所有者不明そうな土地、建物って結構ありますよね
東京でも街中を歩いていると、突然ボロボロの崩れかけた家屋が現れることって、ありますよね。
中が荒らされていたり、落書きだらけになっていたり、もしかしたら住所不定の誰かが住処にしているのかも?という雰囲気を漂わせている物件もあります。
そういう家屋の土地は、「所有者不明」になっていることが多いとご存知でしたでしょうか?
所有者不明の土地は全国では、九州より広い面積になっているという試算もあるほどです。
なんと、私有地の2割くらいにも上っていると言われています。
また2040年には北海道を超える面積になるとも言われています。
これだけの広大な土地が有効活用されることなく放置されているのが現状です。
「期間を決めて国が没収しちゃえばいいのに」
なんて思いますが、所有者不明なので警告ができず、没収後に所有者が現れた時に大問題になることは間違いないので、なかなか思い切ったことはできません。
そこで、「所有者不明土地」に関する特別措置法が制定されました。
「所有者不明土地」に関する特別措置法
image:All About
2018年6月、「所有者不明土地」に関する特別措置法が制定されています。
所有者不明のままになっている土地に関して、上限10年で第三者の使用を可能にするという制度です。
10年の間に所有者が現れた場合は使用期間終了後に原状回復と返還を行うこと、現れなかった場合はそのまま使用権を延長できるというものです。
10年ごとに期間を区切っているので、長期間使用できるメリットがあります。
しかし例えば公園や駐車場のような用途ならまだしも、店舗や施設を作ってしまうには10年は短いですね。
うわものは思い切ったものが作りづらいかもしれません。
放置しておいた側の責任もあるはずですが、使用権を持った自治体などが現状回復までしないといけないというのも、税金が投入されることを考えると納得性に欠けそうです。
今後、団塊の世代から次の世代へ相続が加速化します。
相続財産の金額構成比では、現金・預金が31%、土地が38%と、この2つで70%弱を占めています。
地方の所有者不明な土地が多いままで相続が完了されてしまうと、もうその土地は誰のものだか永遠に分からなくなる恐れもでてきます。
「所有者不明土地」に関する特別措置法で暫定的に使用可能としたとしても、思い切った使い方ができない土地が増えていくだけという見方が出来そうですね。
土地の登記簿は?
土地は取得時に登記簿への記載をするはずなので、登記簿を見ればわかるのでは?とも思いますが、実は不動産登記簿への記載は義務ではありません。
例えば親戚から地方の土地を相続したとします。
相続者は登記簿の書き換えをして自身が所有者であることを登録することになりますが、登記簿の更新には別途費用がかかります。
大した金額でもないんですが、都会に住んでいるひとが、地方の安い土地のために費用を掛けたくないからと登記簿の更新を怠っている事例が多く、そこで登記上に所有者は途切れてしまうということが起こっています。
以下は法務省が公開している、50年以上登記簿が更新されていない土地の割合です。
出典:法務省
中小都市、中山間地域がなんと26.6%も更新されないままになっています。
最後の登記から90年以上経過しているもの、70年以上経過しているものを合算すると、45.6%に上ります。
つまり、中小都市、中山間地域はほぼ更新されていない、所有者不明ということを表しています。
また大都市(東京、大阪、名古屋など)でも50年以上経過しているものが6.6.%もあり、物件数に換算したらとんでもない数になりそうです。
登記簿でも分からない土地の所有者はどう探し出す?
土地を購入した際に金融機関で融資をしていれば記録が残っているので、大元の所有者は特定できるはずです。
もしそれで土地の所有者が分からない場合は、うわもの(家、ビルといった建物)を建築する際に金融機関で融資をした記録があれば、そこから所有者を特定することもできそうです。
建物と土地の所有者が違っていたら分からなくなりますが、所有者が同じならそれでなんとか確認はできそうです。
しかし個人情報の壁がありますし、大昔の資料までデータ化されていないと思うので、膨大な紙の資料で突合せをしなければならず、調査には金も人も時間も掛かるかもしれません。
所有者不明の土地(建物)をそのままにすると?
image:ホームズ
ボロボロの家がそのまま放置されており、災害時に非常に危険です。
倒壊して道路をふさぐことも懸念がありますが、もっと怖いのは火災ではないでしょうか。
そういう所有者不明な建物は防火対策などされていない古い木造建築が主なので、火が付けばそこをハブにして隣家へ燃え移り被害を拡大させる恐れもあります。
また公共事業への影響も問題です。
都市の再開発や道路の造成時に、土地の所有者不明だとどうすることもできません。
「所有者不明土地」に関する特別措置法により10年間は使えるようになりますが、まさか所有者が現れたので道路を壊しますなんてありえません。
まとめ
所有者不明な土地を解決するには、以下のような方法があります。
①相続登記の義務化
義務になっていない登記の更新を義務化することで所有者を必ず特定できるようにする。
②マイナンバーとの連携
データ化しマイナンバーに紐づけることで登記に記載が無くても判明できる。
ただしマイナンバー自体が普及していることが前提。
③ランドバンキング
空き家や空き地などを取得し、周辺の土地を含めた地域を一体的に活用・再生する手法。市街地や住宅地に未利用地・低利用地が点在して都市が荒廃する「スポンジ化」や「ドーナツ化現象」への対策としてアメリカ合衆国で始まり、日本でも導入例がある。
出典:Wikipedia
④空き家対策
空き家になる前にその家の所有者を行政がしっかり把握すること。
地方の空き家は高齢化で持ち主が亡くなり突然空き家化することが多いため、所有者の死亡、移転といった情報を把握できる体制づくりが必要でしょう。
今後のことを考えれば、登記簿記入の義務化が早急に行うべきだと思いますが、既存の土地に対する法制化が先んじています。
義務化をするにも現所有者を把握し切れていなければペナルティも与えられないわけで、難しいのだろうと思います。
それでも「義務です」と決めてしまうだけでも、抑制効果があるはずなので進めるべきでしょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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