墓じまいと散骨希望者の増加
管理するひとがいない、管理負担といった問題から、墓じまいをするケースが増えてきています。
また遺骨をお墓に収めず、自然の中に散骨するケースが増えてきています。
散骨の中でも、近年では故郷の海に帰りたいなどの想いから「海洋散骨」を希望する方が急増してきているようです。
この記事では、以下のような内容について詳しく書いていきます。
- 墓じまいが増えている問題
- 墓墓じまいの後の遺骨は?
- 散骨への注目と遺骨遺棄罪などの注意点
- 散骨の2つのパターン
- 海洋散骨への関心の高まり
- 海洋散骨の主な種類と価格比較
墓じまいが増えている問題
image:プライムニュースイブニング
墓じまいは年々増えていっています。
上の画像は墓じまいで撤去したお墓ですが、だいたいお墓10基分くらいの量ということです。
先祖代々守られてきたお墓も、守るものがいなくなればこのようにせざるをえない現実があります。
墓じまいの理由のほとんどが、お墓の後継ぎがいないというものです。
もしくは管理費用がかさみ、管理しきれなくなるというケースもあります。
お墓参りをするひとも、管理をするひともいないお墓は、どんどんと荒れ果ててしまいます。
そうした「無縁墓(むえんぼ)」は撤去され、お骨は他のお骨と一緒になって合祀されてしまいます。
墓じまいは墓石屋が行います。
相場は1基あたり30万円程度のようなので、数社で相見積もりをとることをお勧めします。
荒れ果ててしまう前にきちんと墓じまいをせず、無縁のお墓にしてしまうことのほうが、ご先祖様にとって申し訳ないことなのかもしれません。
墓じまいの後の遺骨は?
墓じまいをするのは管理できないためです。
維持費用が掛からないようにするために、以下のような手段をとることがほとんどです。
公営墓地への合祀
他の遺骨と一緒に大きなお墓に埋葬する方法です。
維持費用がかからないため、お墓をもたずあえて合祀を選ぶ方も増えているようです。
費用は遺骨1柱ごとに10万円~がかかるため、先祖代々の遺骨となると大変な金額になる場合もあります。
永代供養(合祀)、納骨堂
お寺や専門のお堂に遺骨を納め、一定期間供養してもらう方法です。
費用は数万円~数百万円と幅があるようです。
散骨
海や山などに遺骨を散布する方法です。
専門の散骨業者に任せる方法が一般的です。
費用は10万円~数十万円ほどかかります。
自宅供養
自宅に引き取る方法です。
引き取りたい、引き取りたくない、どちらの考えもあります。
そのため親族の誰が管理するかでもめることも多いようです。
取り出した後のお骨はそれぞれの手段ごとにメンテナンスの方法が異なります。
以下のような細かな手順が必要ですが、まずは預ける先、散骨する業者に問い合わせることが確実かと思います。
・永代供養(合祀)する場合→ 骨壺内の水抜き→骨壺をキレイにする。
・散骨する場合→ 乾燥→粉骨→散骨。
・納骨堂に預ける→ 洗骨→乾燥→殺菌→新しい骨壺に入れる。
・自宅供養する場合→ 水抜き→(洗骨)→乾燥→真空パック。出典:散骨@マガジン
散骨への注目と遺骨遺棄罪などの注意点
image:プライムニュースイブニング
お墓を持たず自然に散布する「散骨」という方法に注目が集まってきています。
散骨に関心が集まってきてる大きな背景は、お墓に対する考え方の変化です。
親がお墓を持ってしまうと子へ負担がかかってしまうと考えるようになってきています。
初期費用も大きなネックになっています。
墓地自体が不足してきており、霊園に土地を借りるだけでも数十万円から数百万円がかかってしまいます。
高い所では、都立青山霊園でお墓を持つ場合、土地の使用料だけで400万円以上が掛かります。
image:株式会社アイエム
また、故郷の海や山に帰りたい、死後は自然と一体となりたいという想いが後押しして、散骨の希望者はここ10年で数倍になっています。
そうした希望が増えている散骨には注意点もあります。
遺骨を散骨するためには、法務省で定められている「遺骨遺棄罪」に該当しないように配慮が必要です。
刑法190条で定められている「遺骨遺棄罪」では以下のように記されています。
社会的風俗としての宗教的感情を保護するのが目的であり、葬送の目的として、相当の節度をもって行われる限り、遺骨遺棄罪にはあたらない
この「節度をもって」というのは、決められたルールは無いということでもあるため、現在一般的になっている常識・尺度に従うということになるようです。
その常識・尺度にきちんと従って実施をしてくれるため、専門の業者に委託することが最も安全・確実ということになります。
