宮川紗江選手がパワハラを否定
注記:
本記事では本件について問題提起のため「グッド!モーニング」から画像を転載させていただいております。
それ以外の画像は個別に出典を記載させていただきます。
パワハラを受けて告発をしたとされていた宮川紗江選手ですが、コーチへの処分取り消しを訴えています。
宮川紗江選手は体操女子日本代表候補となっています。
一昨年のリオオリンピックで体操女子団体戦4位入賞に貢献しました。
2020年の東京オリンピックでも活躍が期待されており、この問題への関心度も高まっていました。
この問題は、宮川選手の専属コーチである速見佑斗コーチから暴力行為を受けていたとし、協会に対して告発したことから始まっています。
暴力行為とは、指導の際に顔を叩いたり、髪を引っ張るなどをした行為と報道されています。
日本体操協会は8月13日付で無期限の登録抹消という重い処分を下していました。
ところが8月21日、被害者であるはずの宮川選手から報道各社に向け、この処置に対する反論と処分の取り消しを訴える直筆のレポートを送付しました。
速見コーチからは8月20日に、無期限の登録抹消という処分を不服として、東京地裁に仮処分申し立てを行ったようです。
マスメディアではこれを「異例の訴え」として伝えています。
塚原夫妻がプレスで追いパワハラをしたことを含め全面謝罪を発表。
これで少し前進すればいいですが。
「私たちの落ち度が大きな原因」プレスで宮川紗江選手へ追いパワハラをした塚原夫妻。揶揄された対立姿勢を反省した謝罪コメント全文掲載。
なお宮川紗江選手が記者会見を開き爆弾が投下されました。
こちらの記事もあわせてお読みください。
朝日生命へのトレードが目的!?宮川紗江選手の記者会見で衝撃の事実。パワハラ・暴力の認識の違いとは?体操選手を指導することとは?報道の嘘と真実に翻弄される18歳。
宮川選手の取り消しの訴えとは?
以下が直筆で書かれた宮川選手の訴えです。これを読んで、どのように感じますか?
私は8年間
速見コーチと共に
オリンピック金メダルを目標に
毎日家族のサポートを受けながら
信頼してコーチと頑張ってきました金メダルという目標は
速見コーチとだからで
他のコーチとでは私の望むことではないし
意味がありません暴力は良くないことだとは
わかっていますが私は速見コーチに対して
パワハラされたと感じていませんし
今回のことも訴えたりもしていません家族も同じです
報道の内容には真実ではない行き過ぎた内容もあり
私は不安と怒りで自分を保つのがやっとの状態です
これを読んだときに、「本当に本人の気持ちか?」ということが頭をよぎります。
速見コーチに書かされているのはないのか?と。
宮川選手が速見コーチから説き伏せられたのではないか?と。
確かに、速見コーチが東京地裁に仮処分申し立てをしたタイミングと合いすぎている点で、双方が話し合いを持ったことは想像にかたいです。
とはいえ、最終的に判断をするのは宮川選手です。
僕の感想としては、これは宮川選手本人の気持ちだと感じます。
その理由は「暴力があったことは認めている」という点です。
暴力があったと書けば、
結局は暴力があったならそれはダメだ
という非難がコーチに向けられることは想像がつきます。
その為、もしコーチから書かされたのなら、
暴力自体も無かった
と否定をするのではないでしょうか。
暴力があっても
暴力と思っていない equal 暴力は無かった
と言わされるような気がします。
精神支配されている場合はなおさら、暴力を否定すると思います。
しかし宮川選手は
暴力があった but パワハラと思っていない
と訴えています。
ここでは、暴力とパワハラは分けて使われていることに気が付きます。
暴力を認めるリスクを冒しつつ、パワハラではないという内容に、この訴えの信ぴょう性を感じました。
速見コーチと話しあって、宮川選手は報道各社へ訴えることにしたのかもしれません。
では、次項からは宮川選手がこの告発をしていないことが事実という前提で話を進めていきます。
いったい誰が訴え、何故そうしたことが起こったのかについて考えていきます。
誰が訴えたのか?
