうか？

何が「ストーカーの範疇」なのでしょうか？

それをこれから、まずはデータと法的な観点からひも解いてみましょう。

ストーカーの相談件数は年々凄い勢いで増加している

ストーカーの相談件数は増加し続けており、２０１７年時点で２３０００件を越えました。

以下は２０１８年３月に警察庁が公開している資料からのグラフです。

出典：警察庁 ストーカー事案への対応状況 

１７年まえの２０００年（H１２）から１０倍以上になっています。

何故２０００年から２００１年（H１３）にかけて突然跳ね上がっているかというと、ストーカー規制法が初めて施行された日が２０００年１１月 ２４ 日だったからです。

２０００年は２２８０件と極めて少ないのは、施行年は１２月１か月のみだったためですね。

翌２００１年には１４０００件に跳ね上がっています。

正確には１６年間で１．５倍という推移です。

この年に一気に検挙率が上がったため、２００２年（H１４）以降は少し低下して落ち着きをみせますが、２００５年（H１７）以降は増加傾向を辿っています。

２０１１年（H２３）の「西海ストーカー事件」、２０１２ 年（H２４）の「逗子ストーカー事件」をきっかけとして、警察への相談が急増するようになりました。

この統計はストーカーの人数ではなく、ストーカーに関する相談件数が急増したことを表しているので、これ以前にも似たような事件や事案があっても、ストーカーという案件として扱われなかったり、相談をせずに終わったりしていたのだろうと思います。

そうだとしても１６年で１．５倍になるには、途中で「ストーカー規制法」を改正していることを差し引いても、「ストーカーの個体数」が徐々に増えていると考えても差し支えないように思います。

ストーカー規制法と、ストーカーの特徴とは？

１９９９ 年（H１１） １０ 月に、２１ 歳の女子大生が ２７ 歳の元交際相手の男らにストーキング被害にあい、殺害された「桶川ストーカー事件」がきっかけで、２０００年５月にストーカー行為等の規制等に関する法律（ストーカー規制法）が成立、同年１１月に施行された法律です。

２０１７年１月３日に「改正ストーカー規制法」が施行されました。

同年６月１４日に、会員制交流サイト（ＳＮＳ）での付きまといを新たに規制対象に加えることなどを追加され、迅速に被害者を守るため緊急の場合は事前の警告をせずに、加害者へ禁止命令を出すことができるようになりました。

ストーカー規制法の対象になる行動は大別して２つ。

「つきまとい等」と「ストーカー行為」です。

それぞれの違いを説明いたしますね。

つきまとい等

ストーカー行為

つまり法的にストーカーの特徴を言うと、

「同一のひとに対して、つきまとい等で不安にさせたり、嫌がることを繰り返し行う行為」

ということになります。

「拒否されている人に対して」という言葉を入れたくなりますが、例えば街ですれ違っただけで一方的にストーカーを開始した場合、自分が知らないうちにストーカーされていることもあるわけです。

その場合は拒否も何もないわけですよね。

また、男性が女性に、女性が男性にということを規定しないのは、例えばトランスジェンダーの場合などもあり得るためと思います。

男が好きな男をつきまとったりってことです。

どうでしょうか？ここまでで、自身の行動に思い当たるふしはありませんでしたか？

「つきまとい等」の５番について

５番「無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・ＳＮＳを連続で送る」は、特に現代特有の行動だと言えそうなので、少し詳しく説明を加えておきます。

無言電話や連続した電話・ファクシミリは古典的な手法だろうと思います。

電子メールは、相手が求めてもいないのに何度もメールを送信する行為です。

電話・ファクシミリのメール版ですね。

メールからさらに現代化したものがSNSです。

改正ストーカー規制法で追加されたもので、LINEでメッセージを繰り返し送る、フェイスブックでダイレクトメッセージを繰り返し送る、ツイッターでダイレクトメッセージを繰り返し送る、被害者のブログの書き込みに繰り返し書き込むといった行為を対象とします。

例えばLINEで既読スルーされているからと、苛立って繰り返し送信して、それを相手が嫌がっている場合には、れっきとしたつきまとい行為、酷ければストーカーと扱われてしまいますので注意してください。

ストーカー規制法違反で逮捕の事例

愛知県の事例（２０１７年１月６日）

名古屋市内の２１歳の知人女性の携帯電話に猥褻な動画データや連絡を求めるメールを送信したとして、私立高校非常勤講師の３７歳の男性が逮捕された。

石川県の事例（２０１７年１月１２日）

女子高生のツイッターに「僕のお嫁さんだよ」「スカートをめくりたくて仕方ない」などと１６回にわたって書き込み、尾行もしていた３４歳の男性医師が石川県警金沢西署に逮捕された。