散骨の2つのパターン
大きく分けて、墓じまいから遺骨を散骨するパターンと、お墓を持たずに遺骨を散骨するパターンに分かれると思います。
それぞれで必要な書類が異なっています。
こうした書類の他に散骨業者へ提出する申込書と身分証明書などが求められます。
墓じまいから遺骨を散骨
「改葬許可証」が必要です。
埋葬している墓の地管理者から「納骨証明書」を発行してもらい、役所へ提出すると発行してもらえます。
遺骨の一部だけを散骨する場合にも、「納骨証明書」と「遺骨引渡証」を発行してもらう必要がある場合があります。
地域、自治体によっては散骨が改葬に該当しないという理由で、「改葬許可証」が発行されません。
その場合も「納骨証明書」「遺骨引渡証」などで対応ができるようです。
お墓を持たずに遺骨を散骨
「埋葬許可証」(火葬済の証印を受けた火葬許可証)が必要です。
海洋散骨への関心の高まり
image:プライムニュースイブニング
散骨の種類は樹木のそばに散骨する「樹木葬」といった自然葬もありますが、昨今で「海洋散骨」に注目が集まってきています。
海洋散骨も遺骨は海へ散布されるため、以降の管理は一切無くなることになります。
費用も数万円~数十万円と、お墓を持つよりけた違いに安く抑えられます。
遺骨を散布する場所は陸地から約2kmほど離れた沖合を選ぶことが一般的です。
近隣住民の感情や、漁師の感情への配慮をする必要があるためです。
まさに刑法190条で定めた「節度をもって」に合致しています。
また遺骨はそのまま散骨することも禁止されているため、1mm~2mm程度の粉末状に砕く必要があります。
こうした作業は個人では容易ではないため、海洋散骨を請け負う専門業者に委託をすることが一般的になっています。
海洋散骨の主な種類と価格比較
image:プライムニュースイブニング
海洋散骨を行うには、上述した通り2キロ程度沖合まで出なければなりません。
そのため船をチャーターする際の方法によって、大きく費用が異なってきます。
種類ごとに低価格な散骨業者3社もご紹介します。
各社節度に留意したしっかりとしたプランを用意しています。
価格は随時変更される場合があるため、掲載した公式ページからご確認ください。
個別散骨
1組だけで船をチャーターして行うため費用は最も高くなります。
相場としては10万円~40万円以上になります。
同伴人数や散布場所を限定することで10万円未満に抑えている業者もあります。
1.散骨想
公式ページ
直葬プランでは8万円(税別)で行ってくれる低価格なプランを用意しています。
以下は同社が散骨を行っている映像になります。
2.海洋散骨の万寿
公式ページ
東京湾出航プランでは15万円(税込)で行っています。
以下は同社が散骨を行っている映像になります。
3.海洋自然葬の風
公式ページ
チャーター散骨格安コースでは17万円(税別)で行っています。
合同散骨
数組で船をチャーターするため個別散骨より費用が安くなります。
日程の調整が整えばメリットの高い形式と言えます。
相場としては10万円~20万円以上になります。
1.散骨想
公式ページ
シェア割りプランで9万8千円(税別)で行っています。
6名まで参加可能です。
2.海洋自然葬の風
公式ページ
合同散骨プランで10万円(税別)で行っています。
2名まで参加可能です。
3.東京海洋散骨
公式ページ
東京湾合同散骨プランで10万円(税別)で行っています。
委託散骨
ご遺族が乗船せず散骨業者に任せる形式です。
費用は最も安くなります。
相場としては3万円~10万円程度です。
1.海洋散骨の万寿
公式ページ
おくりびとプランで3万5千円(税込)で行っています。
2.東京海洋散骨
公式ページ
委託代行散骨プランで3万5千円(税別)~で行っています。
3.散骨想
公式ページ
完全輸送プランで3万5千円、スタッフ引き取りプランで5万円で行っています。
まとめ
墓じまいには親族間でもめてしまうケースも多いと聞きます。
丁寧な話し合いと合意が必要です。
また散骨を選ぶ場合にも、ひとりだけ先祖にお墓に入らない選択をするようなケースでは、兄弟、親戚への説明と合意が必要です。
遺書だけに記載しておくような方法では家族に負担をかけてしまうため、前もって自分で近しい親族には合意を得ておくと良いでしょう。
なんにせよ、故人の魂は家族の笑顔で見送ってあげられるようにしたいですよね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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