誰が、というところがマスメディアに出てきていません。
恐らく協会側が告発者を守る意味で発表していないものと思います。
宮川選手本人ではないのなら、周囲でトレーニングしていた仲間や他のコーチ、もしくは家族と考えるのが妥当でしょう。
家族の訴えは宮川選手が否定していますので、トレーニングをしていた仲間やコーチだったと考えられます。
髪を引っ張ったりするような場面は、仲間や他のコーチなら常時みていたはずです。
実際、テレビ朝日の取材で、
2017年に宮川選手への “激しい暴力” が目撃されている
出典:グッド!モーニング
と報じています。
そして協会が速見コーチに事情を聴き、本人も認めたということです。
では、何故第三者である仲間やコーチが告発をしたのでしょうか?
告発の理由は?
ここからは例え話を交えます。
学校のあるクラスで虐めがありました。
虐められている子は、先生に言うとさらに虐めが激しくなることを恐れて、虐められていることを申告できないでいます。
それを見かねた同級生が先生に申告して、虐めが発覚しました。
学校ではこのような光景は今も残念ながら多々見られるようです。
では、今回の暴力、パワハラの告発がこれと似たような経緯だったとします。
宮川選手は速見コーチからトレーニングにおいて「暴力」を受けていました。
宮川選手はそれをパワハラを受けていると感じておらず、告発をしませんでした。
周囲でみていた仲間は、その「暴力」を見かねて「パワハラがあった」と告発したとします。
この2つの例えの共通点は、本人ではなく第三者が訴えたという点です。
では相違点はなんでしょうか。
学校の例では、生徒が明らかに不利益を感じていましたが、体操の例では、宮川選手が不利益を感じていませんでした。
むしろ、コーチのおかげでここまで来られたと感謝を感じていたようです。
宮川選手の報道への訴えで、どうやらこの点が異なっていることが分かってきました。
ではパワハラってなんだっけ?ということを改めて考えさせられます。
パワハラの定義はこのようになっていました。
パワーハラスメント(和製英語: power harassment)とは、社会的な地位の強い者(政治家、会社社長・役員、大学教授など)が、「自らの権力(パワー)や立場を利用した嫌がらせ」のことで。略称は「パワハラ」、加害者は名誉毀損(めいよきそん)、侮辱罪の刑事責任を問われる場合があり、民法の不法行為や労働契約違反も成立することがある。
出典:Wikipedia
本来は会社組織で行われるものを指していたようですが、より拡大解釈されて、スポーツの場など上下関係の中で行われた場合にも指すようになったようです。
ここで注目したいのは、訴えた側が「名誉棄損」「侮辱」により被害を受けているという点です。
つまりパワハラというのは、訴えた本人がそうした不利益をこうむっている場合に成立していたものだったはずです。
学校の虐めの例では生徒が明らかに虐めという不利益をこうむっていましたが、体操では宮川選手が「不利益に感じていなかった」と話しているわけです。
(ここでは学校の虐められていた生徒が虐められていたことを認めるかどうかは別問題とします)
これはパワハラと言えるのでしょうか?
パワハラなのか?
本人はパワハラが無かったと訴えています。
コーチがいなければむしろ身体の不調をきたすほどにショックをうけています。
私は不安と怒りで自分を保つのがやっとの状態です
この文言から、マスメディアへの怒りだけではなく、コーチがここまで不名誉な状態に追い込まれたのは、自身のせいでもあったのではと、自分を責めてしまっている状態が想像されます。
何故周囲の仲間に、パワハラとは思っていなかったときちんと説明できなかったのか?
その時は辛くて愚痴をこぼしたけど、今思えば仲間を過剰に心配させていたのではないのか?
コーチの「暴力」は、自分のためを思っていたことだったし、今の自分があるのはそうした指導を含めた「全て」だったはずなのに。
このように自分を責めていることを想うと、宮が選手の苦しみを感じてしまいます。
宮川選手がパワハラと思っていないのに、何故コーチが重い処分を受けるという事態になってしまったのか?
実は、日本体操協会が本人に事実確認をしていなかったそうです。
日本体操協会はこの件について、以下のように話しているそうです。
当事者から意見は頂いていないため
日本体操協会としては
コメントを差し控えます出典:グッド!モーニング
これが本当であれば、本人不在で速見コーチは一方的に重い処分を受けたことになります。
これは他の企業などでも一般的なことなのでしょうか?