ツイッターアカウントを２つ使い分け、女子高生のツイッターに対して「県庁バス停にいれば○○に会えるのはわかっている。それだけでは物足りなくなってきた。お忍びで部屋に入ってみるとか。むふふ」などとと送信したり、隠し撮り写真も載せたりしていた。

女子高生が警察署に通報し、逮捕された。

兵庫県の事例（２０１７年１１月８日）

好意を持っていた１８歳の知人女性に無言電話をかけ、女性宅に押し掛けたとして、兵庫県警生活安全企画課と兵庫署が、自称会社員の２０歳の男性を逮捕。

「電話をかけて自宅には行ったが、ストーカー行為だとは思わなかった」と容疑を一部否認。

女性宅に押しかけた際には“ピンポンダッシュ”を繰り返していた。

この３つの事例で特徴的なのは、石川県のSNSの例でしょうか。

ツイッターを使い分け、匿名で送りつけるため、ストーカー容疑者をつけあがらせるツールになってしまっています。

いかにSNSで匿名で送信しても、警察をなめてはいけません。

そのことは以前、以下の記事で詳しく書きましたので興味があれば併せてお読みください。

山口達也メンバーの件で誹謗中傷は危険。高須医院長の事件のようにIPアドレスで個人は容易に特定できるその理由。ではIP偽装は？

ストーカーと恋愛の違いは？

閑話休題、やっと一番はじめのテーマに戻ります。

実際は、この解釈は色々なひとがもう述べられています。

だいたいは、相手が嫌がっていなければ大丈夫、みたいな解釈をされていると思います。

また脳科学的には、ストーカーは独占欲だけになっており本当の恋愛の状態ではないなどの解釈もできます。

もちろんそれで間違ってはいませんが、せっかく法的な側面からひも解いていったのでその側面から考えましょう。

法的なストーカーの特徴を再度載せます。

「同一のひとに対して、つきまとい等で不安にさせたり、嫌がることを繰り返し行う行為」

つまり、答えは簡単です。

ということになります。

僕の場合、気になっている女子の後を追いかけて自宅を見つけてしまいました。

これは尾行にあたるので、今だったらストーカー規制法の適用で逮捕されてしまうのでしょうか？

それは違うことはすぐにお分かりだと思います。

「繰り返しやっていない」ので、これはストーカーではありません。

その子と僕は部活では仲間だし、普通に会話もできていた間柄だったので、もし僕が後ろにいることがバレても、一度だけなら

「偶然方向が同じだったからだよ」

と言い訳が通用します。

ところが、これを繰り返し行って気づかれてしまっていたら、それは気持ち悪いし、嫌悪感を抱かれるでしょうね。

そう、相手にその嫌悪感を抱かせた瞬間に、この世界にまた一人、ストーカーが誕生してしまうということです。

まあ当時はストーカーなんて言葉が無かったので、ただ学校に通報され親から叱られて終わるんでしょうけど。

さて、もう一つ、自身のことで申し訳ありませんが、例を挙げます。

大人になってから知り合ったある女性を好きになりました。

始めは仲の良い友達でしたが、お酒を飲みながら失恋の相談などをしているうちに、次第に僕が惹かれるようになっていきました。

ただし彼女には、長く付き合っている彼氏が既にいたのです。

それでも僕は、誕生日ごとにプレゼントもしました。

そして、５年間に６回くらい告白をしました。

もっとしていたかもしれません。

告白するたびにフラれてしまいましたが、もっと自分を磨いて、今度こそと思って、何度もトライしました。

さて、彼氏がいるのに何度もプレゼントされ、告白もされた彼女は僕をストーカーとして通報したでしょうか？

拒否されても繰り返し交際を要求しているわけです。

答えは「否」です。

彼女は嫌がっておらず、通報されませんでした。

彼氏がいても、何度も告白をされても、「素直に嬉しい」と言ってくれた気持ちは、僕にとって今でも宝物です。

このように過去を遡って思い出してみると、実は僕にはストーカー気質があるのかも？と自分を疑いたくなりますが、その一線を越えないのは、常に相手の気持ちを考えられていたからです。