組織の体質で大きくことなると思いますが、本人に聴いても答えにくいため「無かった」と答えるような事態を防ぎたいと、本人からは聴かないというスタンスを取っている場合もあるのかもしれません。
しかしこれで本当に良いのでしょうか?
速見コーチの人権・名誉はどうなるのでしょうか?
宮川選手が感じていることに比して、速見コーチが受けた処分が妥当だったと言えるのでしょうか?
問題の本質は?
image:BLOGOS
このパワハラの問題は、今年に入って随分目立ってきました。
アメフトから始まり、レスリング、ボクシングと、大きく世間を騒がせました。
共通しているのは、パワハラをした本人がギリギリまでパワハラを認めなかった点です。
そのためにパワハラを受けていた本人が一番傷つきましたが、学校や組織も大きくイメージダウンしました。
学校や組織側は、こうした一連の事件から学んだのではないでしょうか。
パワハラで告発されたら、速やかに被疑者を切り捨てた方が良い
と。
そうでなければ、宮川選手と速見コーチの見解に対する協会の対処の理由の説明がつきません。
これはいわゆる「もみ消し」行為です。
第三者として丁寧な話し合いの場を持つこともなく「もみ消し」を図っているだけです。
選手ファーストという綺麗な言葉を盾に、コーチを消しているだけです。
今回、宮川選手もパワハラの事実を否定し、速見コーチも処置の取り消し、名誉回復を訴えています。
双方がパワハラでは無かったと言っているのに、パワハラがあったと認定してしまったこと自体、実は協会側の速見コーチへのパワハラ行為にあたるのではないでしょうか。
速見コーチが暴力は認めたことは、スポーツマンとしてまず反省するという姿勢を持っていたからではないでしょうか。
暴力に近い過剰な指導を認め「反省」をしたのであって、「パワハラ」をしたと認めたのでは無かったのではないでしょうか。
ところが反省をしたはずが、協会からは一方的に重い処分を受けてしまいました。
処分を受けたことで、速見コーチは著しく名誉を棄損されている状態になっているわけです。
これこそパワハラと言うべきではないでしょうか。
今後、このように告発を受けた組織側が、雇用するコーチや監督を速やかに解雇するような事例が増えてくることが懸念されます。
解雇された方は、もう二度と業界に復帰できない可能性が高いでしょう。
人生を失ってしまうのです。
不利益をこうむっていない宮川選手にとって、感謝しているコーチが理不尽に人生を失うことは、望んだ結果だったと思いますか?
だから宮川選手は、今苦しんでいるのではないでしょうか?
こうした組織側の「マスメディアへの恐れ」から、拙速な対応をしてしまっている現実が根底にはないでしょうか?
まとめ
大前提として、指導の中で身体を痛めつけたり、精神的に追い詰めるような「暴力的行為」があってはいけません。
それは時代の流れでもあるし、暴力行為で選手生命を断たれることから守るためにも必要なことです。
速見コーチは誤解を与えるような過剰な指導を改める必要があるでしょう。
しかし、この問題はそれだけでは解決しないのではないでしょうか。
以下の2点をそれぞれの業界が省みていただきたいです。
- 組織側は本人ではなく、第三者から告発があったら、まず本人とパワハラを行ったとされる側、双方から事実確認をする
その際は事実確認の前に双方が連絡をとらないように指示し、公平性に注意を払う
「指導」「暴力」「パワハラ」のどれにあたるのかの明確な認識を双方から取る - マスメディアは一流選手へのパワハラ告発に対してしっかり裏をとらずに「ネタ」とすることをやめる
宮川選手もこのように述べています。
報道の内容には真実ではない行き過ぎた内容もあり
私は不安と怒りで自分を保つのがやっとの状態です
これを読むと「ネタ」にされたことで傷ついている姿が目に浮かびます。
優しさから告発したのに、本人もコーチも苦しんでいます。
告発したひとも苦しんでいるのでは。
誰かを切り捨てるだけの心の無い世界が広がっていくような、暗澹たる気持ちになります。
パワハラの前提として、権力で精神支配する側が悪いとされますが、コーチも実は組織との関係性においては支配される側です。
マスメディアは「面白そうな表層」ばかりを突っつかず、もう少し本質にスポットを当てて報道をしていただきたいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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