これさえできていれば、ストーカーにはならないで済むんですよね。

ストーカー気質というのは簡単に言えないと思っていて、恋愛をするなら誰にでも発動しうるものなんじゃないのかなと思ったりします。

冷たいと思われるかもしれませんが、「恋」というものは最終的には欲しいものを手に入れたいという自己欲求だと思っています。

対して「愛」は、相手の気持ちをおもんばかり、譲ってあげられる自己犠牲の状態だと思っています。

でも「恋」という状態を成就させるには、まずは相手の気持ちをおもんばかる必要があります。

だって「恋」も「愛」も人間同士が織りなす物語なんですから。

「恋」も一種の病と表現されたりしますが、ストーカーも「病気」の一種でしょう。

ストーカーは「恋」を成就させるために、決定的に必要な相手の気持ちをおもんばかることが出来なくなって、最終的な自己欲求を満たすことばかりを求めてしまっている、一種の病気の状態だとも言えますね。

恋を成就させるためには時には「反復アタック」が必要ですが、その際には相手の気持ちを考えて、出来るだけ気持ち悪いと思われてしまう方法をとらず、攻め時と引き際を考えて行動をすることがコツと言えます。

ストーカーは、この「反復アタック」の決まり事を守っていないことを客観的に見つめて、自分がおかしいことをしていないかどうかを判断できなくなっているんですよね。

歌詞にみる恋愛とストーカー

アーティストさんの楽曲には、時にストーカーっぽい？と思わせる歌詞があります。

また明らかにストーカーを意識した歌詞もあります。

ここまで紐解いてきたストーカーとは？恋愛とは？ということを思い出しながら、そうした歌詞を４つほど紹介したいと思います。

ユーミン（荒井由実）『まちぶせ』

有名なユーミンの名曲「まちぶせ」です。

偶然をよそおい　帰り道で待つわ

というフレーズが、「待ち伏せの行為」に当たりますが、タイトルそのままなので、実はとても潔いタイトルだったと気付きました。

この歌詞からは、相手の気持ちは読み取りにくいですが、気のないそぶりして仲間に加わって楽しく会話できる間柄なので、友達なんだと推測はつきます。

わたしは自分から云いよったりしないらしいので、無茶なことはしないでしょう。

これは完全に「白」です。

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この曲は石川ひとみさんに提供している楽曲なので、石川ひとみさんバージョンも是非聴いてみてください。

オオタスセリ『ストーカーと呼ばないで』

オオタスセリさんという歌い手さんが作られた楽曲です。

つきまとい、尾行、待ち伏せ、見張り、家に押し掛ける、行動を監視、無言電話、相手に不安を与える

呼ばないでと頼まれても、これは完全にストーカー規制法違反です。

というか、もう犯罪です。

完全に「黒」です。

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運が良ければ手に入るかも。

売り切れてたらごめんなさい。

阿部真央 『貴方の恋人になりたいのです』

阿部真央さんというアーティストさんの楽曲です。

歌詞も曲もとっても素敵で僕は大好きです。

昨日送ったメールの返事はやはり
夜が明けた今もこないまま
ああ送らなければよかったな
悔いだけが募ります

メールを送っても返事が無くて、後悔していますね。

大事なことは、返事がなくて後悔していることですね。

後悔は相手の気持ちをよく考えている証です。

「何か変なことを書いたかな？」なんて色々と気をもんでしまうものです。

ここで「苛立って何通も何通も送りつけたわ」となれば、アウトです。

それは、オオタスセリさんです。

完全に「白」です。

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阿部真央　『ストーカーの唄～3丁目、貴方の家～』

これまた、阿部真央さんというアーティストさんの楽曲です。

ところが今度は本当にストーカーの唄を歌ってしまっています。

連続した電話、近所の徘徊、見張り、繰り返し

分かってはいましたが、アウトですよね。

ストーカーらしい立派なストーカーです。

オオタスセリさんの歌よりまだ可愛いのは、住居侵入しないことくらいでしょうか。

完全なる「黒」ですね。

それにしても素敵な恋愛ソングからストーカーの心境まで歌い上げる彼女って。

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まとめ

ストーカーと恋愛の違いについて、ちょっとだけ違う視点で理解を深めていただけたでしょうか？

年々、ストーカーの相談件数も事件も増えています。

まずは自身の想いが果たして「一方的」になっていないかを、今一度自身の心に問いかけてみたください。

「片想い」は良いですが、「一方的に感情を押し付けること」とは違いますよ。

好意を寄せるひとに送ったLINEで既読スルーされて、イライラしていませんか？

僕もイライラした経験があります。

そういうときは決まって、忙しくて返事を後回しにしているか、こちらに興味が無いかのどちらかでした。

いずれにせよ相手に投げたボールに変わりはありませんから、ちゃんとキャッチボールをする心持ちでいたいものですね。

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